長所:Appleの「iPad 2」は劇的に薄く、前面と背面にカメラを持ち、ビデオチャットツールの「FaceTime」や高速なプロセッサを備え、3G接続モデルはAT&TとVerizonから選択することができる。
フォトレポート:「iPad 2」ファーストルック--薄くて速いオールアラウンドタブレットの第一印象
短所:iPadのスクリーン解像度は変わっておらず、写真の品質は普通であり、今回も「Adobe Flash」はサポートされておらず、HDMI、USB、SDカードのポートを使用するにはアダプタを必要とする。
結論:iPad 2は、元々卓越している製品をさらに改善したものだ。その使いやすいインターフェース、大量のアプリケーション、長持ちするバッテリ寿命は、「タブレットの王様」と呼ぶに相応しいものだ。
レビュー:競争相手は、Appleを憎んでいるに違いない。AppleのiPadは、単に2010年にタブレットコンピュータとして成功しただけではない。iPadはタブレットコンピュータそのものだった。Appleはタブレット端末市場を新たに作り上げ、経済状況は厳く、懐疑的な見方もある中で、膨大な数のiPadを売って見せた。
同じ部分と少し良くなった部分
iPadの第2弾でも、Appleは成功の方程式に従っている。iPad 2はより薄く、より速くなり、2つのカメラが追加されたが、そのほかについてはほとんど同じだ。サイズも、価格も、容量も、機能もすべてそのまま引き継いでいる。
ただし、本体カラーについては例外だ。Appleは今回、すべての価格および構成のiPadで、ホワイトとブラックの両色を販売している。基本モデルは499ドルで、ストレージの容量は16Gバイト、インターネットへの接続にはWi-Fiを使う。アプリケーションや写真、音楽、動画などのために、もっと容量の大きなものが欲しければ、32Gバイトモデル(599ドル)や64Gバイトモデル(699ドル)を選ぶこともできる。
iPad 2
ハードウェア
iPad 2は薄い。実際、あまりにも薄いので、違うデバイスのように感じてしまうほどだ。厚さはわずか0.34インチ(8.8mm)で、これは「iPhone 4」よりも薄く、初代iPadの3分の2の厚さだ。
この薄いデザインにも関わらず、造りの品質は初代に劣らない。iPadの背面は頑丈で厚みのある1枚のアルミニウム板で作られており、iPadの内部部品をしっかりと保護している。iPadの前面は、初代と同じ傷の付きにくいガラスで覆われており、画面下にはホームボタンが、画面の上には新しく追加された前面カメラがある。
それを除けば、iPad 2のハードウェアは見慣れたiPadを踏襲したものだ。スリープ/スリープ解除ボタンとヘッドホンジャックはこれまで通り上辺にあり、音量調整ボタンとミュート/ディスプレイ回転ボタンは右辺に配置されている。底辺には、iPadのドックコネクタと、内部スピーカーがある。スピーカーの穴の開いた格子部分は背面に回り込み、面積も大きくなったため、音の品質はかなりよくなった。
高さと幅は初代iPadとほぼ同じだが、厚さでは大きく進化している。初代iPadの厚さは13.4mmだったが、iPad 2は8.8mm。これは、iPhone 4よりも薄い。
Appleは、iPad 2では互換性についてのごまかしは避けた。ケースの例外を除けば、初代iPadの周辺機器(ドック、アダプタ、スピーカー、映像ケーブル、充電器)はすべて利用できる。ただし、初代iPad用のドックは形がぴったり合う訳ではない。iPad 2用には、新型の標準ドックが用意されている。キーボードについては、Appleは今回、純正のBluetoothキーボードを推奨している。
iPad 2の周辺機器で注目を集めているのが、Appleが新しく発売した「iPad Smart Cover」だ。これはサードパーティーが初代iPad向けに作った、大仰でかさばる、ラバー製のケースに対するAppleの回答であり、このAppleのユニークなヒンジ付きカバーには、皮製(59ドル)とポリウレタン製(39ドル)の2種類の素材と、複数の色が用意されている。このカバーは、レアアースを使った強力な磁石によって、2つのアルミニウム製ヒンジで、iPad 2の右側か左側の縁にマグネットで装着される。カバーに入っている磁石は、カバーが開いているか閉じているかを検知するのにも使われており、スリープに入るか、スリープを解除するかをiPad 2が自動的に判別できるようになっている。ただし、設定のオプションでこの機能を無効にし、手動でボタンを押してスリープさせるようにすることもできる。
Smart Coverは、保護の面ではともかく、折りたたんでスタンドとして利用できるという点で気が利いている。ただ、もし本当にiPad 2の保護について心配しているのであれば、全体を覆う形のケースに入れた方がいいだろう。
新機能
iPad 2は初代iPadから大きく変化しているわけではないが、新しい機能がいくつかあることも確かだ。
