夫が待つ車まで歩く間、母は「あら?パパに無事会えたって電話入れたっけ?」と慌てて携帯を開き、私が「入れてたよ」と返すと「そうだっけね」と携帯をしまいますが、直後にまた、今初めて聞くように「あら?パパに無事会えたって電話したっけ?」と繰り返すのです。たった5分の間にこれが4回ありました。
一転、車に乗ってからの母は「あ、ここ来た事がある道よね」を連発、私が「い~え、初めて通る道だけど」と言うと「そうだったかしら」と納得しません。
以前の母はどこに連れて行っても「こんな所、来たことないわ」と言い、私が「何言ってるの。何回も来てるわよ」という会話を繰り返してきました。
15年間欠かさず観てきた宝塚も終演後にはすでに内容が曖昧、出先で1つも道を覚えようともせず、「どうやったらそんなに覚えられないの?」と呆れる私に「そんなに難しく生きたくないわ」と笑い飛ばしていた母。
私はそれを「不誠実」とか「意欲がなにもない」と捉えてきましたが、もしかしたら認知症の前兆がずっと以前からあったのかもしれません。それは「覚えられるけど、覚える気はない」と誤魔化せる範囲だったけれど、もう取り繕えない状態にまで進んでしまったから、今度はそれを悟られまいとして「あ、それ知ってる」「あ、聞いたわね」「来た事あるわ」を連呼するようになったのではないのかな?
そういえば、私の話に母が「前から言ってたわよね」とか「そんな話を聞いた気がする」を頻発するようになったために「あれ?今初めて話すのに。もしかして知ったかぶりしてる?話を合わせている?」と気がついたのだから、なんとも皮肉なことです。
この分では母の交友関係でも「あれ?おかしい」と感じている人はいるんじゃないかなぁ…。