短髪に剃り込み、色付きのメガネ。こわもてで登場するその姿は、クラシック界の風雲児と称されるのもうなづける。

しかし、ゴリゴリ硬派の風貌から奏でられるその音色と音楽は、いたって『繊細』と評判。


テクニックもさることながら、このギャップ萌えに、世の中のみんなが夢中になるのも当然のことか。



石田組を率いる石田泰尚さんの第2夜 ヴァイオリン🎻と ピアノのデュオを聴いてきました。

ピアノは若手の實川風(じつかわ かおる)さん。




石田泰尚さんのファンは、私の周りに多いです。

以前プレトニョフを一緒に聴きに行った小学校時代の友人は、石田さんの第1音を聴いた瞬間にガツーンとやられた、と。

涙が止まらず、ついにはヴァイオリンを習うまでに至りました😊


以前職場で一緒だった方も、石田さんの『亡き王女のためのパヴァーヌ』を聴き、涙が止まらずファンになったとか。


その他にも数人、石田さんの音色、テクニック、風貌、そしておしゃべりに魅了されている方、知っています😁


音色はすでに折紙付き。

プログラムの最初はバッハ/グノーのアヴェ•マリア。


前奏にあたる美しいピアノの調べから聞こえる、ヴァイオリンの第1音は?




やっぱり繊細😭



なんと表現したらいいのだろうか?

私は今まで、もっと太く、力強い音のヴァイオリン🎻を聴いてきたような気がする。


彼の音色は清らかだった。グノーの旋律が、ピアノの調べと相まって、流れる澄んだ水のように、会場の隅々まで染み渡っていくような。


なんだか、会場が浄化されるような。そんな印象を持ちました😊


そうです。演奏スタイルも粘っこくなく、サラサラと流れがあり、ヴァイオリンってもっと溜めて溜めて弾く〜みたいなイメージがありましたが、程よくエスプリの効いた会話をしているような、そんな雰囲気でした。


それはクラシック曲の、おそらく超絶技巧と思われる曲でも随所にみられ、本当にアーティキュレーションが素晴らしい!


ヴァイオリンに関しては全くの素人が何を言う?という感じですが、言います😁

ボウイングがすごく上手だから、このような多彩な表現ができるの?


ちょうど楽器が顔の近くにあるので、流れ出てくる音が、時には朗々と歌い上げるような、時には会話をしているような、それも低い声だったり、コソコソだったり、ペチャクチャだったり、コロコロ笑うようだったりと、とても豊か。


バッハ/グノーの後は、ドヴォルザーク、クライスラー、スメタナ、シューマン、ブラームスと、どちらかと言えば重厚なプログラムでしたが、テクニックの中にも歌心が満載で、聞き応えのある内容でした。



そして、ピアニストの實川風さん。私は初めて聴きましたが、とてもお上手でした。ピアニストとして活躍されている方が『伴奏』として演奏するのはどんなもの?と思っていましたが、いや失礼いたしました。伴奏ではなく『共演』、いや『競演』?(プログラムは『共演』でした)


音色も美しく、石田さんとのタッグはお互いの相乗効果もありなかなか刺激的。

ご本人もアンコールの際、『毎回刺激を受けていますが、だんだんその刺激をもっと欲するようになる』と仰ってました😊


濃厚なプログラムを全て終え、万雷の拍手の中、風を切るように現れる石田さん。


ここからが真骨頂?

手にはマイク🎤もう9時回ってますが、行きますよーと宣言して、怒涛のアンコール 計5曲👏


クライスラーの名曲にピアソラ!と続く最後は、實川さん編曲「トッカティーナ」。

初めて聴きましたが、ピアソラとバッハが融合した見事な作品で、そしてその演奏たるやまさしく男の闘い!


石田さんのヴァイオリン、實川さんのピアノがぶつかり合い、火花が出るのではと思えるほどの熱演。


まさしく熱狂の夜でした🔥


弾き終わった最後に大きく弓を空に切る様は、実直な武士が、意を決して刀を振りおろすようにも見え、彼の、音楽に向き合う決意の表れのように感じました。