iPad 2で追加された機能で、もっとも目を引くのは2つのカメラで、これらはどちらも動画の撮影にも、写真を撮るのにも使える。背面のカメラは右上に配置されており、手で覆ってしまう可能性は低い(少なくとも、縦向きに持った場合には)。これはiPhone 4のレンズと同じような外見をしており、同様に720pのビデオ撮影ができる。ただしカメラ用のフラッシュはなく、カメラのセンサはiPhone 4に使われているものにはほど遠い。第4世代の「iPod touch」と同じく、iPad 2の写真は基本的にビデオからのスチルの抜き出しだと思っていい。
iPad 2には2つのカメラが搭載されている。初代iPadには1つもなかった。背面カメラは720pのビデオを撮影できる。
ただ、仮にAppleがドイツの有名レンズメーカーCarl Zeissのレンズと10メガピクセルセンサを使ったとしても、iPad 2はカメラやスマートフォンの代わりにはならない。われわれは2010年からタブレット端末のカメラ品質のテストを何度もやっているが、公衆の中でタブレットを使って動画や写真を撮るときの恥ずかしさは、どんなに強調してもし足りない。まるで、まな板で写真を撮っているように見えるのだ。祖父世代の古いカメラの方が、まだ目立たないだろう。周囲の注目を集めてしまうし、しかもそれは羨ましいという視線ではない。
カメラの変わりになるほどではないが、画質は悪くない。
実際の所、カメラがあるのはAppleのビデオチャットアプリFaceTimeをサポートするためだ。これでFaceTimeは、Mac、iPhone、iPod touch、iPad 2で利用できるようになった。アニメ『宇宙家族ジェットソン』に登場したテレビ電話を心待ちにしている人もいるだろうが、iPadでのFaceTimeはかなり近いところまできている。小さなデバイスを使う場合とは異なり、iPadの9.7インチスクリーンは、本物のサイズに近い顔の映像を映すことができるためだ。これまでにも、デスクトップやラップトップを使ったテレビ電話では、このサイズの映像を表示できたが、実際に本物と同じサイズの顔の映像を手に持つというのは、不思議な感じがする。FaceTimeは今回もWi-Fiでしか利用できないので、車の中からiPadでビデオチャットをするというのは難しい(これはおそらく人類にとってはいいことだろう)。
Appleが用意したほかのiPad 2用アプリケーションには「GarageBand」と「iMovie」があり、どちらもそれぞれ4.99ドルで購入する必要がある。iPadはiMovieを使えるようになった最後のiOSデバイスだったが(使うにはカメラが必要)、GarageBandが使えるようになった最初のiOSデバイスでもある。
iPad 2の内部には、自慢の種になるものが数多く収められている。今回採用されたデュアルコア「A5」プロセッサは、これまでより2倍高速で、グラフィック性能は9倍になっている。
iPad 2
競合相手を震え上がらせる別の機能に、フルHDMIの映像出力がある。39ドルのドックケーブルを使えば、iPadの画面を標準のHDMIケーブルを通じて、そのままテレビに出力することができる。解像度は1080pまで対応しているが、動画再生やほとんどのアプリケーションは、720pまでしか対応していない。これまでのiPadの映像出力とは違って、このケーブルは動画再生やプレゼンテーション以外にも使える。スクリーン上のすべてのものをテレビにミラーリングすることができ、これには動画、写真、ゲーム、ホーム画面も含まれる。Research In Motion(RIM)の「BlackBerry PlayBook」やMotorolaの「XOOM」は、iPadに優る機能として、HDMIに対応していることを謳っていたが、これで有利な点は1つ消えてしまったことになる。
iPad 2には、iPhone 4やiPod touchと同じ3軸ジャイロセンサが追加されており、任天堂の「Wii」リモコンを持つのと同じように、空間でデバイスがどちらの方向を向いているかを詳しく知ることができるようになった。このジャイロセンサが活躍するのは主にゲームで、バーチャル環境で動きを正確にコントロールできるようにしたり、現実そっくりの操作を可能にしたりといった用途が考えられる。例えば、「N.O.V.A.」のような一人称視点シューティングゲームでは、iPad 2のスクリーンを上下左右に傾けて、ゲーム世界に向けて開いている窓のように使い、周囲の状況を見せるということもできる。
初代から引き継いだ機能
カメラやジャイロセンサーが追加されたのは素晴らしいが、初代iPadを無敵の存在にしていた機能にも目をやる必要がある。iPhoneやiPod touchを使ったことがある人なら、iPad 2にもすぐに馴染めるはずだ。iPhoneにもあった機能の多く、例えば、Apple製のウェブブラウザ、メール、マップ、写真、ビデオ、YouTubeなどは、使い始めた直後から理解できるだろう。iPadに入っているApp Storeを使うか、同梱のケーブルでiPadを手持ちのコンピュータの「iTunes」に繋げば、さらにアプリケーションをインストールすることができる。iPhoneやiPod touchですでに購入したアプリケーションがあれば、iPadに転送することも可能だ。
