弟に向けてしまった気持ち
今思い返しても私は弟と、
普通に話した記憶がほとんどありません。
同じ家にいても、
私はずっと弟を避けていました。
というより、
「嫌い」
と決めつけていたんです。
母が弟ばかりかばう。
私が父に反抗すると、
「あんたが悪い」
と言ってくる。
そんな繰り返しの中で、私は
「私の味方なんて、誰もいない」
と思い込んでいました。
小学生の頃、夏休みのたびに
私はいつも一人で母の実家に
行かされていました。
弟は連れて行かれず、私は一人だけ。
寂しい気持ちを抱えながら過ごす中、
親戚の誰かが何気なく言ったんです。
「あなたのお母さん、
弟の方がかわいいんだってね」
たった一言でした。
でも、その言葉がずっと
心に残ったままでした。
何があっても
私は親に愛されていない――
そう思い込むようになり、
その気持ちはそのまま弟への嫌悪感に
すり替わってしまったのかもしれません。
中学生になってから高校生の時は
私は母に反抗するようになりました。
多分、それまでは良い子だったはず。
相変わらず喧嘩の絶えない両親。
家に帰りたくなくて、
友達といつも過ごしていました。
高校時代3年間バイトもしました。
親にお金の話をしないように
過ごして来ました。
両親の喧嘩の原因は
いつもお金だったから。
なので私は
中学生、高校生時代は
家族と一緒に
過ごした楽しい記憶や
思い出はありません。
その頃…
弟が何を思っていたのか。
何を感じていたのか。
その時の私は、
考える余裕もなかったんだと思います。
幼かった弟は
私がいない間ひとりぼっちで
留守番していたんだ。
思い返すと、涙が出ます。
――もし、幼い頃に戻れるのなら。
もっと弟に優しいお姉ちゃんで
いてあげられたかも知れません。
それが、私の人生で
いちばんの後悔になっています。
大人になるまで、
まともに会話もできなかった弟。
それでも、
人生のある大きな出来事をきっかけに、
私たちは少しずつ向き合うことになる。
それは、父がこの世を去った日。
このことについては、
また後の回で綴りたいと思います。

