皆さん、債務償還年数って理解していますか
不動産投資で物件を連続して購入してゆく上で、この債務償還年数を理解し、決算書作成の際には、税引き後当期純利益をどこまで出す必要があるのかを自分で考えてコントロールし、決算書を税理士さん作成してもらうことが不動産投資家としての必須事項になると僕は理解しています。
銀行様からご融資を頂くには、
- 物件の担保評価(積算)=第3者機関による物件評価 x 8掛けや7掛けで計算
- 収益評価=入居率低下や金利上昇で大きなストレスをかけても収益がプラスで回るかどうか
- 現在のその物件エリアにおける平均空室率
- その物件エリアにおけるローン終了時の賃貸需要予測
- 現在の空室率となぜ空室なのかの理由
- 現在空室がある場合はそれにどう具体的に対処しようとしているのか
- 借りる人の属性と不動産賃貸業への熱意、力量、実績
- 決算書で資産超過状態の貸借対照表
- 決算書で当期純利益が黒字の損益計算書
- そして返済能力(=債務償還年数)
などが審査項目となりますが、最後の債務償還年数はあまり知らない人もいるのではないでしょうか?なのでここで少し説明してみます。
債務償還年数は返済能力の指標であり、端的にいうと「金融機関から借りた借金を何年で返せるのか?」という指標です。つまり、法人であれば(税引き後当期純利益+減価償却)の合計で借入金を何年で返済できるのかと言う年数で表されます。
もっと具体的な式で表すと
- 債務償還年数=(残債-役員借入金-その銀行への現預金)÷(税引き後当期純利益+減価償却)
となります。
例えば僕の法人A社の債務償還年数を見てみましょう。
A社の債務償還年数は27.6年となっています。
ここで重要なのは、各金融機関様が債務償還年数を何年以内であれば、次のご融資をお考え頂けるかと言うところです。
僕の知る限り、次の融資検討の土台に乗るための債務償還年数は、
- 都銀:耐用年数内
- 地銀:25年~30年
- 信金:25年~30年
です。
A社は都銀様からご融資を頂いているのですが、A社の債務償還年数は27.6年となっており、この物件の耐用年数は残り18年なので都銀様の基準を10年ほど超過している状態です。これでは次の追加融資を検討して頂く土台には載りません。
この原因は税引き後当期純利益が少ない事ですが、これは僕が社員総会で承認可決した出張旅費規程に基づいた出張経費の計上や、両親への役員報酬の支給と言う合法的な方法で経費を計上し、税引き後当期純利益を160万円にまで圧縮しているためです。
例えばこれらを計上せず、800万円まで税引き後当期純利益を増やせば、以下の様に債務償還年数は9.4年となり、非常に美しい決算書として都銀様のご融資検討の土台に乗るようになります。
しかし、ここで注意するべきは税金です。決算書上で800万円の利益が出してしまうと法人税の実効税率を23.3%とすると、500万円x23.2%=186万円もの税金の支払いが必要となります。
実際のキャッシュフロー(手残り)は、手残り=(家賃年収-銀行返済-経費-固都税)で計算されますが、このA社で保有する物件は地方都市の築古で前オーナーが全く手を入れていなかったシングル物件であるため、今はまだ入居者が退去するたびに多額のリノベーション費用が発生する状態です。
よって、来期も経費の中で「修繕費」と、客付けのための「広告宣伝費」が非常に大きくなることが想定されるため、それを考慮すると来期の実際のキャッシュフローは200万円程度しか残らない計算となっています。
ここで税額186万円を持って行かれると、200万円の手残りキャッシュフローの93%を税金として支払い、実際の手残りはわずか14万円になってしまいます。
一方で税引き前当期純利益を160万円とした際には、税金は160万円x23.3%=37万円となり、実際の手残りは200万円-37万円=163万円となります。
ここで149万円の手残り額の違いが出てくるわけです。
債務償還年数が25年~30年に収まっていれば、多くの地銀と信金、信組の基準は満たせますが、都銀の基準は満たせません。
ピカピカの決算書として税引き前当期純利益を800万円にして、法人税を149万円多く支払って、数年後に都銀さんから追加融資をして頂く可能性を高めるのか(そもそも融資は支店長様次第であり、既に前支店長様は異動でいらっしゃらず、今の支店長様は収益不動産への融資には消極的なのでそもそも検討の土台に乗るかどうかすら怪しいですが・・・)、
この都銀様からの追加融資は諦めて、決算書上の税引き後当期純利益を160万円として地銀・信金の債務償還年数の基準だけは満たしつつも手残りを増やすことを選択するのか、
はたまた、税引き後当期純利益を340万円にして、債務償還年数を17.9年として都銀様の債務償還年数の基準をギリギリクリアできる決算書として着地させるのか(その際の税金は79万円となり、実際の手残りは121万円となる)。
サラリーマンを続けながら低金利での融資を都銀さんから引いてくる可能性を残したいのであれば都銀の基準をクリアせねばならず、都銀を諦めて、地銀と信金の基準はクリアしつつも、実際の手残りを出来る限り大きくすることにするのか、ここが経営者としての決断となります。
この決算書をいかに作りこむのか、あたりが不動産投資をする上で物件選定や融資付けよりもさらに難しい箇所であろうと最近思っています。
【ご質問などはfudosan@via.tokyo.jpまでどうぞ。全てにお返事出来ないかもなのでその点ご了承下さい。】
僕が不動産投資を再開した20年2月からわずか12ヶ月の間に、4棟合計4億円のフルローン&オーバーローン融資を立て続けに銀行から引いて、家賃年収4,550万円、税引き前の年間キャッシュフローで1,530万円まで成長するきっかけとなったのは、初心者が陥りやすい「4つの罠」について書かれた以下の無料レポートを読んで、1棟不動産投資をする際に絶対に身に着けるべき知識習得に目覚めたことでした。以下に当てはまる人は特に読む価値があると思います
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同じサラリーマン年収の人でも、億単位の家賃収入まで1棟物件を10棟以上購入して規模を拡大出来る人もいれば、新築ワンルーム2部屋、家賃収入200万円で融資が出なくなって打ち止めになる人もいます。不動産投資の規模を拡大出来るかどうかは【継続的に融資を引くための本質】を理解しているかどうか次第です。その基本を学びたい人にはこれもおすすめです
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