人事労務コンサルタント高橋です!

 

ここ2週間ほど、お休みしていました。

 

これまで、労働基準法を中心に

硬い話ばかりしてきましたので、

たまには、趣向を変えまして・・・

吉本興業の契約問題!

これをきっかけに、

色々なことを思うままに記してみます!!

 

 

そもそも、今から40年以上前は、

芸能界も含めてテレビ業界で

契約書ないなんて、ごく普通のことでした。

もちろん、

内容の規模が大きく高額な契約では、

契約書を締結しますが、

ちょっとした契約ごとでは、

わざわざ契約書を作らないなんて、

ザラにあることでした。

 

日本人どうしの契約では、

何よりも人の信用が重んじられ、

口約束で契約が成立します。

つまり

『当事者間で、口頭による合意があれば契約は成立する』

ということです。

「紙の契約書なんて水くせえ真似は、よそうじゃねえか」 

これは、

古くから興行を取り仕切る業界の人間にとって、

あたりまえの感覚でした。

 

晩ご飯になると、隣のうちから醤油を借りに来る。

サンマを焼く匂いと煙に

「今晩は隣のうち、サンマだな」とわかる。

新聞や週刊誌の文通欄には、

希望者の住所が載っている。

「スター名鑑」には、芸能人の自宅住所が

ズラーっと並んでいる。

 

こうしたオープンな状態を

おかしいと思う人は当時、

誰一人として、いませんでした。

 

そこには、

個人情報コンプライアンスなんてものもありません。

せいぜいお天道様が見ているよ」と言ったときの

お天道様の存在が

日本人の良識のよりどころだったのだろうと

思います。

 

 

平成の時代になると、日本国内で、

個人情報とかコンプライアンス、企業のガバナンス

という言葉が、よく聞かれるようになりました。

 

こういった概念は、

もともと日本人にはないものでした。

 

ビジネスの契約書も、

個人情報、コンプライアンス、ガバナンスと同様、

欧米型発想の一様式として

日本に入ってきました。

 

従来の日本の契約についての考え方と、

契約社会である欧米の考え方では、

明らかに文化が違います。

だから当然、

両者がなじむことはありません!

 

昭和の日本人を思わせる吉本興業の社長、

頭の中では

「6000人相手に確認書? そういうやり方、

なじまないよなあ」と

内心思ってるんじゃないでしょうか。

 

1987年、

マイケルジャクソンが来日したとき、

招聘元との契約書が電話帳くらいの厚さだった

聞いたことがあります。

そこには、何から何まで

具体的な事がらが記載されている。

例えば、

控室のテーブルの上に飲み物**を何本、

**を何本置いておけという風に。

 

 

そこいくと、

日本の契約書はなかなか良いものです

 

例えば、契約書の最後の方に

よく、こんな条文が入ります。

第○条 本契約に定めのない事項、

または本契約の条項に疑義が生じた場合、

甲乙誠意をもって協議し、解決するものとする。

 

これ、素晴らしいですね 

まず、人を信じていま

甲乙仲良く話し合って解決しましょうと

言っています。

相手は敵ではない。

お互い仲良くやっていきましょうという姿勢が

この文字から滲み出ているかのようです。

 

 

もっともこれが欧米で、

こんな条文が入っていれば

「契約書をつくる意味がなくなる!NO!」

と叫び声があがるかもしれません。

相手を信用せず、

あらゆる場合を想定し、

契約書の条文を定めていけば、

電話帳になってしまう訳です。

 

 

ちょっと、昭和の時代の緩い話をします

その当時、

社会そのものが緩かった。

会社も緩かった。

テレビ局はさらに緩かった。

 

午前中、出社しない部長がいました。

午後、局に電話がはいります。

「今日15時からの定例会議、俺のうちでやるから」

部員一同、仕方なく部長の自宅に集まります。

広い応接間で会議もそこそこに、

酒盛りがはじまり、その日の業務は終了

 

当時のテレビ局は、

サラリーマンの枠をはみ出した、

サムライのような人がいっぱいいました。

 

そこに視聴率なんてものは、ありません。

現場ではつくりたいものを創っていました。

得体の知れないエネルギーの塊が

局の内部に充満し、硬軟取り混ぜて、

面白い番組が次々に産み出されていきました。

 

成功の裏には色んな失敗があります。

失敗すれば怒られますが、助けてくれる。

懐が深く、相手を思いやれる

気持ちの温かい人がたくさんいました。

 

世の中全体が貧しくて、

お互い助け合って生きていこうと、

みんな思っている。

 

人々のあいだに余裕がありました。

そして、

のびのびのんびりしていました。

今よりずっと緩かった時代

 

世の中全体が性善説に支えられていました!

 

 

高度経済成長が終わり、

人々の間に助け合いの気持ちが薄れ、

自己の利益が最優先される時代

変貌していきます!

管理化が進むほど、

性悪説が幅をきかす社会になります。

 

グローバルな経済。

グローバルな会社。

グローバルな発想。

グローバルな世の中になりました。

 

閑話休題。

規模は巨大になりましたが、

会社の内部は昭和の雰囲気が漂い、

ガバナンスコンプライアンス

緩すぎた吉本興業

 

平成グローバルの硬いプレート

昭和価値観の緩いプレート

昭和プレートは平成プレートに引きずり込まれ、

そのふたつのプレートがこすれ合い、

お笑い業界に巨大地震が発生した。

そんなイメージが、

私の頭の中に浮かんできます。

 

 

性悪説の渦巻くインターネットに囲まれ、

コンプライアンス全盛の時代に、

私たちは生きています。

インターネットの普及と

個人情報保護とは、

車の両輪のようなものかもしれません。

 

人は法令遵守するべきだ! 

法令違反は罰するべきだ! 

確かに、当たり前のことです。

 

しかし、

これらのムードが色濃くなるほど、逆に、

人間の品性は劣化し、

正直者が馬鹿を見る、

窮屈で生きにくい世の中

になってしまった気がします。

 

そう思うのは、私だけなのかなあ?

 

                                                                                                                               

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