娘は中学生になりました。
移植からちょうど一年。
一度も体調を崩す事がなく、体力もだいぶついて学校も休まず行っていました。
新しい制服を着て、朝は近くの友達が来てくれて教科書のバッグが重たいので持ってくれていました。
優しい友達です。
「部活何にしようかな〜迷うなー」
「お弁当、美味しかったよ!」
入学して二週間。
娘は中学生活を張り切っていました。
外来受診は一ヶ月に一度になり、いつもの様に学校を休んで行きました。
予約制ではありますが、採血をした後はいつも時間がかかるのは分かっていたので娘と動画を見たり、おしゃべりしたり。
外来の時は、帰りにお昼を外食するのが恒例で
「お腹すいたな〜帰り何か食べに行こうよ」
「何食べる?」
そんな会話をしていました。
その日はいつもより遅く感じました。
娘と
「遅いね〜今日は患者さん多いのかな」
と二人で話していました。
待合室も人がまばらになっています。
アナウンスが流れて呼ばれました。
「やっと呼ばれた!」
いつものようにノックをして
「失礼します。」
と診察室に入りました。
いつも外来で見てくれている先生が
「体調はどうかな?」
と聞きました。
「元気で特に変わりはないです。」
と言うと
「実はですね…白血球と血小板が低いんですよ…」
「え…」
採血結果のプリントを見せてくれました。
白血球…2000…
血小板…6万…
「ちょとね…再発の可能性があります。」
…
「はい…」
サァーっと血の気が引いていきました。
その言葉しか出ず、頭がついていけませんでした。
娘は呆然としていました。
先生が続けて
「骨髄検査をしたいのですが…入院になると思います。ご家族の事情もあると思いますので2日後くらいからでよろしいですか?」
「……はい…」
「…お母さん、大丈夫ですか?…」
先生が聞きました。
私は必死で堪えていました。
娘が隣にいる。ここは診察室、外に診察を待っている患者さんがいる。見られたくない。今、泣くわけにいかない。
「…大丈夫です…」
声が震えました。
予約表をプリントしてもらい診察室を後にしました。