こんばんは。まるマリンです😊


2021年ショパンコンクール1位 

ブルース•リウ氏のピアノコンチェルトを聴いてきました。




華麗なテクニック

クリアな澄んだ音色

躍動感あふれる演奏


彼のピアノを讃え、形容する言葉はたくさんあるが、私が何より感心したのは、彼の体の内から湧き出る『リズム感、グルーブ感の素晴らしさ』だった。


演奏者の敬称に『氏』を使うことが多い私だが、今日はブルース『くん』と書きたい。ピアノを弾いていないときの彼は、そんな表現が似合うような佇まいだった。


26歳。立派な青年。

それでも、舞台に出てきたときの彼の印象は、若い人特有の細身のシルエットからか?とても若く見えた。

プロの堂々たる威厳はまだ感じさせず、あくまでも個人的な感想だが、

「これからこのオーケストラを相手にコンチェルトを弾くの?」と声をかけたくなるような、そんな可愛さも感じる雰囲気だった。(私の席は3階でとても遠かったが)


コンチェルトの生演奏を聴くときいつも思うのだが、最初のオケによる提示部?の演奏を、ソリストはどんな気持ちで聴いているのだろう…

ブルースくんの出だしはどんな音なのか?そんな期待を抱きながら、私もオケの演奏に耳を傾ける。


1楽章。ピアノの音が鳴る。

優しく澄んだ音色。

なんて澄み切っている音なのだろう!

華麗な指さばき。的確な打鍵。鍵盤の上を滑るように、縦横無尽に滑らかに動く手。

その音を生み出す弾き方は、決して荒々しくない。


2楽章は、それを表す適切な言葉が見つからない。それほど美しいピアノだった。


最近、巨匠の演奏会に続けて足を運んでいた。

そのときのピアニシモの音をどう表現する?と問われたら『真珠がこぼれ落ちるような』という比喩をすると思う。


ブルースくんの場合はどうか?と聞かれたら?

『煌めくダイヤの粒ようなピアニシモ』

と答える。

一音一音がキラキラと輝いて聞こえた。


2楽章の美しいカンタービレから、3楽章の軽快な演奏に入る。小気味のいいリズム。


冒頭に書いたが、彼の演奏には他の人からはあまり感じないリズム感、グルーブ感があるのだ。

それは習得したものではなく、彼自身の体の中から飛び出してくるとしか思えない自然なノリ。それがとても心地よい。


哀しいかな歳を取ると、なんでも何かと重く粘っこくなってしまう😢

往年のアイドルが当時の歌を歌うと、演歌のように粘っているのが聴こえ苦笑する。が、私のピアノもそうなのでは?と青くなることしばしばだ😰


ブルースくんのこの弾むような感覚。クラシック音楽だけど、ビートを刻んでいるような…

とてもフレッシュな感覚を覚えた。

これは…私は体に入れられないよなぁ😢


爽やかな、そして澄んだ清らかな音に、人を勢いづける演奏。これはブルースくん元々の持ち味だと思うが、彼自身が若い、『今』の演奏を聴いたことは貴重だったと思う。

若き才能豊かなピアニストの、今後の活躍を楽しみにしたい。


ピアノはファツィオリ。(多分です。ショパンコンクールでも使用していたし、遠目から見る、ピアノの側面に見えるロゴの形からそうだったと思う)

彼の演奏スタイルとピアノの音色がとてもマッチしている。ピアノ自体が持つクリアな音色と、ブルースくんの都会的な洗練された演奏が、よりスタイリッシュな雰囲気を増長させて、とても気持ちの良い演奏会だった😊


『希望』

そう、若い人には希望を感じる。巨匠の演奏も素敵だが、若き未来あるピアニストの演奏からは、エネルギーと可能性を感じ、心浮き立つものがあった。


アンコールも粋だった。

リスト『ラ•カンパネラ』

あまりにも有名な曲。正直、幼い頃から聴きすぎて、今は苦手にすら感じ、自ら好んで聴くことはない曲。


でもこれが『新•ラ•カンパネラ』だった‼︎右手の超絶技巧に意識がいきがちだが、またしても彼の左手のリズムが、本当に素晴らしかった✨

真似したいけどできない。これが『才能』なのか!と唸ってしまった。


もちろん超絶技巧も難なくこなし、私が日頃「満腹感」を感じてしまう高音の連打音の、なんと美しいこと!


隣に座るご婦人が、休憩時間に話しかけてきて、語った言葉を思い出す。

『ブルースのピアノは聴いていて飽きることがない。とても新しい✨』

その通りだ。


アンコールの2曲目。

ショパン(サラサーテ編曲によるバイオリンとの二重奏)ノクターンop.9-2


なんとも贅沢な演目だった。

ワルシャワ公国フィルの女性のコンサートマスター(恥ずかしながら知りませんでしたが、女性はコンサートミストレスというのですね)のバイオリンの音色は美しく、ブルースくんのピアノの音と溶け合い、至福の時が流れた。

改めて、このノクターンのメロディーはなんと甘美なのか!


最後のコーダ。バイオリニスト🎻はソリストとして、華やかな演奏を披露。

ブルースくんは体の向きをピアノから客席の方に変え、長い両脚をちょこんと揃えて座り直す。『どうぞ思う存分、弾いてください!』と言わんばかりの仕草と、ソリストを覗き込むようなお茶目な姿に、会場は温かい笑い声で包まれた。


輝かしい将来に向けて、スタートを切っている若きピアニストは、クラシック界の裾野も広げている。


このような演奏会は年齢層が高いものだが、今回は若い方、それも女性の姿がとても多かった。

「ペコリ」という表現が似合うようなお辞儀をするブルースくんに、舞台の下からプレゼント🎁を渡している方もいらした😊


無限大♾️の可能性を秘めたブルースくんに、私は遠くから届けとばかりに、大きな拍手を送り続けた。

とても素敵な時が流れた演奏会だった🎶


長くなったのでワルシャワ公国フィルの話は後日に😁