iPad 2には、発売時点で「iOS 4.3」が搭載されているため、最新のiOSで提供されている多くの重要な新機能や改善点ははじめから享受できる。新しいアプリケーションには、「Photo Booth」(自分撮り専用アプリ)とビデオチャットの「FaceTime」がある。ウェブブラウザの「Safari」は、JavaScriptのレンダリングが改善され、高速化されている。アプリケーションには、ホームネットワーク越しに自分のコンピュータからメディアをストリーミングする、ホームシェアリングの機能が追加された。また、iPodの音量調整ボタンの上にあるボタンの機能を変えたいという人のために、iOS 4.3では、これをディスプレイ回転ロックに割り当てるか、システム警告音(FaceTimeの着信音など)のミュートに割り当てるかを切り替えられるようになっている。
AppleがiPad 2で変更しなかった点が1つあるが、それはSafariが「Adobe Flash」をサポートしていないという問題だ。Appleは、このウェブ上で動画やグラフィックを表示するのによく使われているAdobeのツールを、断固として受け入れるつもりがないようだ。FlashのないiPadでは、ウェブのあちこちにアクセスできない場所や、スイスチーズのような穴だらけのコンテンツが生じる。しかし全体的に言えば、iPadでのウェブ閲覧は、タブレット端末の中では最高のものだと言える。応答性は高く、テキストの拡大と縮小はなめらかで、複数ページを同時に開いた場合の管理もしやすい。
Bluetooth 2.1(A2DP、EDR)、802.11nのWi-Fi、3G接続、10時間のバッテリ寿命といった、iPadのデバイスとしての機能はすべて引き継いでおり、これらの多くは、他のタブレット端末を評価する際の基準にもなっている。
iPad 2
電子書籍端末としてのiPad 2
Appleが初代iPadと当時は新しかった「iBooks」が電子書籍端末の決定版になると宣言した際、われわれは懐疑的だった。当時Appleは少数の出版社としか契約しておらず、iPadは「Kindle」よりも分厚かった。
それから1年が経ち、当然ながらiPadは出版業界の注目を集めた。Appleは、iBooksのダウンロードが1億件を超えたと発表した。その一方で、Barnes & Noble、Amazon.com、Koboといった競合相手は、iPad用アプリケーションを提供し、その波に乗った。The New Yorker、Wired、Vanity Fairなどの主要雑誌は、iPad専用エディションを用意している。コミックや問題集、楽譜などの専門的な書籍も、iPadで提供されている。コンテンツに関しては、iPadはよくがんばっていると言えるだろう。
ハードウェアに関しては、Kindle 3の重さが約0.53ポンド(約241g)なのに対して、iPadは依然として1.33ポンド(601g)と若干重たい。iPadのIPS LEDバックライトディスプレイは素晴らしいものだが、屋外での読みやすさに関しては、電子インクにはかなわない。また、「Kindle DX」のような製品は、充電せず最大4日間読み続けられると謳っているのに対し、iPadは10時間しかもたない。
こういった批判はあるものの、iPadはすでに電子書籍端末として成功している。確かに、より安価な選択肢はあるが、iPadのような幅広い機能を持つものはない。それに加え、iPad 2の劇的に薄くなったデザインがあれば、Appleは2010年よりもずっといい形で戦えるようになるだろう。
iPad 2
iPadの限界
iPadには褒めるべきところが多いが、その「魔法」にも限界はある。一般論としてタブレット端末は、ラップトップの実用性と、スマートフォンの便利さの中間に位置するものであり、これらのデバイスの代わりに使うのは難しい。
iPad 2はラップトップの代わりにはならない。初代iPadを1年間使ってみて、われわれはむしろラップトップを評価するようになった。多くの場合、ラップトップやネットブックはよりタイピングしやすく、文書やスプレッドシートの編集や操作に関しては、実績のあるマウスやタッチパッドに優るものはない。また、Adobe Flashを使用したウェブの閲覧にこだわるのなら、もっとも向いているのは従来からあるラップトップやデスクトップPCで、多岐にわたるウェブのフォーマットに対しても柔軟に対応できる(特に動画コンテンツやゲームに関してはそう言える)。
