仮面の大富豪〈上〉―サリー・ロックハートの冒険〈2〉 (sogen bookland)


前作ではまだ16歳だったサリーが、続編でいきなり22歳。6年の時が経っているのです。

前作で友情を深め、彼女を支えてくれる仲間たちと共に過ぎた6年ではあったのでしょう。

けれど、いきなり6年の時を経るのではなく、せめて1・2年後、まだ10代のままのサリーに会いたかったというのが本音。

この6年のうち、サリーを含めた仲間たちの環境も大きく変化しています。

サリーはガーランド写真店の共同経営者になり、女性としては珍しい財政コンサルタントとしてしっかり自立した女性になっています。

ところが恋の方は少し複雑。フレデリックに結婚を申し込まれているものの、なかなか決断できないでいます。今回、フレデリックの妹ローザは結婚していて登場しませんので、同性として彼女の恋の相談相手になる人物がいないのも難点かも。 


――――本編を読んで、最後のページを綴じた時、ため息と悲しさがこみ上げてきました。

著者は読者の想像を裏切る大胆な結末を用意していました。

少なくとも、私の中では必ずしも受け入れることができない(特に前作から読んでいたら尚更)ものになってしまいました。最後の最後まで何かの奇跡が起きるのでは、思っていたにも関わらずのあの結末。

けれど、全く落胆した訳ではありません。

前作に負けず劣らずの躍動感のある物語運びは健在です。

今回はサリー自身が原因で事件が起こるのではなく、サリーとフレデリック両者に持ち込まれた事件がやがては結びついていくというようなものになっていました。

ユニークな登場人物も、見目麗しい美女も、そして邪悪な人間も、この1冊で全てが堪能できます。


さてさて、次のシリーズはここからさらに3年後、25歳になったサリーが登場します。

3年…3年後のサリーはどうなっているでしょう。

今回のラストを読めば尚、3年後の彼女と彼女を取り巻く皆の様子を早く読んで心から安心したい思いです。

彼女と、そして「あの子」と、3年後はどんな生活を送っているのでしょうか。

今のこの少し寂しい気持ちも、続刊になり、新しい希望へと進みだした皆を見れば、きっとまた違った風に受け取れるのだと思います。


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★既読の【フィリップ・プルマン】作品感想★

「マハラジャのルビー(サリー・ロックハートの冒険 1)」 フィリップ・プルマン

「井戸の中の虎 (サリー・ロックハートの冒険3) 」 フィリップ・プルマン

「ブリキの王女 (サリー・ロックハートの冒険外伝)」 フィリップ・プルマン