私は長男を普通分娩、次男を帝王切開で出産している。
無痛分娩も一般化してきていたが、
なんとなく
「母子共にリスクがある」
「お腹を痛めて産んでこそ」
というどこからともなく聞こえる声に流されて、
普通分娩を選んでしまった。
結果、分娩時間49時間、2日間徹夜絶食のスーパー難産。
産まれた3300gの大きめな我が子を見て、死の淵から帰ってきた私が抱いた感情は「このサイズを股から出すのは無理があるやろ…」である。
ここまでお腹で育てなきゃいけない人体の仕組みを恨み続けることになった。
当時はコロナ禍、立ち会いもできず、1人で未知の痛みと闘う私に、助産師さんは残酷だった。
「あのね!まだそんな声でないレベルの痛みだったらまだまだこれからだからね!」
「あなたは痛いかもしれないけど、機械で数値見る限りこんなの全然だから!」
「赤ちゃんはもっと苦しいよ!!お母さん頑張れなくてどうするの!!!」
知らんがな!!!!!!!
私は痛くてもう死にそうなの!!もうほんとそれだけ!
機械の数値も一般論も知らん!
なんで出産というだけでノー麻酔で死にそうな痛みに耐えるのが普通みたいな非常識な土台で戦わなきゃいけないわけ!?
母だから頑張れるってなぜ!?
私ついこのまえまでただのだらしない会社員だったのね!?
そんな私が一応この子の母親ということになってますけども、私の判断によるとこの痛みは無理!!!
と口に出す余力もなく、心の中で怒り狂いながらなんとか赤子をひねり出し、かわいい姿を見られた。
ただこの時は赤子のかわいさよりも理不尽さが勝利して、助産師さんの厳しさを恨んだ。
そして次の日から、痛む股と尻をかばいながら夜通し泣く赤子を抱っこして揺れるはめになり、
これから毎日理不尽と戦っていくのだなぁ…と遠い目をした。
ちなみにこの経験を経て、次は絶対日本最高峰の計画無痛分娩にする!!と意気込んでせっせと通ったものの、計画日直前に赤子が弱り緊急帝王切開になった。
幸い次男は健康で今もすくすく育っているが、
我が家の家族計画では子供は2人で終わりなので、無痛分娩は経験できず。
ただ、壮絶難産で痛みに耐えて耐えて産んだ長男も、いきなり手術室でがっつり麻酔をかけられて腹を切られてヒョイっと出された次男も、
もちろん等しく最高にかわいい。
そして今のところ次男の方が穏やかで健康である。
帝王切開だからなんだ、無痛分娩だからなんだ、という固定観念に囚われた意見で悩んでいる妊婦さんがいたら声をかけたい。
どんなお産だって命がけの立派なお産だよ。
ってコウノドリ先生が言ってたよって。