熊川哲也さん率いるKバレエ、ラ・バヤデールを観てきました。




バレエが好きと言っても、幕ものの作品を観たのは数えるぐらいの私。


生で全幕見たのはジゼルとくるみ割り人形ぐらい?あとはテレビでロミオとジュリエットとか?


ピアノもそうだが、有名どころの作品を並べたリサイタルと、ソナタや組曲などの楽曲全部を演奏するときとは、同じ作品だとしても、その表現方法や魅せ方は違ってくる。


改めてバレエとは何か?と調べてみると、それは舞踊の形式の一つとある。バレエにはストーリーがあり、その感情や意志を踊りによって表現して劇を進めていくもの、となる。


そう!『踊り』によって『感情表現』する『劇』なのです!


ガラコンサートのパドゥドゥが、舞踊テクニックで魅せるものだとしたら、幕ものを上演することの意味は、その作品のストーリーや各場面にある各々の感情が、踊り、振付、そして演出によって表現される『総合芸術』のようなもの。


今回は、この感情表現というものを、踊りからとても強く感じました。

あくまでも、バレエど素人の感想ですけどね。



ラ・バヤデール。私はストーリーを知らなかったので、解説を読み予習をする。

すると…


白鳥の湖のジークフリート王子といい、

ジゼルのアルブレヒトといい、

そして、ブルータス、お前もか!と叫びたくなる、

ラ・バヤデールのソロル…


時代背景?

悲劇のヒロインを作るため?

嗚呼!この時代の男性は、かくも美しい女性に、何故にこんなにも弱いのか

(T ^ T)


婚約者がいるのに、身分を偽って恋仲になったり(ジゼル)

真実の愛を誓ったのに、妖艶な黒鳥の美女に魅了されたり(白鳥の湖)


ラ・バヤデールもそうでした…

愛を誓い合った女性ニキヤがいるのに、権力と美しさに負けて、ガムザッティという違う女性と婚約してしまうソロル。


ニキヤとガムザッティは共にソロルを愛している。

この女性二人のシーンがとても見応えがありました!


『私はソロルを愛しているのよ』

『いや、私こそが愛しているのよ』

『身を引きなさい』

『嫌よ、絶対イヤ』


まさに修羅場。

ここは、振付けらしいものはあまり感じず、女同士の感情のぶつけ合いを体で表していたのですが、音楽にのって立ち振るまうその姿は、全身からそのセリフが聞こえてくるような…


まさに『感情』ありきの身体表現だわ!


また、ガムザッティと婚約したソロルの前で、舞を踊るニキヤの踊りが🥹

もう、見ているのも辛くなるほどの悲しみに溢れて…😭

素晴らしいですね。このような表現ができるダンサーが日本にいらっしゃる👏


ニキヤ役もガムザッティ役の女性ダンサー2人とも、とても美しく、感情表現も豊かで楽しめました。



舞台セット、照明、そして衣装もとても綺麗でした😊

お客様からどう見えるか?

常にその視点で考えているのかな、と個人的には感じました。


昔、娘がバレエを習っていたときの衣装合わせのことを思い出します。


6人の子がそれぞれ違うカラーの衣装を合わせて立ったとき、先生は色のバランスを見て、2人の子どもの身長が同じなのを確認すると、衣装を取り替えるように仰ったんです。


舞台からの見え方を考えて言ったのですが、子どもからしたら大事件笑

「私の今回の衣装は水色🩵」と思っていたのに、いきなり「はい、あなたみどりね🟢」と、突然変更ですからね。


舞台の世界では、わりとよくあることなのかもしれませんが、ピアノ演奏だと、自分のことを中心に考えてしまいがち。(自分のことで精一杯ってこともありますが😅)

人に聴かせるのなら、こういう視点も大切かも…!



第二幕の幻想的な影の王国のシーン。

ここはコール・ド・バレエの見せ場。


舞台上に3段のスロープが組まれていて、坂の1番上から1人ずつ登場。斜めになっているだろう坂の途中で、片足を高く上げて静止。するとまた次の人が現れ、順々に坂を下っていく。


1番初めに出てきた人で40回以上ポーズするとか。

しかし、ここが、とてつもなく美しかった!

ぐらつく人もなく、緊張感もありながら幻想的な雰囲気が最後まで漂った、素晴らしい踊りだったと思う。


久しぶりに観るバレエは、まさに夢の世界。

現実に追われて疲れている私に、非現実の、まさに「夢心地」のときを与えてくれました。

もっとバレエ、観たくなりました😊


最後に寺院の中で踊る、キャラクターダンサー ブロンズアイドルの踊り。

熊川哲也さんが、昔、踊ったときの映像をあげて終わりにします。

私的には、彼の台座への戻り方も隙がなくブラボー👏

やっぱり、熊川さんは素晴らしい👍