『飢餓海峡』

ここのところ、日本映画を多く見る様になりました。
若い頃は、洋画ばかり見ていたので、不勉強で恥ずかしいですが、、

こんなに沢山の名作があったんだとm(__)m
今更ながら驚き!楽しんで!います!

今回は日本映画史上、不朽の名作と言われた作品です。

公開年が1965年、私の産まれた年なんですが、
映画自体が戦後間もない1947年頃の設定という事で、特別な撮影方法(東映W106方式)を用いて、画質の粗い(ザラザラ感?)当時のテレビ画の様な古さを演出した様です。。
確かに最初、冒頭シーンを見た時は、随分古いな…と感じたが、、制作者の意図だったんだと知り感心しました。

三時間を超える大作だが、、長さは感じずに物語に、のめり込んでしまった。。

◇ 1965年作品
監督 : 内田 叶夢
主演 : 三国 連太郎、伴 淳三郎、左 幸子、高倉 健


〈簡単なあらすじ〉

昭和22年、戦後の復旧もままならい時代、北海道岩内では、質屋の主人が現金を盗まれ殺害され、証拠隠滅の為の放火により、街中が焼け野原となる大被害が起きた。
時を同じくして、天候不良により、津軽海峡が大シケとなり、青函連絡船が転覆する大惨事も起きていた。市中は混乱を極め、、質屋強盗の犯人を捕り逃すことになる。。

函館署の刑事・弓坂(伴 淳三郎)が捜査にあたる中、転覆事故で乗船名簿にも名前が見当たらない身元不明の二つの遺体が額に同じ様な傷がある事に疑念を持ち…他殺の可能性と質屋強盗殺人との関連性を示唆した。。

質屋強盗の犯人は目撃者の情報から三人組と断定されているが、、既に海を渡り本土へ逃げてしまったと推測され、その後の足取りが全く掴めない。

その頃、逃亡中の三人組のうちの一人犬飼 太吉(三国 連太郎)は青森の下北半島に上陸して、、食料と寝床を探す為に、村をさまよっていると、走る列車を見つけ、それに飛び乗った。

犬飼は車中で知り合いになった芸者・杉戸 八重(左 幸子)とは一旦別れるが、彼女が働く芸者宿に行き着き、結局一夜を共にする、、
彼に一目惚れしてしまった八重は引き留めようとするが、、すぐに宿を去ってしまった。。
別れ際に、犬飼から、お礼と言って多額の現金を渡される。
貧困家庭であった八重は彼を命の恩人と崇め、彼の切り落とした一片の爪を、後生大事に保管するようになる。。

翌日、青森に渡った刑事・弓坂は、聞き込みの末、犯人の行方を知るかも知れない女と特定した八重の元を訪れるが、殺人容疑を掛けられている男(犬飼)をかばい、知らないと嘘をつく。
いつの日か、犬飼に会い、お礼を言いたいと心に秘め、八重は家庭の借金を完済し単身上京する、、

その後永らく、亀戸の色街赤線区で女給(売春婦)として働いてきた八重だが、、
雇い主から、新法が施行される為、この先仕事は続けられないと宣告される、、
その時、置いてあった新聞にあの犬飼の顔写真が載っている記事を偶然にも発見するが、
その名前は、樽見 京一郎とある。。

1958年「売春禁止法施行」。

あの、出会いから10年が経ち、、高度経済成長の波が押し寄せて来た日本、、

人も景色も移り変わっていた……

…………
※ ⬆長くてすみませんm(__)m

【三国連太郎】さん、
当時としては、彫りの深い風貌の大柄な俳優さんは、珍しかったと思いますが、、(岡田真澄さんとはまた違う感じです…)
警察の取り調べに対して、築き上げたものを守りたいとの切迫感から、嘘偽りを押し通そうとする姿は、一見冷静に見えるが、目線の動き等から察する、恐怖心の抑制を旨く演じられていると思いました。
三国さんのカットの時だけ妙に独特で、何だかヨーロッパ映画みたいに感じました。

【伴 淳三郎】さん、
特に素晴らしく、強い訛りのある地方の刑事を大熱演しています。
どちらかと言うと喜劇役者のイメージが強かったが、シリアスな演技も秀逸でした。
思うに、いかりや長介さん、植木等さん等の喜劇人達のシリアスな演技は本当に素晴らしかったですからね!

【左幸子】さん、
この作品の二年前、今村昌平監督の『にっぽん昆虫記』で体当たりの演技をしているので、ここでの恍惚(?)の演技も、お安いご用!だったのかも知れないですね。。
とても情の深い女役はハマリ役で、迫力ありました!

【高倉 健】さん
樽見京一郎が在住する、舞鶴警察の刑事係長役、
この頃は、任侠映画の出演ばかりで、こういう役柄は当時珍しかった様ですね。
何故か、役職者なのに青臭さがあり、一辺倒に捜査を進めようとする熱血漢を演じていて、存在感を出していました。
もう少し落ち着きが欲しかった所ですが、、
その辺は、伴淳さんと署長に持ってかれましたねm(__)m

……………

ラストは、
私の予測した幾つかのパターンの中でも、
最悪の結末となってしまった……………

飢餓に苦しみながらも時代を生き抜き、
移住の地で成功を収める、、
犯した罪を償う為、社会貢献に努める男、
その男を、会えずとも一生の恩人として愛し通した女、

どうしても、消し去らなければならなかった、過去。。

困窮を極めたあの悪夢の様な時代が悪いのか?

隠し通せない過去の罪に、悲しすぎる末路………


どうして人間は、こうも脆いものか…
考えさせられました。。