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マーケター・たにくんのブログ

マーケティング小言。

朝ごはん、食べてますか?

今日のお昼、会社の同僚がおせんべいを食べていました。

特に気に止めなかったのですが、

10分後、僕がちょっと席を外して戻ると、同僚は今度はコロッケパンを食べていました。

面白いと思って聞いてみると、

小腹が空いたから、おせんべいを食べた。
でも足りなかったから、コンビニでコロッケパンを買って来た。


そうです。

突き詰めて聞いてみましたが、

同僚は明確にお昼ご飯という意識は持ってませんでした。

朝ごはんも基本食べないとのこと。

私の会社では、何かを食べながら仕事をすることは全く問題ないので、

夕方にがっつり食べてる人もいたりします。

私にしても同様です。


先日、食生活に関する市場調査に立ち会う機会があったのですが、

一日三食という文化は消滅しつつある

ことを痛感しました。

初めて食べる食事が、夕方のマクドナルドだったり、

夕食は食べずに、寝る前にスナック菓子をつまむだけだったり…



一日三食の崩壊の背景には、

ファーストフードに代表される24時間営業の飲食業の増加や、

勘弁な加工食品の増加があります。


なぜファーストフードやファミリーレストランが朝食メニューを充実させているのでしょうか。


ランチとディナーだけでは売上を拡大できないからです。

人の数は限られているし、食べる量も限られています。

だから朝食や完食、夜食用のメニューを充実させ、

売上拡大を目指しているのです。

24時間営業が当たり前になっている理由の一つです。


これは飲食店だけの話ではありません。

例えば、朝カレー。


カレーは元来、お昼か夜ご飯のメニューでした。

そこに市場を拡大しようとハウス食品が取った戦略が

朝カレーなわけです。

お菓子でも「朝」をうたった商品がありました。

全てがうまく行っているわけではありません。

ですが、今までに無い、新しいシーンを生み出すのは、

マーケティング戦略の鉄板です。

つまり、

各企業が売上拡大を目指すマーケティング戦略を取ってきた結果が、

一日三食の崩壊の主な要因だと考えられます。



この食生活の実態については、
変わる家族 変わる食卓 - 真実に破壊されるマーケティング常識 (中公文庫)」を読むと、
非常によく理解できます。


市場を拡大のために、新しい食シーンをそれぞれが

求めて行く傾向は今後も続くでしょう。

例えばこの間、そうめんで鍋を作る「冬そうめん」みたいな商品を見ました。

そりゃぁ、そうめんのメーカーは、

夏以外も売上が欲しいでしょうからね。

一日三食の崩壊どころか、日本の食文化・伝統が変化するような、

今と想像の付かない事態が待っているかも知れません。

ごちゃごちゃ

AppleのCEO、Tim Cook氏が業績発表の場での発言が面白いので共有します。

「タブレット端末と伝統的なノート PC は1つになり、ハイブリット端末へと進化していくのか」

という記者の質問に対して、Tim Cook氏はこう答えたそうです。

「トースターと冷蔵庫を1つにすることはできる。だが、そんな製品を作ってもたぶん誰も喜ばないだろう。
どんな製品でも1つにまとめることはできるが、そこでは妥協が生まれる。結局のところ、
そのような製品では誰も満足させられない。」


つまり、iPhone、iPadなどのスマートデバイスだけでなく、MacBookAirにも力を入れていく、
 
ということのようです。

私はこの話を聞いて、「テレビデオ」を思い出しました。

(↓テレビデオ)