iPad 2はスマートフォンの代わりにもならない。これは当然のことだが、単純にiPadはポケットには入らない。現在のスマートフォンは、世界に繋がること以上の役割を果たしており、自分自身の延長と言えるものになっている。ポケットに入らなければ、1日中持ち歩くこともできず、自分の一部にもならない。
また、iPadは4G対応ではなく、最新世代の高速携帯電話データネットワークの恩恵を享受できないことにも、触れておくべきだろう。Motorola、サムスン、LG、Research In Motion(RIM)を含む一部のメーカーは、2011年に4Gネットワーク対応のタブレット端末を発売すると約束している。では、4GはiPadの対抗馬が、Appleをトップの座から追い落とすことを可能にする機能だろうか?正直なところ、まだわからないのだが、競合相手はこれに賭けているようだ。
性能
iPad 2は確かに、初代に比べればずっと高速で、応答性も高い。Appleによれば、新たにデュアルコア「A5」プロセッサを積んだことで、全体的な性能は2倍になり、ゲームのグラフィックス処理は9倍高速化されたという。Appleはまた、ウェブブラウザのSafariのコードを改良し、JavaScriptのロード時間を改善した。
Appleの宣伝文句は割り引いて聞いた方がいいとしても、iPad 2の性能が上がっていることは間違いない。iPadは、キーボードの遅延やスクロール処理、拡大と縮小の処理などの一般的なシステムの応答性の面でも、十分に手強い相手だった。iPad 2では、システムはより一層しっかりし、応答もより素早くなったが、現実にもっとも恩恵を受けられるのは、アプリケーションの読み込み時間や、マルチタスキングバーからアプリを切り替えといった場面だ。
では、iPad 2はゲームファンの夢を叶えることができるだろうか。実際には、いい面もあればさほどではない面もある。これはAppleの功績だが、iPadには他のどのタブレットよりも多くのゲームが提供されており、それらの多くは、ゲーム専用機と比べても遜色のないグラフィックスやゲーム内容になっている。iPad 2では、『Infinity Blade』のようなグラフィックスを駆使したゲームでさえ恐ろしくなめらかに動き、処理落ちなども発生しない。しかし、iPad 2がいかに高速に描写できるとはいっても、ディスプレイ解像度は1024×768ピクセル止まりだ。われわれはiPhone 4のRetinaディスプレイの技術がiPad 2にも反映されて欲しいと思っていたのだが、Appleは次回のためにこれを取っておいたようだ。
だが、画面については、ピクセル密度以外にも見るべき点がある。AppleはiPad 2でも初代iPadと同じIPSパネルを使っており、これはどの角度から見ても驚くほど視認性が高い。また、写真や動画の再生品質はやはり素晴らしい。iPad 2のディスプレイの発色は、初代のものよりもやや暖色がかっているようだが、コントラストと黒レベルはほぼ同じのように見える。
Appleの新しいSmart Coverには、皮製(59ドル)とポリウレタン製(39ドル)の2種類の素材と、複数の色が用意されている。
提供:Apple
iPad 2は買い換えに値するか?
初代iPadを欲しいと思ったが、iPad 2の発売まで待とうという先見性と自制心を持ち合わせていた人に対しては、祝いの言葉を贈りたい。iPad 2が初代に劣る点は1つもない。自信を持って買えばいい。
読者が初代iPadを持っており、買い換えるべきかと迷っているのなら、分別のある回答は「ノー」だ。とはいえ、iPadは分別で買うようなデバイスでないというのもよく分かる。これは楽しい製品であり、楽しむことが第一の目的なのであれば、是非買うべきだろう。
特別なニーズを持つ一部のユーザーにとっては、iPad 2の機能のいくつかは、古いiPadを、薄くて高速な新しいiPadと交換するだけの価値があるものかもしれない。もし、家族にとって(iPhone、iPod touch、Macなどを使った)FaceTimeのテレビ電話が不可欠なものなら、この機能はファームウェアのアップデートを行ったり、周辺機器を買っても、初代iPadでは利用できない。また、一部のプロフェッショナルは、iPad 2のHDMI映像出力(アダプタが必要)を、プレゼンテーションに必要なツールだと考えるかも知れない。
それ以外の初代iPadユーザーにとっては、iPad 2の薄いデザインや追加されたカメラ、性能の向上などは、新たに500ドルから800ドルを支払うだけの価値はないだろう。金が余って仕方がないということではないのなら、ほとんどの既存のiPadユーザーには、iPad 3まで待つことを勧める。
終わりに
結局、iPad 2は2011年最強のタブレット端末なのだろうか?おそらく間違いない。アプリケーションの数はもっとも多く、もっとも薄く、バッテリ寿命も一番長く、価格にも競争力があり、すでにiPadを広めたがっている膨大な数の顧客もいる。Google、Hewlett-Packard(HP)、RIMが仕掛ける競争が、2011年を面白くしてくれるだろうが、これまで見たところでは、それらのライバルたちは相当頑張る必要があるだろう。
