この小説の第一章からお読みになる場合は



からお読みください。


***       ***    ***     ***





第二章 祝福と呪いの九十九【後編】



「……幻覚だと、おっしゃるんですか?」


医師の言葉はもう、希の耳には届かなかった。


彼女はひったくるように腕時計を掴み、診察室を飛び出した。



_____________



帰り着いたワンルーム。

希はバッグを放り出し、スマートフォンを手にとった。


手首 数字 刻印 自分にしか見えない

100日 カウントダウン 痣(あざ)


情報の海を彷徨(さまよ)った末、彼女はあるSNSの投稿に辿り着いた。


『……左手首に数字が出た。自分にしか見えない。今は42。これって何?』



さらに深く掘り下げていくと、毎日自分の数字を報告し続けていた一人のアカウントが見つかった。



『ついに3。怖い。助けて』

『あと1。もう逃げられない』



そして、三日前の投稿を最後に、その更新は途絶えていた。

最後の一行は、たった一言。


さようなら



希はスマートフォンを床に落とし、膝から崩れ落ちた。


あの「さようなら」の先に、逃れられない終焉(しゅうえん)がある。


明日になれば、この数字はまた一つ減り、98になるのか?


希は、真っ暗な部屋の中で、ただ自分の脈拍を刻むように光る99を見つめ続けた。


これは誰かの悪戯なんかじゃない。


自分という人間に組み込まれた、正体不明のタイマーだ。



***


続きは明日20時に更新します。



もし、あと99日で人生が終わるとしたら、あなたなら何をしますか?



第二章までお読みいただきありがとうございます。

日々のノイズ(喧騒)を忘れて、希と一緒に100日間の旅に没入してほしい。そんな想いから、私が執筆中に愛用している『静寂を作るアイテム』を置いておきます。