エリザベス・キューブラー・ロスをご存じでしょうか?
魂存在が肉体と連携することで人として生きていくことを実体験から確信していた医師であり
医療をはじめ、スピリチュアル、心理学など多大な影響を与えたひとでした。
彼女を簡潔に紹介すると、以下のようになります。
エリザベス・キューブラー・ロス博士
ターミナルケアのパイオニア的存在であり、 その成果をまとめた「死ぬ瞬間」は
世界的ロングセラーとなった。
(自伝『人生は廻る輪のように』の著者紹介より)
(「死ぬ瞬間」の中で)彼女は初めて今日死の受容のプロセスと呼ばれている
「キューブラー=ロスモデル」を提唱している。
まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)の考察や悲哀の仕事(Grief work)
についての先駆的な業績で知られる。
(Wikipedia)
http://www.ekrfoundation.org/
科学的に事象をとらえる訓練を受けた身でありながら
医師としての経験と知識と、
病棟の入院患者や掃除婦から聞いた話や、数々の自らの霊的体験から
以下の問いに向き合ってきたのでした。
死とは、何なのか。
死にゆくとき、人はどうなるのか。
では、死ぬとき人はどうすればいいのか
いまでこそ、医師の手による臨死体験や輪廻転生についての多くの論文や書物があり
ますが、彼女はいち早く大きな声でそのことを発言したパイオニアでした。
彼女の波乱万丈の人生に、“ホメオパシックな” エピソードを発見。
彼女の自伝 『人生は巡る輪のように』 に載っていたのですが、
ある年のイースター休暇に行ったワークショップにまつわる話です。
読みながら「ああ、これはホメオパシーだ」と思い、またホメオパシーを知っていたかどうか
わかりませんが、自分の反応に対して即座に適切なレスポンスを返すことができている
のは、さすがロス博士と思いました。
以下、その自伝の関連部分を要約してご紹介させていただきます。
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ワークショップそのものはうまくいった。
しかし、主催者が意地汚く強欲な男で、そのために不愉快な思いをすることになった。
会場と宿はお粗末で、参加者の食欲が旺盛過ぎると文句を言われ、
画用紙代やクレヨン代まであこぎに請求された。
ハワイから戻り、空港で会った友人たちに「ワークショップはどうだった?」と聞かれた。
わたしが黙っていたので、友人は冗談で
「イースターのうさちゃんの話が聞きたいな」
といった。
その言葉を聞いた途端、わたしはなぜか身も世もなく泣きくずれた。
ハワイで抑えていた怒りとフラストレーションが堰を切ったように噴出した。
どうみても、わたしらしくない行動だった。
その夜、自室に引きこもって、思いがけない感情の激発の原因を探った。
すると、
「イースターのうさちゃん」という言葉がひきがねになって、
少女のころ 「ブラッキーを肉屋に持っていけ」と父親に命じられたときの苦い記憶が
よみがえったことが分かった。
※ブラッキーは、彼女が可愛がっていた黒ウサギです。
ロス家では庭でウサギを飼っていた。なかでもこの黒ウサギは、少女のエリザベスが
両親や兄弟(彼女は3つ子で、一緒に生まれた姉2人と、年上の兄がいました)には
わかってもらえない心を打ち明ける親友でした。
ブラッキーを肉屋に持っていく事件は、父親の絶対的な命令から始まったのでした。
彼女はブラッキーを逃がそうとしたのですがうまくいかず、親に怒鳴られ、自分の意思では
どうすることもできずに肉屋に連れていったのでした。
母親が調理したブラッキーの肉を、家族はおいしいと言ったけど彼女は食べることができず
涙を流しました。それを見ていた父親は彼女をしかりつけたのでした。
四〇年近くも抑えていた苦痛、怒り、不公平感が、とつぜん洪水のように氾濫して、
あの時流すべきだった涙を、今日流したのだということがはっきりした。
同時に、自分には吝嗇な男に対するアレルギーがあることも気づいた。
意地汚い男に会うたび、わたしは緊張し、可愛がっていたウサギの死を意識下で
思い出していたらしい。
いうまでもなく、感情を表出したわたしは、すっかり気分がよくなっていた。
最高度の水準で人生を生きるためには、どうしても排除しておかねばならないものがある。
それは、内なる否定性、やり残した仕事…内なる黒ウサギである。
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このエピソードって、
ホメオパシーのレメディで起きる、典型的な好転反応と同じプロセスを辿っています。
レメディが与えるきっかけによって、抑圧されていた過去の症状・感情が戻ってくる
↓
もう一度、きちんと症状や感情を体験する
↓
症状の治癒/スッキリ解決
ロス博士のエピソードでは、レメディに相当するものは、
1. ワークショップ主催者の男性の態度
2. 何気ない友人のひとこと
でした。
1. で相当モヤモヤしていたところに、
2. が仕上げをした、感情のトリガーを引いたのです。
なお、ホメオパシーは、物質を希釈するものだけをレメディとはとらえていません。
言葉は、最強のレメディなのです。
ロス博士は、「言葉のレメディ」に触発された自分の感情が、状況にふさわしくない、
不自然なほど大きく動いていることに注目し、
何が自分の感情をそこまで大きくしているのか 理解しました。
そして、自分がやったことが
40年前にするべきだったこと=怒り、泣き、言葉に出すことも。
さらに、それによって
40年間ため込んできた、心の抑圧が解かれ、そこから解放されたことも
即座に理解したのでした。
こうして彼女は、
自分さえも気づかなくなっていた未解決だった心の傷を、自分で癒したのでした。
子どもの頃のトラウマは、得てして大人になっても持ち続けます。
ほとんどの大人は、傷ついた子どもの自分=インナーチャイルドを抱えて生きています。
しかしホメオパシーでは、このようなメカニズムで、過去の自分に対峙することや未解決
であった心と体の問題を解いてゆくことができます。
ロス博士のいうように、
最高度の水準で人生を生きるため、今に生きるために
そうした過去の重荷は取り除く必要があるのです。