フォトレポート:「iPad 2」ファーストルック--薄くて速いオールアラウンドタブレットの第一印象
短所:iPadのスクリーン解像度は変わっておらず、写真の品質は普通であり、今回も「Adobe Flash」はサポートされておらず、HDMI、USB、SDカードのポートを使用するにはアダプタを必要とする。
結論:iPad 2は、元々卓越している製品をさらに改善したものだ。その使いやすいインターフェース、大量のアプリケーション、長持ちするバッテリ寿命は、「タブレットの王様」と呼ぶに相応しいものだ。
レビュー:競争相手は、Appleを憎んでいるに違いない。AppleのiPadは、単に2010年にタブレットコンピュータとして成功しただけではない。iPadはタブレットコンピュータそのものだった。Appleはタブレット端末市場を新たに作り上げ、経済状況は厳く、懐疑的な見方もある中で、膨大な数のiPadを売って見せた。
同じ部分と少し良くなった部分
iPadの第2弾でも、Appleは成功の方程式に従っている。iPad 2はより薄く、より速くなり、2つのカメラが追加されたが、そのほかについてはほとんど同じだ。サイズも、価格も、容量も、機能もすべてそのまま引き継いでいる。
ただし、本体カラーについては例外だ。Appleは今回、すべての価格および構成のiPadで、ホワイトとブラックの両色を販売している。基本モデルは499ドルで、ストレージの容量は16Gバイト、インターネットへの接続にはWi-Fiを使う。アプリケーションや写真、音楽、動画などのために、もっと容量の大きなものが欲しければ、32Gバイトモデル(599ドル)や64Gバイトモデル(699ドル)を選ぶこともできる。
iPad 2
ハードウェア
iPad 2は薄い。実際、あまりにも薄いので、違うデバイスのように感じてしまうほどだ。厚さはわずか0.34インチ(8.8mm)で、これは「iPhone 4」よりも薄く、初代iPadの3分の2の厚さだ。
この薄いデザインにも関わらず、造りの品質は初代に劣らない。iPadの背面は頑丈で厚みのある1枚のアルミニウム板で作られており、iPadの内部部品をしっかりと保護している。iPadの前面は、初代と同じ傷の付きにくいガラスで覆われており、画面下にはホームボタンが、画面の上には新しく追加された前面カメラがある。
それを除けば、iPad 2のハードウェアは見慣れたiPadを踏襲したものだ。スリープ/スリープ解除ボタンとヘッドホンジャックはこれまで通り上辺にあり、音量調整ボタンとミュート/ディスプレイ回転ボタンは右辺に配置されている。底辺には、iPadのドックコネクタと、内部スピーカーがある。スピーカーの穴の開いた格子部分は背面に回り込み、面積も大きくなったため、音の品質はかなりよくなった。
高さと幅は初代iPadとほぼ同じだが、厚さでは大きく進化している。初代iPadの厚さは13.4mmだったが、iPad 2は8.8mm。これは、iPhone 4よりも薄い。
Appleは、iPad 2では互換性についてのごまかしは避けた。ケースの例外を除けば、初代iPadの周辺機器(ドック、アダプタ、スピーカー、映像ケーブル、充電器)はすべて利用できる。ただし、初代iPad用のドックは形がぴったり合う訳ではない。iPad 2用には、新型の標準ドックが用意されている。キーボードについては、Appleは今回、純正のBluetoothキーボードを推奨している。
iPad 2の周辺機器で注目を集めているのが、Appleが新しく発売した「iPad Smart Cover」だ。これはサードパーティーが初代iPad向けに作った、大仰でかさばる、ラバー製のケースに対するAppleの回答であり、このAppleのユニークなヒンジ付きカバーには、皮製(59ドル)とポリウレタン製(39ドル)の2種類の素材と、複数の色が用意されている。このカバーは、レアアースを使った強力な磁石によって、2つのアルミニウム製ヒンジで、iPad 2の右側か左側の縁にマグネットで装着される。カバーに入っている磁石は、カバーが開いているか閉じているかを検知するのにも使われており、スリープに入るか、スリープを解除するかをiPad 2が自動的に判別できるようになっている。ただし、設定のオプションでこの機能を無効にし、手動でボタンを押してスリープさせるようにすることもできる。
Smart Coverは、保護の面ではともかく、折りたたんでスタンドとして利用できるという点で気が利いている。ただ、もし本当にiPad 2の保護について心配しているのであれば、全体を覆う形のケースに入れた方がいいだろう。
新機能
iPad 2は初代iPadから大きく変化しているわけではないが、新しい機能がいくつかあることも確かだ。
