実践!仕事論 小山薫堂×唐池恒二


【地方再生】

 

●これから、日常的には福岡や東京のような便利な都会に住んで働いても、

週末にはゆったりと田舎で過ごすというライフスタイルがもっと増えてくるような気がする。

 

今、国土交通省のグランドデザインの委員をやっていて、2050年の日本をどういうデザインにするかを考えている。

唐池さんが「交通が便利になると都市が衰退していく」と言いましたが、

その委員会での話し合いの大きな軸となっているのがリニアモーターカーです。

小山氏は、インフラについて考えるより、むしろ教育をどうするかとか、そういう部分が重要だと思う。

どんな思いで人は野菜を育てたり、買ったりするのかを考えるほうが大切じゃないかと話したりしている。

確かに強い人にとっては、リニアモーターカーができることによって、便利になる。

でも、一般の人にとっては実は、いくら東京~大阪が近くなったところで、ほとんど変わらないような気がする。

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・田舎は、田舎の持つ本来の良さが失われないように、努力していかなければいけないと思います。

都会に負けない利便性を備えようとして、大型ショッピングセンターを持ってくれば終わりという田舎では、

しょせん利便性では都会に及ばず、「やや不便な都会」みたいなもので、

実際に都会で住んでいる側から見て、全く魅力がない。

 

それでは、ますます地元出身者も田舎に戻らない。

これからは、里山があるような田舎の良さが残っているところが、郊外や地元の町として評価されていくのだと

思います。

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2006年に亡くなった東京大学の木村尚三郎教授は、町づくりの大家でありますが、

都市を構築する3大要素を挙げています。

1.安全安心な町。安全でない町には人は住まないし、離れていく。

2.歩いていて楽しい町

3.食とショッピングが充実していること

 

そして、「歩くのが楽しいのは京都」と挙げておられました。

京都を歩いていて何が楽しいかって言ったら、細路地の狭さがいい と先生は仰る。

細路地を曲がって、左右に何があるかわからない、歩きながらの物語がある、発見があると。

その路地こそが京都の魅力である。

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・熊本の天草にある「崎津」もまた、素敵な町、集落です。

「崎津」に「南風屋(はいや)」という店がある。

正確に言うと、空き家を改装した、地元のおばちゃんが四方山話をする所です。

狭い部屋に机がひとつあって、近所のおばちゃんが、お昼時になるとおかずを一品ずつ持ち寄って、

みんなでわけて食べる場所なんです。

そこでおばちゃんたちが食べていると、その家に面した道を観光客が通ると、どうぞどうぞ、おいでおいでと、

おばちゃんたちが招き入れて、天草の手作りの一品を食べさせてくれる。

食べていると、「へえ、東京から来たの」とか、話かけてきて。

ひょっとしたら、何か売りつけられるんじゃないか?と思うぐらい親しげなわけですけど、そんなことはない。

ただただ、東京の話を聞いたり、おばちゃんたちが自慢話をしたり、まるで家族みたいな雰囲気になって談笑する。

観光案内所でもなく、お店でもなく、ただ地元の暮らしの中に飛び込んで、地元の知らない人と話し、

その親類縁者のように触れ合う感じなのです。

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【リーダーシップ】

 

・長野県に小布施という町があります。

ここは町作りということで言えば、非常にうまくいっている。

小布施町長が「小布施堂」という由緒あるお菓子屋の出身で、その小布施堂を軸に町づくりが行われている。

ここは、町長と小布施堂社長との2人が引っ張っている。

先代の小布施堂社長は、社長をしながら、町長をしていたぐらい。

今の社長は、東京で勉強して帰郷した人だと思うけど、町づくりには、「よそ者、馬鹿者、若者」が必要だと言われている。

一度外から自分の故郷を見て改革していく、というケースに成功例が多い気がする。

もちろん、新しいものは受け入れられる時もあるし、反発を招く時もあるわけですが。

逆にずっと同じ地元や組織にいたままで、視点が内向きだと、新しいことをやったところでうまくいかない。

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●組織は社長で大きく変わる。

リーダーに求められるものは、「夢みる力」だと思っている。

平たく言うと、展望、ビジョンを持つ、ということになりますが、言葉として「夢みる力」の方が私は好きです。

その「夢みる力」で高い目標に向かっていく。

向かっていけるように周囲の人を鼓舞していく。

「ななつ星」はまさにそうやってできた列車だと思っています。

 

もう一つは、「伝える力」。

それは社員に対してと、社外の人たちに対してと。

「気」を社内に与え、社外に発信し、「気」を充実させるのが社長の仕事だと、5年間の経験で確信した。

 

「夢みる力」「伝える力」は、社長に限らず、チーム単位の組織の上に立つ人が持つべきもの。

これによって、チーム内の人間が同じベクトル、方向を向くことになる。

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【ニッポンの未来】

 

・大阪の地盤沈下は激しい。

理由は、東海道新幹線ができて、交通が便利になって、重心の大きい東京のほうへと企業の本社がいってしまった。

便利になればなるほど、重心、重力の大きいほうへと引き寄せられる。

 

九州の中でも、同じようなことが起きている。

福岡の情報発信力が強いから、みんなここに集まってくる。

女性は働く場所があると思うので、みんな福岡に来る。

ファッションもおしゃれやしと。

九州内の各地の大学を卒業したら、就職で福岡に来るという人は多い。

福岡はミニ東京。広島の人も、今や大阪に行くより福岡に行きたがると聞く。

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●日本は長寿国というけど、今の長寿の考え方はふたつある。

1.「生きている」ではなく、「死んでいない」という状態での長寿。薬だけで延命させる、ただ生かし続けているだけ。

2.年をとっても元気で幸せそうに暮らしながら、ある日突然ぽっくりと逝く。

 

言うまでもなく、2のほうがいいに決まっている。

では、どうすれば2のほうに近づけるかというと、お年寄りも仕事をすることだと思う。

人は仕事をして、社会とつながっているときに輝く。

 

小山氏の実家は、天草で地元に「しゃべくり場」的なものをつくることによって、高齢者らしい仕事を生み出した。

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●都会に住む一人一人が「ふるさと」を自由に登録していいという制度にし、もう一つのふるさとをつくって、

その田舎でおじいちゃんおばあちゃんが彼らを受け入れるという仕組みはできないか。

新しい養子縁組みたいなかたちで、都会で働く人はリフレッシュに、

田舎暮らしのお年寄りにとっては生活の張り合いができるし、

お互いが刺激を受けられるように。

 

高齢化社会では、それぞれのお年寄りに、生きる目的、みんなから頼りにされるという生きがいがないと、

どんどん元気がなくなってくる。

自分自身が生きがいを見つけるか、周りから期待されるか。

 

そういう意味では、農業は最高にいい業態。

作業はきつそうに思われるが、高齢者でもやっていける仕事だと思う。

収穫期になると、近所の農家のおじちゃんに手伝ってもらう。

一人では維持できないので、若い後継者がいないところは、耕作放棄地になっているので、

近所のお年寄りの力を結集する以外にも、近くの都心部から若い力を借りて、農業会社の仕事を手伝ってもらう。

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