1942年「回天特攻隊」
日本軍が開発した人間魚雷
死へ向かうだけの片道切符
それはたった80年前のできごと…
いやもう80年も前のできごと…
だけどいつの時代も
変わらないものがある
それは
お母さんへの愛
「18歳の回天特攻隊員の遺書」
お母さん、
私は後3時間で祖国のために散っていきます。
胸は日本晴れ。
本当ですよお母さん。少しも怖くない。
しかしね、時間があったので考えてみましたら、少し寂しくなってきました。
それは、今日私が戦死した通知が届く。
お父さんは男だからわかっていただけると思います。
が、お母さん。お母さんは女だから、優しいから、涙が出るのでありませんか。
弟や妹たちも兄ちゃんが死んだといって寂しく思うでしょうね。
お母さん。
こんなことを考えてみましたら、私も人の子。やはり寂しい。
しかしお母さん。
考えて見てください。今日私が特攻隊で行かなければどうなると思いますか。
戦争はこの日本本土まで迫って、
この世の中で一番好きだった母さんが死なれるから私が行くのですよ。
お母さん。
今日私が特攻隊で行かなければ、年をとられたお父さんまで、銃をとるようになりますよ。
だからね。お母さん。
今日私が戦死したからといってどうか涙だけは耐えてくださいね。
でもやっぱりだめだろうな。お母さんは優しい人だったから。
お母さん、私はどんな敵だって怖くはありません。
私が一番怖いのは、お母さんの涙です。
戦争が終わったから
今は大丈夫?…
だけど思う
今の世だって
特攻隊じゃなくても
こんな風にお母さんのことを思って
自分のしたくないことをする子供や
自ら家から離れていく子供も
いるんじゃない?
お母さん自身が幸せじゃないと…
お母さん自身が笑ってないと…
子供は進む道を誤って
自分を殺しちゃうってことも
あるんじゃないかな
無意識に
お母さんの涙って
死ぬより怖いことなんだね