万能鑑定士Qの短編集I (角川文庫)

「凛田莉子登場」「水晶に秘めし脆計」「バスケットの長い旅」「絵画泥棒と添乗員」「長いお別れ」の5編収録。

長編シリーズよりも短編版の方がより濃厚でお得感があるように感じました。長編ではなかなかもどかしい感じだった小笠原との距離感も短編ではいい意味で近づいてきていますし、二人の思いがより形を持って現れているようなのです。

今作では万能鑑定士Qのお店が舞台ではなく、質屋J・O・A(ジャック・オブ・トレーターズ)に招かれた鑑定家として一か月出向の形をとっていますので、そこでの人間関係もまた本編にはない魅力であります。イケメン店員の駒澤直哉、彼の叔父で頑固者の香河崎、そして小笠原の元カノの登場など短編にしとくのは惜しい世界観が広がっています。小笠原の両親と莉子が対面するのも凄いことですし、小笠原の元カノが意外に押しが強かったりで度々莉子が気分を害するところもこの二人ならではなところです。

けれど「お互い思いは通じあっている」という言葉が莉子の口から出たことは嬉しいですね。「絵画泥棒と添乗員」では朝倉絢奈も登場しますし、なんだかすごく贅沢な1冊でした。


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