DXアンテナ 14型1チューナー モノラルテレビデオ BV-140V





テレビとビデオが一体になったもので、私も以前持っていました。

今は衰退して、なかなか見かけなくなりました。

テレビとビデオの機能を一緒にした、ある意味画期的だったわけですが、

Tim Cook氏が言う通り、妥協が生まれたことが、

衰退の原因の一つだったのでは無いでしょうか。

ビデオ(今はDVDですが)レコーダーや、テレビなど、それぞれに技術が進歩し、

新しい機能が追加されたり、見たことのない高画質の商品が出たり。

テレビとビデオが一緒になっていることは、それ自体は便利かも知れませんが、

買い替え(バージョンアップ)する時には、一緒であることが障害になりそうです。


他にも、「カメラ」などは、ケータイ電話やスマートフォンに搭載され、

消費者は気軽に写真を撮ることが出来るようになったわけですが、

だからといって、デジカメや一眼レフの市場は無くなっていません。

これは、スマートフォンのカメラ機能が(悪い意味でなく)妥協だからだと思います。

一眼レフのような本格的なカメラ機能よりも、

手軽に撮影できて、簡単にメール添付できる、ことのほうが重視されているのです。

もし、スマートフォンのカメラに、一眼レフ並みの機能と画質を搭載することが出来たとしても、

その分操作が煩雑になり、画質が良すぎるためにサイズが大きくメール添付出来ない、

ような状況になれば、消費者には受け入れられないことでしょう。



ちなみに、スマートフォンやパソコンには、使いこなせないほどの色々な機能がありますが、

ある調査によると、「消費者が実際に使用している機能は全体の10%にも満たない」そうです。

そう考えると、色んな機能を詰め込む、という潮流にはそろそろ限界が来ている気がします。

それよりも、機能をシンプルにし、より直感的に使えるような操作性を高める、

ことのほうが、今後重視されてくる
と思います。


好例はiPodでしょう。iPodを超えるスペックや機能の音楽プレーヤーは、

存在するし、作れるメーカーも少なくないでしょう。

でもiPodは爆発的に普及したのです。

iPodは実にシンプルです。複雑な機能もありませんし、

数少ないボタンで、直感的に操作が出来るように設計されています。


技術は進歩し、色々な便利な機能を持たせることが出来るようになります。

でも、スペックが2倍になっても、人間の能力は2倍にはなりません。


操作が分からなくて、説明書に手を伸ばしても、

分からない単語が出てくると、もう諦めてしまうのです。(私です。)


今後、商品開発の流れは、「機能価値」ではなく「ユーザビリティ」が

キーワードになっていくと思います。


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retty2

~お店リストを創ろう~ 新感覚グルメサイトRetty[レッティ]


Rettyというサービスがものすごく便利なのでご紹介します。私も多用しています。

お気に入りの飲食店をブックマークしたり、

クチコミを投稿したり、閲覧したりすることができるサービスです。


iPhoneアプリやAndroidアプリでも利用可能です。

同じようなことが出来るサービスは他にもありますが、

Rettyがユニークなところは、Facebookアカウントを利用しているところです。


facebook は身分証になりえるか? 」でも取り上げましたが、

Facebookは実名制であるがゆえに、色々なサービスでその価値を発揮しています。


一時期、食べログのやらせ投稿(ステマ)がかなりメディアを騒がせたことがありましたが、

虚偽な投稿が発生するのは、クチコミの投稿が匿名でも可能だからです。

2ちゃんねるやTwitterでの炎上なども、匿名性が前提条件となっています。

(もちろん、匿名性には良いところもあります)


ところが、このRettyのサービスは、Facebookでのログインを要求されるので、

あくまで自分の意見としてのクチコミやブックマークをすることになります。

そのため虚偽な投稿がしにくく、閲覧する側も、投稿を信頼しやすくなります。


もう一つ、私がRettyを気に入っている点は、

ブックマークを一覧で地図上に表示できることです。

retty

Rettyでは「行きたい」お店リストを作ることができ、

そのリストを、地図上に一括表示することが出来ます。(上の写真)


私の場合は、友人からのクチコミがTVで紹介されて「行きたい」と思ったお店を、

とにかくリストに追加しています。

遠くの土地のお店も、とりあえず登録しておきます。

こうしておくと、ある土地に出かけたときに、

現在地の近くにある、自分がリストに登録したお店を、

地図で間単に探すことが出来るようになります。



普段自分が行かない土地のお店など、覚えておくことは難しいですが、

Rettyに登録しておけば呼び出すことが出来るのです。

興味のある方は、ぜひ使ってみてください。


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