要素価格均等化定理 | 佐々木雅士公式ブログ

要素価格均等化定理

経済の法則には逆らえない…


8月20日 金曜日  東京は 晴れで蒸し暑い  交通信号設置記念日




最近、日本を始めとして先進国で、デフレが進行してきています。
日本に至っては、もう長期間、デフレが続いていて、

ますます物価は落ち続けています。


デフレは企業の売上を下げ、労働者の給与を下げ、雇用を減らします。
その対策として、日本では様々な助成金を新設して、雇用や需要を生み出そうとしています。

けど、自分が思うには、その対策は「焼け石に水」だと考えています。


なぜなら、世界経済全体の大きなうねりからは、

小さなスクリューだけでは逃れられないからです。

過去に、日本が目先の円高を防ぐために、ずっと米国債を購入してきましたが、

やっぱり大きな円高のうねりからは逃れられず、その頃に購入した米国債の

含み損(為替差損)は、現在ではとんでもないことになっています。


当時、目先の円高は阻止したように見えても、結局は構造的な問題

の先送りをしただけの結果です。


いまの世界経済全体の流れも、実ははっきりしていて、

先進国は、これを逃れらる術はありません。

今までには無かったのに、どうしてこの先にはっきり分かるのかと言えば、

今の世界経済において、今まで障害としてあった、情報や国の壁が無くなってきて、

正常な経済原則論が働くようになったからです。



その経済原則の1つが、


要素価格均等化の定理


です。(下で言葉の解説を書きます)



経済活動が自由に行なわれる状態になったことで、

後進国には人件費を始めとした安いコストを利用するために、

仕事が先進国から流れ出て、経済活動が活発になることで、大きく経済が成長します。

先進国からは仕事が流れ出ることで、経済が縮小して、給与が下がり、物価が下がります。

(他にも物価の引き下げ要因は解説に書いたとおりです)

反対に後進国では、経済発展とともに給与が上がり、物価が上がります。


こうして、先進国と後進国の経済水準がすり寄ってきて、


いずれは最適なところに落ち着く流れです。


どうあがいても、この流れは変えられません。

目先の助成金や経済対策で需要を生み出そうとしても、

世界経済の流れは変えられないのです。

しかし、無駄なあがきだとしても、やらざる得ないのはわからないでもないですが。



これから数年で、日本では、

若い人たちが想像していなかったような賃金低下や就職難がくるはずです。

これは助成金では、変化をゆっくりに見せることはできても、カバーはしきれないものです。

誰でもできる単純な仕事しかできないままでいては、

この世界経済の進む方向性の中で、経済面ではみじめな結果を生むでしょう。


本物の力を身に付ける、または代替えのきかない能力を持つ、

特に若い人たちは、このことを早急にすべきだと思います。




プレゼント 要素価格均等化定理についての解説 プレゼント


国際経済学の理論に、「要素価格均等化の定理」というものがあります。

国際経済学の教科書には「ストルパー=サミュエルソンの定理」などと書かれていますが、

一言でいえば、「低賃金国からは低価格品が大量に流入して、賃金の高い国の労働者は、

生産要素が等しくなるところまで賃金の引き下げを免れない」というものです。


これを、もっとわかりやすく言い換えると、アジアの国々から安い商品が入ってくると、

日本の労働者の高い賃金も引き下げざるを得ないということです。

しかし、いったん上がった賃金はなかなか下げられないので、結局は

「低賃金国からの低価格品」に負けて、経済停滞が長期化するということになります。

90年代の日本は、まさにこの要素価格均等化の衝撃に見舞われて、

「10年不況」に陥ったのです。

こうした状況は日本に限らず、世界各国でも雇用を巡る事情は同じでした。

グローバリゼーションは、日本ばかりでなく先進各国にも要素価格均等化の圧力を与えました。

その表れ方はバブルの後遺症を抱えた日本と諸外国では異なるが、相対的に恵まれた

先進諸国の労働者の安定した雇用と賃金に対して「破壊圧力」をかけた、という点では共通しています。

要素価格均等化の定理 ( ストルパー=サミュエルソンの定理 ) により、

世界各国の賃金は等しくならざるを得ない、と書かれています。

この定理は、( 賃金の安いアジア諸国と競争すれば ) 日本やアメリカでは、

労働者の賃金は安くならざるを得ない、と説いています。

これは言わば当然のことであって、わざわざ、「定理」 といわれるまでもありません。

現在、日本で非正規雇用が増えたり、正規雇用であっても待遇が悪化し続けている原因は、

まさに、この 「要素価格均等化の定理」 が説くメカニズムによるものです。