前回(9月6日)からだいぶ時間が経ってしまいました。
続けます。
翌日、AB社の本部にお邪魔して、恐るおそる費用の概算を聞きました。
内心どきどきで、口から心臓が飛び出る出るくらいでした。
「部長、幾らくらいの回収費用をお支払いしたらよろしいでしょうか?」と尋ねたところ、
その返事は耳を疑うものでした。
「御社は製品も良いし、担当の人もよくお店の面倒をみてくれているようだから、お店の受けもいいよ。
今回は大した手間は掛かっていないから、お店の人とも相談したけど、御社への費用負担無しで良いですよ。
全部負担してくれると言う御社の腹づもりも嬉しかったから、信用します。」と言われました。
本件は、すぐに対策をとって予定を提示し、すぐに飛んで行って丁寧に本心から謝り、
回収費用は全部負担する、ということで信用して頂き、許して頂けた事と思います。
スピード感も大切だったと思います。また、少しでも回収費用を安くしてもらおうなどという事を言ったら、
その場で取引停止になったかもしれません。腹をくくって言ったのも良かったということです。
更に、購買部長からは「違う製品の企画(品揃えを増やす)もしているので、来週もう一回来てくれますか?
企画部を入れて話しましょう!」とまさに腐った?エビで鯛を釣るという話しになりました。
AB社担当に「よかっただろ?相手に一点の不安も、不満も出ないように対応すれば、許してくれるもんだよ」
といったら、泣きそうになっていました。
帰りに、AB社の受付の女性から「どうでした?部長から許してもらえました?」と声をかけられました。
「えっ?」と思いませんか?なんで受付の女性がこの件を知ってるのでしょうか?

じつは、これぞ営業の極めつけの仕事なのです。最近ではコンプライアンスもあり、やりづらくなりましたが
営業の世界では「取引先の会社の受付の女性をおとす(仲良くする)」ことが営業をスムーズにやるコツなのです。
AB社の受付の女性には、有名店のお菓子(若い女性の好むブランド品か、地元のもの以外はダメです)などを
適時持って行っていましたし、クリスマスや何も無い時にも、食事に誘って表参道や青山などへ行ったものです。
ですから、訪問時の会議室などはいつも立派な部屋(ときどきVIP室)でしたし、会社の人事情報
(受付は総務部に所属しますから)や社内報などは、社内の人よりも早く入手していました。
さらに、購買部長と受付の女性達が仲の良い事は知っていましたので(受付の女性が会議室にお茶を持って来てくれた時の、
部長との会話から分かります)、この不具合の話しも女性達が知っていても不思議はありません。
ですから、帰りに声をかけて来たんですね。
こちらから受付の女性に言って、うまく取り計らってもらおうとは全く思いませんし、話しもしていませんが
裏では彼女らが何らかの話しを部長にしてくれていたのかもしれません。
してないかもしれませんが。。。
女性を味方につけるという事は、顧客側の女性であっても悪い事ではありません。
逆に上手く行く事になるかもしれません。
閑話休題。「ピンチをチャンスに変える」という事は、日常の丁寧かつ誠実な営業努力が無ければなし得ない事であり、
顧客との信頼関係の構築が何にもまして重要だと言う事です。
もちろん、そこには腹の据わった冷静な判断と、顧客にメリットのある新しいアイディア(提案)が
なければなりませんが。
この章は、これで終わりです。