ポニーテールと言えばロン毛。その昔、日本の男達も当然の様に伸ばしていた時代があった。安土桃山、戦国時代のチョンマゲ、江戸時代を経て、幕末の時代に入ってからポニーテールが流行り出した。やがて男達が髪を短く切り出し、男はショートカット、女はロングの黒髪が定番となっていったのは、現代人である我々が知る所では明治時代辺りなんだろうか。
そして現代になり、髪形は更に自由度を増した。罪人のイメージが強かった坊主頭もスキンヘッドと洒落た呼び方に変わりファッションになった。個人的にだけど、平成になって坊主頭を流行らしたのは、日本の音楽グループのブルーハーツ・甲本ヒロトだと思っている。私の世代は坊主頭と言えば野球少年。スカジャンに坊主頭と言う格好で暴力的に踊って歌う甲本ヒロトの姿は最高に恰好良かった。
昭和の時代のロン毛の象徴は武田鉄矢だった。此処で一々語る必要も無いくらい有名な金八先生である。平成になると江口洋介が登場する。90年代初期、フジテレビで放送された東京ラブストーリー、101回目のプロポーズ、愛という名のもとにのトレンディードラマ三作品で江口洋介の人気は不動のものになった。
江口洋介のロン毛は漫画的と言うか、ゲーム的と言うか、武田鉄矢のロン毛とは明らかに異質に感じた。判り易く書くと、武田鉄矢のロン毛はファッションにはならないが、江口のロン毛はファッションとして流行ると言う予感めいたものがあった。
事実、流行った。
街のアッチコッチで偽・江口が出没しだした。意味も無く佇み、涼しい目線で髪をかき上げるロン毛の野郎達をアッチコッチで見掛けた。当時、江口洋介は芸能界を代表するロン毛俳優だった。
この令和の時代になっても、ロン毛の男は何処か印象が悪い。スーツ姿とポニーテールは特に相性が悪い。日本では、この組み合わせの殆どが半グレか、ヤクザか、AV男優で、良いイメージが無い。芸能や漫画、アニメと言ったエンターテイメントのせいもあるだろう。何故か悪役にロン毛が多い事に気付く。パッと想い出す限りで良いイメージのあるロン毛キャラは、北斗の拳のトキくらいだろうか。トキの偽物・アミバは、やっぱり非道な悪だった。
とにかく日本社会はロン毛の男を許さない。ロン毛で髪を結んだサラリーマンを見た事が無い。
何故、いけないのか?
と言う明確な理由を何処の企業も持っていない。
答えはないが、何となく嫌いと言うのが本音だろう。それを大っぴらに言う気はない。それを言うと問題になるから。厄介事は避けたい。波風は立てたくない。スーツを着込むサラリーマンたる者は、とにかく髪を短く刈り込んで清潔感を出せと教育する。そこで面倒臭がり屋の合理主義な現代人は、日々の整髪が面倒臭いからと言って、刈り込み過ぎて坊主に近づけば近づくほど疎まれる。
だったら、どの位ならいいんだ?
と聞きたいが聞けない。そこで会社と社員の無言の忖度が出て来る。社員は定期的な散髪の度に悩んで美容師さん、理容師さんに、こう注文する。
「丁度よく切ってください」
切る側からすれば丁度よくって、どう言う事なんだと突っ込みたくもなる。突っ込めば客が怒りそうな予感がするから、申し訳程度に程々に切って済ます。こんな事になるのも全て会社がハッキリと決めてくれないからである。角刈りとスポーツ刈りはどう違うのかと研修会で説明した方がいいだろう。
小室圭のポニーテールが問題視されたのは、礼儀とは何か?って事で、髪を切れと言うのであれば、誰の為の何の為って事になる。誰に何と言われようとロン毛を貫き通す事で<媚びない姿勢>は主張できる。一方で、その縛りは「俺にとって何の意味があるだろうか?」と自問自答で考える。
ある戦国武将が勝ち目の無い戦いに挑んだ。そこで武将同士、こんな会話が交わされた。
「今ならば、頭を丸めて許しを請えば、許してくれるかもしれぬ」
もう一人の武将はこう言った。
「謝る度に坊主になっていたら一生、毛が生えぬわ」
この逸話を、ある書物で知って笑ったが、何処か今の小室圭の状況と似ている。