ニュービジネス活眼力 大前研一
「お客様のニーズに対して、競争相手よりも相対的に優位な製品またはサービスを、
継続的に提供すること」これが戦略である。
アイデアを出し、評価する。そしてまた思考のパターンを先達に学ぶ。
答えを学ぶのではない。思考のパターンを学ぶことが重要なのである。
事業計画書についてのアドバイスを2つ。
1)アイデアを盛り込みすぎない。
事業計画書は、その事業への賛同者、出資者を募るのが目的なのだから、
そのポイントが明確で、なおかつ読むものの目をひきつけるもので
なくてはならない。
従来と違うユニークな点をひと言かふた言でまとめることが重要。
そのポイントとなる事項が、競争相手から見て真似しにくいものか
どうかを十分吟味しておくべきだろう。そのチェックは次の2つの要素。
1.ノウハウそのもの
2.スピード
事業展開のスピードが速くて競合相手が同じことをやろうとしても、
システム的にも、技術的にもついていけないものかどうか。
2)まだ存在していない事業を出資者にうまく説明できるように、
何度も声に出して話す訓練をしておくことである。
事業を成功させるには、アイデアではなく、ビジョンをコンセプトまで落とし込み
必要十分条件を満たす事業計画を策定していなければならない。
必要十分条件は何かというと、お客様いて、そのお客様が経費を十分カバーする
だけの値段を払ってくれるということである。
このために事業計画では、数字上の計画だけでなく、人事、技術、営業、提携などの
計画案も策定されなくてはならない。
具体的な計画にまで高められているもの以外は単なるアイデアであって、
競争が激化すれば値段で勝負せざるを得なくなり、結局は倒れる。
だから、アイデアとコンセプトははっきり分ける必要がある。
その差別化要因の大きな要素は2つある。
1)スピード
スピードはとにかく速くするということが重要になる。
スピードと同時に、お客様の悩みに応える、或いは独自のコンテンツ
というものがあり、それがお客様にとって得るところが大きいと評価される
ことが重要。
だから特徴が同じで、値段だけで勝負しているものは、いくら売上高を大きく
してもダメ。
これからの時代に最も重要な能力は、「構想力」。
見えないものを相手にしなければならない。
みんなが同じ方向に、同じスピードで行ってはだめ。
違った方向に最初に到着することが重要。
その方向がどこか、今わかっている人はいない。だから見えないものに対して
こうではないのか、ああではないのかと考えぬく。
自分に見えてきているのはこういうものだというアバウトなものから構想し、
ビジョンとして描く。
それをコンセプトに深めて投資し、実現させる。これができるかどうかが重要になる。
見えないものを見えるようにし、それをビジネスプラン(事業計画)に落とす。
つまり構想し、それをビジョンという形でまとめ、ビジョンをビジネスプランに
もっていき、そして資金と人をつけて起業する。
「構想力」を磨くためにどのような訓練をすればいいか?
1)訓練のやり方にはパターンがあるので、そのパターンを覚え、しばらくはその
パターンを自分で追求してみること。
その際に一番いい方法は、これは本当に正しいのか、これはどういう意味なのか、
どんな物語になるのかをトコトン考え、それを紙に書くこと。
これを何度も繰り返す。
2)構想力を持った刺激を与えてくれる人にどんどん会いに行って、いろんな話を聞くこと。
3)自分で設問を設定して、自分ならどうするかを考えること。
例えば、区長から「築地の跡地をなんとかしてほしい」と頼まれた。自分ならどうするか、
というシチュエーションに自分を置いて、トコトン考えてみる。
そして考えがまとまったら、書いてみる。或いはプレゼンするつもりで説明する。
このようなトレーニングを何度も繰り返し行っておけば、構想力が身につく。