トトロの頃の制作費は一般的なアニメと同じだったが、
その後20億円から50億円になった。作品の質は向上していない


アナと雪の女王に完敗

宮崎駿、高畑勲の引退以降に始めて製作された『思い出のマーニー』が7月19日に公開
され全国ロードショーで上映されています。

3月14日から公開のディズニーのCGアニメ『アナと雪の女王』は正確には上映時期が
違うのですが、日本国内では同じ年に公開された長編大作映画として比較されました。


アナ雪の興行収入は現在まで推定300億円(日本のみ)近くに達し、関連商品
の売り上げも同じくらいある推測されています。

対する『思い出のマーニー』は7月の興行収入が推定5億円となっていて、これでは
映画館の上映費用も出ないのではないかと思われる惨敗でした。

同じ週に公開されたテレビアニメの映画版「まどかマギカ叛逆の物語」の推定20億円超
よりも少なかった。
「どらえもん」なら充分な売り上げですが、ジブリとしては事実上ゼロに近い数字です。


アニメ映画の制作費は一般的にテレビ版と同じ品質なら、120分で5千万円ほどです。
映画版という事で大画面に耐えるよう品質を向上したり凝った作りにしても、通常は
1億円を超えるくらいと考えられています。

毎年春休みや夏休みにはテレビアニメの映画版が公開され、数億円の売り上げを上げますが、
関連商品での利益を含めて、それで利益は上がっているようです。

例を挙げると「クレヨンしんちゃん」や「どらえもん」をテレビ版と同じように作ると
制作費は5千万円から1億円と推測されます。

これら「マンガ祭り」でセット上映されそうな作品は、観客が子供と親だけでも、
確実に採算が得られるようになっています。
子供向けアニメはおもちゃが良く売れるので、おもちゃの宣伝という意味もあります。

2009年の大人向けアニメ「サマーウォーズ」は5億円程度と言われています。
【劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲】は3億5000万円だそうです。

ルパン3世、まどかマギカとか、劇場映画を謳っている本格的な作品はこのくらいになります。

因みに「スタジオジブリ」という企業は存在せず、実際には徳間書店の一部です。
これはスタジオ設立前の作品「風の谷のナウシカ」からずっとそうでした。

企業経営に関しては宮崎駿氏には経営能力は無かったと思われます。

こういう事をやっても会社が良くなるわけではない


最近のジブリ映画は最低でも20億円

風の谷のナウシカ 製作費 3億円。宮崎駿 興収15億円
魔女の宅急便 製作費 4億円。宮崎駿 興収37億円
おもひでぽろぽろ 製作費 8億円。宮崎駿 興収18億円
もののけ姫 製作費 20億円。宮崎駿 興収193億円 ←経費増大の転機
千と千尋の神隠し 製作費 20億円。宮崎駿 興収304億円
ハウルの動く城 制作費 約30億円。宮崎駿 興収196億円
かぐや姫の物語 製作費 51.5億円。高畑勲 興収51億円


ファインディング・ニモ 製作費9400万ドル(約72億円)
カーズ 製作費1億2000万ドル(約92億円)
トイストーリー3 製作費2億ドル(約154億円)
映画ファイナルファンタジー 製作費 167億円。
塔の上のラプンツェル 製作費 約221億円。ディズニー

興行収入が丸ごと制作会社の収入になるわけではなく、映画館が50%取り、配給会社も
20%前後取り、宣伝費も10%程度取り、残った20%から30%がジブリの収入になります。

「もののけ姫」の大ヒット以降、制作費が20億円を超えていますが、映画館収入だけで
採算を得ようとすると、80億円から150億円の上映売り上げがなければなりません。

