BUCK-TICK『ABRACADABRA』前編 | 秋田和徳ブログ『バラ・グラフィック』

BUCK-TICK『ABRACADABRA』前編

Be Bop Deluxeで「Maid In Heaven」。

 




2020年9月21日発売、
BUCK-TICK『ABRACADABRA』。

 

フィジカルリリースは3形態。
CD、及び、約22年振りのアナログレコード、
そして約28年振りのカセットテープ。

 

 

 




アナログ盤は2枚組、180g重量盤。
ジャケット外側(表1-4)は
さりげなくインクの数を増やして
(アナログ盤のみ)エンボス加工の特殊紙に印刷。
トレーシングペーパーの帯付き。

 

 

 

 

 




表1-4とは対照的に内側(表2-3)は
グロスPP貼りのピカピカ。
表3にはアナログ盤ジャケットのためだけに
撮り下ろした個人ショットを使用。

 

 

 




さらにはリヴァーシブル・ポスターを封入。
片面はここだけにしか使用していない
(アー写とは異なる)カット。

 

 

 




子供の頃、
レコードジャケットの中に思いがけず
カラーピンナップを見つけた時に味わった
ときめきの伝承。

 

 

 




一度覚えたら(文字が霞んで見えても)
間違えることのないレーベル面。
写真上2カットは未提出案。

 

 

 

 

 




本当はもっと大きくしたかった歌詞(をCDと比較)。

 

 

 




レコード会社の計らいで外側のビニールも
厚手の良いものを使用と、もはや採算度外視
至れり尽くせり(?)のアナログ盤。

“当たり”です。

 

 

 

 




Cover Girl : Nezuko
Photographer : Komatsu Yosuke
Hair Styling & Make Up : Tanizaki Takayuki, Yamaji Chihiro
Stylist : Shimizu Kenichi
Pose Assist : Akita Yuko



https://www.jvcmusic.co.jp/linguasounda/abracadabra/



CDは24ページ・ブックレット、
完全生産限定盤はゴールドの箔押しを施した
透明スリーヴケース付き2枚組。

 

 

 

 

 

 




タイトルロゴは最初から
「グルグルと永遠にループ」案(ほぼ)一種でした。

 

 

 

 

 




ブックレットに使用した個人ショットは
一度撮影したものをプリントし、
それを再度撮影したもの。

 

 

 




とりわけ印象深いのは「舞夢マイム」のページ。
「歌詞表記をカラオケの画面に出てくるような感じに」
と、この曲限定でリクエストがありました。

また、男女のパートを表す
スペードとハートマークは当初、
深く考えることもなくハートだけ赤くしていました。
ところがふと
「女でも 男でも どっちでもいいのさ」という
別の曲(「ダンス天国」)の歌詞が脳裏をかすめ、
このふたりは男男かもしれないし女女かもしれず、
色分けは撤回。

 

 

 

 




今世紀初?
カセットデッキの電源オン。

 

 

 




カセットテープに関しては
ただの縮小ジャケではヴィジュアル的に弱いと判断、
ある思惑もあって当初は仕様の予定になかった
スリーヴケースを、またしても、重ね重ね
レコード会社に無理を言って
付けていただくこととなりました。

その思惑とはご覧のとおり、
そのサイズにふさわしい別のアイディア、
新たな付加価値を与えるということ。

 

 

 




これはカセットのサイズ(小ささ)だからこそ
成立し得ると判断してのアイディアでした。

紙媒体のデザイナーにとって
サイズというのは非常に重要で、
「原寸」でどう見えるか、
常にそのことを念頭に置いてデザインしています。
マッチとポスターでは考え方が異なるのです。

ところがネット上ではCDもLPも、
文庫本も百科事典も、
画像のサイズにさほど差がないというのが
厳然たる事実。
今作のジャケ写がアップされた際、
左右幅を揃えて縦に並べた場合には
カセットテープがもっとも大きく
際立っているのを目の当たりにし、
自分の思惑がネット上では何の意味もないことを痛感。
悲しいほどかけ離れていた
イメージとの落差、サイズの違和感に
「早く発売日よ来い!」と
願わずにはいられませんでした。

卵の大きさも良い塩梅になる、
「(手のひら)サイズ」を何よりも大前提とした
“カセットテープのためだけのデザイン”。

 

 

 

 

 




テープ本体もケースもあえての「白」。
無論それはジャケットのヴィジュアルに由来。
スリーヴケース内側の文字も永遠にループ。

 

 

 

 




それにつけてもなぜ卵…。

 

 

 










*
My all-time favorites
#240

曲は、The Stranglersで「Always The Sun」。

 

 

 

 

 




昨年9月(頃)に東京都内各所に掲載された屋外広告。
ビルボードは3m×4m、
駅貼りポスターはB0(ゼロ)サイズ。

 

 

 

 

 




そして、写真に収めることは叶いませんでしたが
フィルム・コンサート・ツアーで全国を巡った
トラックのパネルデザイン。