iPad 2で追加された機能で、もっとも目を引くのは2つのカメラで、これらはどちらも動画の撮影にも、写真を撮るのにも使える。背面のカメラは右上に配置されており、手で覆ってしまう可能性は低い(少なくとも、縦向きに持った場合には)。これはiPhone 4のレンズと同じような外見をしており、同様に720pのビデオ撮影ができる。ただしカメラ用のフラッシュはなく、カメラのセンサはiPhone 4に使われているものにはほど遠い。第4世代の「iPod touch」と同じく、iPad 2の写真は基本的にビデオからのスチルの抜き出しだと思っていい。
iPad 2には2つのカメラが搭載されている。初代iPadには1つもなかった。背面カメラは720pのビデオを撮影できる。
ただ、仮にAppleがドイツの有名レンズメーカーCarl Zeissのレンズと10メガピクセルセンサを使ったとしても、iPad 2はカメラやスマートフォンの代わりにはならない。われわれは2010年からタブレット端末のカメラ品質のテストを何度もやっているが、公衆の中でタブレットを使って動画や写真を撮るときの恥ずかしさは、どんなに強調してもし足りない。まるで、まな板で写真を撮っているように見えるのだ。祖父世代の古いカメラの方が、まだ目立たないだろう。周囲の注目を集めてしまうし、しかもそれは羨ましいという視線ではない。
カメラの変わりになるほどではないが、画質は悪くない。
実際の所、カメラがあるのはAppleのビデオチャットアプリFaceTimeをサポートするためだ。これでFaceTimeは、Mac、iPhone、iPod touch、iPad 2で利用できるようになった。アニメ『宇宙家族ジェットソン』に登場したテレビ電話を心待ちにしている人もいるだろうが、iPadでのFaceTimeはかなり近いところまできている。小さなデバイスを使う場合とは異なり、iPadの9.7インチスクリーンは、本物のサイズに近い顔の映像を映すことができるためだ。これまでにも、デスクトップやラップトップを使ったテレビ電話では、このサイズの映像を表示できたが、実際に本物と同じサイズの顔の映像を手に持つというのは、不思議な感じがする。FaceTimeは今回もWi-Fiでしか利用できないので、車の中からiPadでビデオチャットをするというのは難しい(これはおそらく人類にとってはいいことだろう)。
Appleが用意したほかのiPad 2用アプリケーションには「GarageBand」と「iMovie」があり、どちらもそれぞれ4.99ドルで購入する必要がある。iPadはiMovieを使えるようになった最後のiOSデバイスだったが(使うにはカメラが必要)、GarageBandが使えるようになった最初のiOSデバイスでもある。
iPad 2の内部には、自慢の種になるものが数多く収められている。今回採用されたデュアルコア「A5」プロセッサは、これまでより2倍高速で、グラフィック性能は9倍になっている。
iPad 2
競合相手を震え上がらせる別の機能に、フルHDMIの映像出力がある。39ドルのドックケーブルを使えば、iPadの画面を標準のHDMIケーブルを通じて、そのままテレビに出力することができる。解像度は1080pまで対応しているが、動画再生やほとんどのアプリケーションは、720pまでしか対応していない。これまでのiPadの映像出力とは違って、このケーブルは動画再生やプレゼンテーション以外にも使える。スクリーン上のすべてのものをテレビにミラーリングすることができ、これには動画、写真、ゲーム、ホーム画面も含まれる。Research In Motion(RIM)の「BlackBerry PlayBook」やMotorolaの「XOOM」は、iPadに優る機能として、HDMIに対応していることを謳っていたが、これで有利な点は1つ消えてしまったことになる。
iPad 2には、iPhone 4やiPod touchと同じ3軸ジャイロセンサが追加されており、任天堂の「Wii」リモコンを持つのと同じように、空間でデバイスがどちらの方向を向いているかを詳しく知ることができるようになった。このジャイロセンサが活躍するのは主にゲームで、バーチャル環境で動きを正確にコントロールできるようにしたり、現実そっくりの操作を可能にしたりといった用途が考えられる。例えば、「N.O.V.A.」のような一人称視点シューティングゲームでは、iPad 2のスクリーンを上下左右に傾けて、ゲーム世界に向けて開いている窓のように使い、周囲の状況を見せるということもできる。
初代から引き継いだ機能
カメラやジャイロセンサーが追加されたのは素晴らしいが、初代iPadを無敵の存在にしていた機能にも目をやる必要がある。iPhoneやiPod touchを使ったことがある人なら、iPad 2にもすぐに馴染めるはずだ。iPhoneにもあった機能の多く、例えば、Apple製のウェブブラウザ、メール、マップ、写真、ビデオ、YouTubeなどは、使い始めた直後から理解できるだろう。iPadに入っているApp Storeを使うか、同梱のケーブルでiPadを手持ちのコンピュータの「iTunes」に繋げば、さらにアプリケーションをインストールすることができる。iPhoneやiPod touchですでに購入したアプリケーションがあれば、iPadに転送することも可能だ。
