私のさつま芋への熱い想い
については前述した通り。
そんなある日、スーパーの野菜コーナーを歩く私の目に
飛び込んできたのは、sweet potatoとともに並ぶさつま芋「風」の芋。
吸い寄せられるように芋に近寄る私。
(こ・・・・これは!!!かなりいい線いってるではないか!
いや、騙されるな。焦るな。)
震える手で野菜の名前をチェックする。
(ジャ・・・ジャ・・・マイカンポテト・・・?
ジャマイカンって!)
ジャパニーズであって欲しいの願いを込めて
スペルを指でなぞって再三確認するが、やはりジャマイカン。
「どうした、どうした」
私の異変に気づいてどやどや近づいてくる相方。
「いや、これ・・・日本のさつま芋に似てるんだけどさ。
・・・いや、でもきっとまた傷つくだけだからいいの。やめておく・・・。」
前の恋人の裏切りから立ち直れず、次の恋に進めない臆病な私といったところか。
「買ってみたら?」
「・・・いや、いいよ・・・」
「いいじゃん、もしかしたらそうかもしれないじゃん。」
「簡単に言わないでほしいな。
そうじゃなかった時に辛いのは私なんだよ!(←どれだけ)」
ぐずぐずとその場に立ち尽くす私に一瞥をくれて、
さくさく大好きな肉コーナーへと行こうとする相方。
「ちょっとまっとくれよ!これは一大事なんだよ!」
「だーかーらー!買ってみればいいじゃん!」
「う・・・」
まさかその場で芋を切って中の芋の色の確認をするわけにもいくまい。
積み上げられた芋の中でもひときわ小さいものを手に取る私。
傷は浅いほうがいい。
「そ・・・そんな小さいの?
一つといわず、いくつか買えば?」
「いいの、これ一個で。違ったら悲しいから。」
全く理解できんと相方の顔にくっきり書いてあるのが見える。
いいのだ。私のさつま芋への想いは君にはわかるまい。
家に帰り、早速調理。
匂いたつキッチン。
「こ・・・このかほりは!石焼き芋だよ!」
「ああそう。」
「そうって!軽い!
石焼き芋は日本の冬の代表選手なんだぞ!
トラックが家々を売り歩くんだ。音楽にのせて!」
「え・・・うそ・・・」
私は石焼き芋のなんたるかを見せるため、
わざわざyoutubeの動画で石焼き芋のトラックを紹介。
「おお!これはいい。カナダでもやりたい。
♪~ホットドーック、スペアリーブ~♪って。
これ、いけると思うなぁ。」
相方がそんな商売を始めないことを祈るばかりである。
結構本気そうな相方を横目に、はやる思いを胸にジャマイカンポテトの皮をむき口にする。
「おおお!こ・・・これは!」
その味は甘みこそやや少ないが、さ・つ・ま芋。
ジャマイカン!やるじゃないか。
久々にテンションが上がった。
「こんなに嬉しそうなmarkiko久しぶりにみた・・・」
私もこんなに嬉しいのは久しぶりである(大丈夫か、私)。
喜びのおすそ分けを、と相方にしぶしぶ半分渡す。
「ほうほう、どれどれ。」
おもむろに バター、塩、こしょうをかける相方。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいっ!
こ!こしょうをかけるやつがあるか!」
「だ・・・だめなの?」
「バターと塩までは許すが、さつま芋にこ・・・こ・・・こしょうはなかろう!」
「じゃ・・・じゃあもういらない。markiko、全部食べなよ・・・。」
寂しそうな相方の顔を見て、はっと我に返った。
まさか・・・この人・・・じゃが芋と同じ感覚でさつま芋を・・・。
時々、こういった食文化の違いにおののくことがあるが、今回も驚いた。
いや、驚いたばかりか怒った。相方にしてみればハタ迷惑な話で、
たったふたふりのこしょうの何が私の逆鱗に触れたのか全く解せなかったであろう。
この場を借りて謝っておくことにしよう。すまん。
いらないというので、ありがたく頂戴し(←鬼)、
残りのわずかなさつま芋で小さなスィートポテトを焼いて
ひとときの幸せを味わった。
ああ、あと1か月半ほどでお正月。
母の作るさつま芋っぽさ満点の栗きんとん、もう何年も食べていないな。
「紅白」を見ながらこたつで年越しそば、そして「ゆく年くる年」を見ながら
膝を正して「あけましておめでとうございます」やりたいなぁ・・・。
スィートポテトを食べながら、突然にそんな気持ちが胸に広がってしゅんとしてしまった私。
喜んだり、驚いたり、怒ったり、そして幸せそうにしたかと思えば肩を落とす。
人はこういう状態を情緒不安定というんだろうか。
ファイト!自分。ファイト!相方。