
先日仕事で、某食品メーカーの商品開発部長と打ち合わせをしていました。
その時に、雑談的に話に上がったのが、「二番煎じは上手くいかない」というものでした。
その食品メーカーは、研究をベースにした機能的な商品の開発を得意とする企業なのですが、
昨年、一つのブランドが席巻している、某健康食品の市場に、
対抗ブランドを投入し、切り崩しにかかりました。
有効成分を競合ブランドより多く含有し、事前テストでの効果実感も確実に競合ブランドを上回るものでした。
性能は明らかに競合を上回るものだったです。
発売時には、タレントを使ったプロモーションも、結構な量を展開し、まさに万を時して、という感じでした。
さて、結果はどうであったか。
察しの通りかと思いますが、
わずか半年ほどで終売(生産・販売を止めること)を迎えてしまいました。
期待をよそに、売上は一向に伸びなかったのです。
タイトルには二番煎じと書きましたが、
これには消費者の「習慣」が大きく関わっていると思います。
上の事例が何の市場で、具体的に何のブランドかは、
守秘義務がありますので残念ながらここでは明かせませんが、
別の事例だと、ガムなんかが、似たような傾向があるように思います。
ガム市場でNo.1のブランドと言えば、ご存知ロッテキシリトールガムです。

ガムはかなり習慣的な買われ方、食べられ方をしているカテゴリーでしょう。
上の、ファミリーボトルなど、まさに象徴するものです。
キシリトールは発売以来、一貫して、歯の健康を訴求し続けています。
そのため、おそらく、食後の歯磨きとして、といった食用機会が多いのではないでしょうか。
食事、というのは誰でも毎日するものですから、
その行動と結びついたキシリトールは、かなり習慣的に食されます。
人間の行動の95%は無意識下の行動です。
モノを買う時も、大抵の場合は無意識ですから、
習慣化されたブランドは市場の中で非常に有利な立場を築くことが出来ます。
実際、キシリトールはガム市場の中で10年以上、No.1に君臨し続けているのです。
同じくロッテのブラックブラックも、車の運転をしながら、眠い時に、といった習慣化しやすいブランドですね。
一番上に挙げた、健康食品の失敗の事例は、
競合となっているブランドが、まさに習慣化されたブランドだったことによる失敗だと私は思います。
競合ブランドが築いている強固な習慣は、そう簡単には崩せなかったようです。
機能的には明らかに優れた商品が、習慣に完敗したわけですから、
「消費者は商品の特徴を見て合理的に判断を下す」という、
マーケティングの前提になっているような考えは、まさに誤りであることが分かります。
こういった事例は、他にも数多く存在します。
この辺りの話に興味がある方は、ぜひ『「習慣で買う」の作り方』を読まれることをオススメします。
私自身、マーケティングの概念の概念が変わりました。
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