iPad 2には、発売時点で「iOS 4.3」が搭載されているため、最新のiOSで提供されている多くの重要な新機能や改善点ははじめから享受できる。新しいアプリケーションには、「Photo Booth」(自分撮り専用アプリ)とビデオチャットの「FaceTime」がある。ウェブブラウザの「Safari」は、JavaScriptのレンダリングが改善され、高速化されている。アプリケーションには、ホームネットワーク越しに自分のコンピュータからメディアをストリーミングする、ホームシェアリングの機能が追加された。また、iPodの音量調整ボタンの上にあるボタンの機能を変えたいという人のために、iOS 4.3では、これをディスプレイ回転ロックに割り当てるか、システム警告音(FaceTimeの着信音など)のミュートに割り当てるかを切り替えられるようになっている。
AppleがiPad 2で変更しなかった点が1つあるが、それはSafariが「Adobe Flash」をサポートしていないという問題だ。Appleは、このウェブ上で動画やグラフィックを表示するのによく使われているAdobeのツールを、断固として受け入れるつもりがないようだ。FlashのないiPadでは、ウェブのあちこちにアクセスできない場所や、スイスチーズのような穴だらけのコンテンツが生じる。しかし全体的に言えば、iPadでのウェブ閲覧は、タブレット端末の中では最高のものだと言える。応答性は高く、テキストの拡大と縮小はなめらかで、複数ページを同時に開いた場合の管理もしやすい。
Bluetooth 2.1(A2DP、EDR)、802.11nのWi-Fi、3G接続、10時間のバッテリ寿命といった、iPadのデバイスとしての機能はすべて引き継いでおり、これらの多くは、他のタブレット端末を評価する際の基準にもなっている。
iPad 2
電子書籍端末としてのiPad 2
Appleが初代iPadと当時は新しかった「iBooks」が電子書籍端末の決定版になると宣言した際、われわれは懐疑的だった。当時Appleは少数の出版社としか契約しておらず、iPadは「Kindle」よりも分厚かった。
それから1年が経ち、当然ながらiPadは出版業界の注目を集めた。Appleは、iBooksのダウンロードが1億件を超えたと発表した。その一方で、Barnes & Noble、Amazon.com、Koboといった競合相手は、iPad用アプリケーションを提供し、その波に乗った。The New Yorker、Wired、Vanity Fairなどの主要雑誌は、iPad専用エディションを用意している。コミックや問題集、楽譜などの専門的な書籍も、iPadで提供されている。コンテンツに関しては、iPadはよくがんばっていると言えるだろう。
ハードウェアに関しては、Kindle 3の重さが約0.53ポンド(約241g)なのに対して、iPadは依然として1.33ポンド(601g)と若干重たい。iPadのIPS LEDバックライトディスプレイは素晴らしいものだが、屋外での読みやすさに関しては、電子インクにはかなわない。また、「Kindle DX」のような製品は、充電せず最大4日間読み続けられると謳っているのに対し、iPadは10時間しかもたない。
こういった批判はあるものの、iPadはすでに電子書籍端末として成功している。確かに、より安価な選択肢はあるが、iPadのような幅広い機能を持つものはない。それに加え、iPad 2の劇的に薄くなったデザインがあれば、Appleは2010年よりもずっといい形で戦えるようになるだろう。
iPad 2
iPadの限界
iPadには褒めるべきところが多いが、その「魔法」にも限界はある。一般論としてタブレット端末は、ラップトップの実用性と、スマートフォンの便利さの中間に位置するものであり、これらのデバイスの代わりに使うのは難しい。
iPad 2はラップトップの代わりにはならない。初代iPadを1年間使ってみて、われわれはむしろラップトップを評価するようになった。多くの場合、ラップトップやネットブックはよりタイピングしやすく、文書やスプレッドシートの編集や操作に関しては、実績のあるマウスやタッチパッドに優るものはない。また、Adobe Flashを使用したウェブの閲覧にこだわるのなら、もっとも向いているのは従来からあるラップトップやデスクトップPCで、多岐にわたるウェブのフォーマットに対しても柔軟に対応できる(特に動画コンテンツやゲームに関してはそう言える)。
iPad 2はスマートフォンの代わりにもならない。これは当然のことだが、単純にiPadはポケットには入らない。現在のスマートフォンは、世界に繋がること以上の役割を果たしており、自分自身の延長と言えるものになっている。ポケットに入らなければ、1日中持ち歩くこともできず、自分の一部にもならない。
