『吹けば飛ぶよな男だが』
【山田 洋次】監督が『男はつらいよ』の前年に撮られた作品ですが、、
本作の主人公【なべおさみ】さんの「三郎」や1966年作品『なつかしい風来坊』のハナ肇さんの「源五郎」しかり、、
その後の【渥美 清】さんの「車 寅次郎」というスーパーキャラクター誕生の大きなヒントとなったのでしょうか?
【渥美 清】さんの個性をベースに「三郎」の粗暴だが人懐っこい所と「源五郎」の見かけによらず誠実で情に厚い所をミックスさせて「車 寅次郎」が、完成された様にも思えます。(☆個人的感ですm(__)m)
そんな「寅さん」誕生前夜、山田&森崎コンビの渾身の一作です❗❗
◇ 1968年作品(松竹)
監督・脚本 : 山田 洋次
脚本 : 森崎 東
出演 : なべ おさみ、緑 魔子、佐藤 蛾次郎、有島 一郎、ミヤコ 蝶々、犬塚 弘、芦屋 小雁、長門 勇、佐山 俊二、石井 均
ナレーター : 小沢 昭一
大阪の与太者・三郎(なべ おさみ)と子分のガス(佐藤 蛾次郎)は、兄貴分の鉄(芦屋 小雁)らと、女性目当ての街頭スカウトをしていた。
そこに、
九州から出て来たばかりで、何処かヌケてる家出娘・花子(緑 魔子)をスカウトして、無理矢理ブルーフィルムに出演させようと撮影現場に連れて行くが、激しく抵抗した為、鉄に殴られ、強姦されかかっている所を見かねた三郎は、花子を助けてその場からガスと三人で逃亡してしまった。
そして、不幸な境遇に育った花子に情が移り、人助けから愛情へと気持ちが変わって行く三郎。
三人は金稼ぎの為に美人局をするが、街中で簡単に騙され、宿に連れ込まれた先生(有島 一郎)から、大金を巻き上げる筈が、、人のいい先生に拍子抜けしてしまい、酒を酌み交わし仲良くなってしまった。
花子と相思相愛にはなったが、、
結局三郎は、貢がせる為にお清(ミヤコ蝶々)が女将をするニュートルコ(※)「エデン」で働く事を強要する。
花子は健気に三郎の言うことを聞いたが。。
そんな時、、鉄たちに居所を突き止められ、花子の居所を吐かせようとリンチを受ける三郎…
開き直った三郎は自分から、おとしまえを付けると言って、指を詰めてしまった。。
二人の運命や如何に、、
………………………(★ネタバレしますm(__)m)
(※)ニュートルコ(トルコ風呂) = ソープランドの旧名称。。
ホントは、涙脆く根は優しい少年なのだが、
後先考えずに猪突猛進しか出来ない三郎には、
破滅的な人生が必然だった。
花子は、
地元の九州・天草に居た頃に好きでもない男と関係して妊娠5ヶ月の身重の体だった事が分かったが、それを中々三郎に言えずに自殺まで考える程思い込み、いつしか優しい先生を頼り、家に居着く様になる。
そして先生も花子に恋心を抱く事に。。
それを聞き付けた三郎は、花子に中絶する様に迫るが、
花子はカソリック教徒で、中絶する事も自殺する事も許されないのだった。
三郎は自棄になり、ガスと街で泥酔してヤクザの三人組に絡み、そのうちの一人をナイフで刺してしまった。
刑務所に入れられ失意の三郎に花子が面会に来て二人は再び愛を確かめあい、、出所したら一緒になろう、あのスケベじじい(先生)の所には戻るな!と花子に念を押した。
それから、一週間程で、先生が保釈金を払ってくれたお陰で釈放された三郎だが、、その理由は……
三郎に言われて先生の家に帰れず、行く宛が無くなってしまった花子は、雨の中を路頭に迷いそのまま流産し自らも命を落としてしまったのだった…‥
花子の冷たくなった身体に触れ、人目も憚らず慟哭する三郎。。
そして、花子の遺骨を故郷に還した三郎。
「貧しきこの島に生まれ育ち、一人の男に欺かれ、一人の男を恋したる少女は今、故郷に帰りつけ、永遠の眠りにつく」~
「貧しきは罪なりや、心優しきは、そも罪なりや」…‥ナレーションも悲しく響く。
それから、
一念発起して、堅気になろうと海外渡航船に乗り込む三郎。
見送りに来たお清と三郎の会話、
「おいチンピラ!」「なんやド淫売!」
と言い合うも、三郎はお清が自分の母親ではないかと聞くが、あっさり否定するお清……
最後まで、この母子(?)ならではの愛情深い会話が切なくも笑えて、ホントにいい👍
心優しき大人達に守られ、人間として成長して行く三郎少年。。
涙と笑いが入り乱れ、最後は清々しく明るい未来を期待させてくれた!
どストレートに心に突き刺さる昭和喜劇でした。
★★★☆
………………………………
本作は、当時多くの作品でコンビを組まれていた【森崎 東】氏が、脚本の殆どを執筆されていて、森崎ワールド満載の下ネタ&直情型の主人公の不条理さ等を、最大限生かしつつ、山田監督がギリギリまで我慢をしてまとめあげた、エッジの効いた傑作人情喜劇になっています!
悪臭が漂って来そうなシーンの数々m(__)m
リアルな昭和の不衛生さにさえノスタルジーを感じてしまう。。
お二人の才能が、素晴らしく融合(ハマった)した作品だと思います。
⬆三郎役の【なべ おさみ】さん、、
見事な程の泣きっぷりとやんちゃさ☝憎みきれない少年を演じられました!シリーズにならずに残念に感じる程でした。。
⬆花子役の【緑 魔子】さん、、名前から風貌から何から、、アンニュイで不思議な魅力のある方で、、とにかく子供ながらにインパクトが大きくて忘れられない女優さんでしたが、、はて?私は映画かテレビか?一体何の作品を観て、そう思ったのか、、謎です(笑)。。
愛らしい訛りで「どうも、すんませんでした」や「かおるちゃん、おそくなってごめんね🎵」のウィスパーボイスは可愛かった!
⬆ガス役の【佐藤 蛾次郎】さん、、正に『男はつらいよ』の源ちゃんのルーツ☝健気な子分役が、ホント似合う方です❗
⬆お清役の【ミヤコ 蝶々】さん、、
トルコ風呂の女将、レクチャーのシーンは面白かった!三郎に母親か?問われるが、「生まれてすぐに、ややこは死んだ」とウソか?ホントか?のラストの微妙な表情が秀逸でした!(寅さんのお母さんと殆ど同じ性格の役柄でしたね☝)
⬆先生役の【有島 一郎】さん、、安定の気弱なおじさんからの酔っぱらいっぷり(?)には、癒されますね!(笑)
⬆不動役の【犬塚 弘】さん、、昭和の喜劇界屈指のバイプレイヤー、本作では存在感から何から絶妙な兄貴で、ホントに素晴らしかった!助演男優賞はキマリですね👍
⬆ナレーターの【小沢 昭一】さん、、冒頭でいきなり出演されますが、その後はナレーションのみに終始されます。小沢さんの優しくも感情の起伏のある語り口には感動しました👍




















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