娘に告知してから、明らかに娘の元気がなくなっていった。

何を聞いても話しても、上の空で
「うん…」
「わかった…」


CLSさんが元気のない娘を見兼ねて

「娘ちゃん!カードゲームしよ!」
と色々誘ってくれたが

「したくない…」
と言うだけだった。


誰も居なくなった病室で娘が俯きながら



「私…死ぬの?」


と聞かれました。

一瞬顔が強張りました。

「死なないよ!軽い病気じゃないから、治療長くかかるけど絶対治すからね。」

「パパもママも側に居るから辛いときはなんでもいってよ。」

明るい声を作りながら言いました。

「うん。わかった。」
不安そうな声でした。


娘は白血病という病気は知っていました。


どこまで知っているかは分かりませんが、今はそれでいいと思いました。



ある日買い出し中に、マロンによく似たぬいぐるみを見つけて娘に

「じゃーん!!」
と言ってプレゼントしました。

娘は
「わぁー!可愛い!ありがとう。」
と言ってにっこり笑ってくれました。

久しぶりの笑顔でした。


そして初めての抗がん剤が明日に迫って来ていました。

また笑顔見れるかな…とぬいぐるみに抱きつく娘を見ながらぼんやり考えていました。



小児病棟に入院するのは初めてで、そこは私の知らない世界でした。

点滴をつけた赤ちゃんを抱いて歩いているお母さん。

車椅子の子供達。

ケア帽子を被って、院内学級にいく子も沢山いました。

健康だった時にはまるで知らなかった世界。

こんなにも世の中に病気で戦っている子供達がいる事を知らなかった自分が恥ずかしくなりました。

そして皆んな頑張っているんだ。私もしっかりしないといけない、強くならないとと思いました。


抗がん剤の副作用について先生から説明を受ける事になりました。

目を覆いたくなる様な文字が沢山並んでる。

血小板減少 ...
貧血 ...
吐き気 ...
口内炎 ...
便秘や下痢 ...
脱毛 ...
肝機能障害と腎機能障害


どれも娘に当てはまりません様に。軽く収まりますように。と祈りました。


しかし初めての抗がん剤は予想以上に過酷なものでした。