また、iPadは4G対応ではなく、最新世代の高速携帯電話データネットワークの恩恵を享受できないことにも、触れておくべきだろう。Motorola、サムスン、LG、Research In Motion(RIM)を含む一部のメーカーは、2011年に4Gネットワーク対応のタブレット端末を発売すると約束している。では、4GはiPadの対抗馬が、Appleをトップの座から追い落とすことを可能にする機能だろうか?正直なところ、まだわからないのだが、競合相手はこれに賭けているようだ。
性能
iPad 2は確かに、初代に比べればずっと高速で、応答性も高い。Appleによれば、新たにデュアルコア「A5」プロセッサを積んだことで、全体的な性能は2倍になり、ゲームのグラフィックス処理は9倍高速化されたという。Appleはまた、ウェブブラウザのSafariのコードを改良し、JavaScriptのロード時間を改善した。
Appleの宣伝文句は割り引いて聞いた方がいいとしても、iPad 2の性能が上がっていることは間違いない。iPadは、キーボードの遅延やスクロール処理、拡大と縮小の処理などの一般的なシステムの応答性の面でも、十分に手強い相手だった。iPad 2では、システムはより一層しっかりし、応答もより素早くなったが、現実にもっとも恩恵を受けられるのは、アプリケーションの読み込み時間や、マルチタスキングバーからアプリを切り替えといった場面だ。
では、iPad 2はゲームファンの夢を叶えることができるだろうか。実際には、いい面もあればさほどではない面もある。これはAppleの功績だが、iPadには他のどのタブレットよりも多くのゲームが提供されており、それらの多くは、ゲーム専用機と比べても遜色のないグラフィックスやゲーム内容になっている。iPad 2では、『Infinity Blade』のようなグラフィックスを駆使したゲームでさえ恐ろしくなめらかに動き、処理落ちなども発生しない。しかし、iPad 2がいかに高速に描写できるとはいっても、ディスプレイ解像度は1024×768ピクセル止まりだ。われわれはiPhone 4のRetinaディスプレイの技術がiPad 2にも反映されて欲しいと思っていたのだが、Appleは次回のためにこれを取っておいたようだ。
だが、画面については、ピクセル密度以外にも見るべき点がある。AppleはiPad 2でも初代iPadと同じIPSパネルを使っており、これはどの角度から見ても驚くほど視認性が高い。また、写真や動画の再生品質はやはり素晴らしい。iPad 2のディスプレイの発色は、初代のものよりもやや暖色がかっているようだが、コントラストと黒レベルはほぼ同じのように見える。
Appleの新しいSmart Coverには、皮製(59ドル)とポリウレタン製(39ドル)の2種類の素材と、複数の色が用意されている。
提供:Apple
iPad 2は買い換えに値するか?
初代iPadを欲しいと思ったが、iPad 2の発売まで待とうという先見性と自制心を持ち合わせていた人に対しては、祝いの言葉を贈りたい。iPad 2が初代に劣る点は1つもない。自信を持って買えばいい。
読者が初代iPadを持っており、買い換えるべきかと迷っているのなら、分別のある回答は「ノー」だ。とはいえ、iPadは分別で買うようなデバイスでないというのもよく分かる。これは楽しい製品であり、楽しむことが第一の目的なのであれば、是非買うべきだろう。
特別なニーズを持つ一部のユーザーにとっては、iPad 2の機能のいくつかは、古いiPadを、薄くて高速な新しいiPadと交換するだけの価値があるものかもしれない。もし、家族にとって(iPhone、iPod touch、Macなどを使った)FaceTimeのテレビ電話が不可欠なものなら、この機能はファームウェアのアップデートを行ったり、周辺機器を買っても、初代iPadでは利用できない。また、一部のプロフェッショナルは、iPad 2のHDMI映像出力(アダプタが必要)を、プレゼンテーションに必要なツールだと考えるかも知れない。
それ以外の初代iPadユーザーにとっては、iPad 2の薄いデザインや追加されたカメラ、性能の向上などは、新たに500ドルから800ドルを支払うだけの価値はないだろう。金が余って仕方がないということではないのなら、ほとんどの既存のiPadユーザーには、iPad 3まで待つことを勧める。
終わりに
結局、iPad 2は2011年最強のタブレット端末なのだろうか?おそらく間違いない。アプリケーションの数はもっとも多く、もっとも薄く、バッテリ寿命も一番長く、価格にも競争力があり、すでにiPadを広めたがっている膨大な数の顧客もいる。Google、Hewlett-Packard(HP)、RIMが仕掛ける競争が、2011年を面白くしてくれるだろうが、これまで見たところでは、それらのライバルたちは相当頑張る必要があるだろう。