夜行観覧車 (双葉文庫)



高級住宅地に住む対照的な2つの家族を通して見えてくる「家族像」。

いい土地に家を建てたからといって必ずやモデルハウスの中に住む家族のように円満にいくとは限らず、むしろ他でなら浮かないような出来事が、そこでなら浮きだってしまうという危険もある。

高級住宅地だという優越感、自分の子どもは人とは違うのだという驕り、自分の家族は理想どおりなのだという自信、そういったものが粉々に打ち砕かれた時、人はそこに真っ直ぐ立って綺麗な家を眺めれるだろうか。

2つの家族を交互に眺め見、そしてそこに第三者でお節介ものの「近所のおばさん」の目か混じることによって、なんともいえない独特の視線と立場で全体を見ることができる。

なんてことはない、ただ片方の家で母親が父親を殺しただけのこと。なんてことはない、ただ片方の家で娘の異常な行動が母親を次第に追い詰めていっているだけのこと。それなのに、本を閉じてなぜか「すごい」と思えてしまった。

湊作品を読んだ中でこれがマイベストになった。




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