こう考えると一見ヒット作を連発していた、ジブリ映画の大半は赤字だったのではないか?
スタジオジブリは年間の会社維持だけで80億円かかるとされています。

興行収入の25%しか制作会社の利益にならないと考えると、年間300億円の興行収入が
必要になります。

ジブリが1年に一本しか製作しないのは、映画の品質を維持するためではなく、数多く
製作するほど赤字が増える構造だったからのようです。

というのは全ての作業を自社で行っていたために、仕事を増やすと社員を増やさねば
ならず、雇った社員は解雇できないのでさらに作品を増やす必要がでてくる。

もう何年もずっと赤字経営だった事になる。


転機になった「もののけ姫」 この作品から
4倍から10倍の制作費をかけるようになった


2大スターの高齢化と引退

スタジオジブリは徳間書店の中の宮崎駿の個人スタジオから始まり、彼が引退するまでそうでした。
というのは宮崎氏はアニメ製作には経験と情熱を持っていたものの、会社経営や金儲け
の方はさっぱりだったからです。

高畑勲監督に関しては「ファンタジー作品」が作れず、火垂るの墓、おもひでぽろぽろ、
のような暗い地味な作品が多く、ヒット作は多いものの、やがて行き詰るのは明らかでした。

この2大監督が引退するわけですが、他の監督としては

耳をすませば 近藤喜文 1995年
猫の恩返し 森田宏幸 2002年
ゲド戦記 宮崎吾朗 2006年
借りぐらしのアリエッティ 米林宏昌 2010年
コクリコ坂から 宮崎吾朗 2011年
思い出のマーニー 米林宏昌 2014年

宮崎、高畑はテレビアニメ時代に「世界名作劇場」や「ルパン3世」など膨大な
作品数を手がけてきたわけですが、ジブリの新人監督達は文字通りの新人なわけで、
ジブリ映画が始めての監督などという人も居て、後継者は育ちませんでした。

例えば米林宏昌監督はジブリに入社して初めてアニメ製作に関わり、全部の作品数を
合計しても10本程度の製作にしか関わっていませんでした。

宮崎、高畑はテレビアニメ数千本に直接間接に関わっていて、経験値がまるで違います。
後継者というにはあまりに役不足でした。


続編を作れない体質

ジブリ映画は単発映画ばかりで続編が一つもありません。
ここが収益上の欠陥で、「宇宙戦艦ヤマト」のようにナウシカが再登場したり、トトロが
2匹に増えて冒険したりはしません。
どんなにヒットしてもそれで終了で、翌年はゼロからの再スタートです。

アニメを一つの「作品」とだけ考えている宮崎駿にとって当然なのでしょうが、経営センス
がゼロでした。

どこかのアニメ制作会社ならテレビアニメで「トトロ劇場」などを始めて「続・ナウシカ」
「復活・天空の城ラピュタ」などを製作したでしょう。
作品は壊れますが、それで事務所は儲かります。


ゲームにもおもちゃにもパチンコにも成らない

同じ体質でジブリ作品は商品展開が少ない。他のアニメ会社では会社が苦しくなると
過去の作品が「パチンコ・CRXXXX」になりますがジブリはプライドが高くそうならない。

ジブリのおもちゃというのも余り無く、スマホゲームにもDSやプレステにもなりません。
DVDの売り上げと映画の入場収入、テレビの放映権が全てでした。

宮崎駿氏が個人でやってるなら良いのですが、経営としては大きな問題があります。


海外での評価は1円にもならない

ジブリ作品は海外で高い評価を受けていて多くの賞を受賞している。
これは事実ですが、日本のアニメ映画が海外で評価されても実は1円の収入にもならない。

日本が海外に輸出しているコンテンツ事業のうち、殆どはゲームでアニメは1%程度、
某アニメ制作会社によると、国内での売り上げ99%に対して海外1%以下でした。

しかもそれはテレビのアニメ番組の放映権が大半となっていて、ジブリが得意とする
映画の興行収益はほとんどゼロなのです。

そしてジブリ作品が海外で人気と言っても、全国ロードショーで上映される国はまず無く、
単館上映とか地域限定の上映で、映画評論家やマニアが見に来ている事が多い。

DVDは海外の人には高価すぎるので、まったく売れていません。
海外で賞を受賞してもお金にならないのです。