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Wind Walker

ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

死者の舞踏場 (ミステリアス・プレス文庫 89)

 

『死者の舞踏場』 トニイ・ヒラーマン著 1973年

 

 

本作は刑事が殺人事件を捜査するというミステリなのですけれども、なにが特殊かと言うと事件はインディアン居留区で起こり、主人公はナヴァホ族警察の所属なのです。

 

 

あらすじ:ズニ族の少年とナヴァホ族の少年が行方不明になった。ナヴァホ族警察のリープホーン警部補はズニ族警察へ赴き、共同で捜索を始める。やがてズニ族の少年の遺体が見つかり、犯人がカチナの格好をしていたことも判り・・・という物語。

 

 

舞台がインディアン居留区というだけではなく、先住民の儀式や神話が事件に関係してくるところが面白いところです。

 

「カチナ」が何かを知らないようなアメリカインディアンの知識が全くない方には難しいだろうとは思いますが、最低限の知識があれば十分楽しめます。

 

リープホーン警部補はシャーロック・ホームズのような天才型ではなく、地味にコツコツと足で捜査するタイプ。そのおかげでズニ族居留区の大地や集落の空気を存分に感じさせてくれました。

 

ズニ族とナヴァホ族の文化の対比も興味深いですし、途中からFBI捜査官がやってきて捜査の主導権を取られてしまうという展開で白人とネイティブアメリカンの力関係を描いているところも巧みです。

 

話がというよりも、ネイティブアメリカン × ミステリという組み合わせが極めて斬新でした。

 

 

 

 

 

 

魔力 (ミステリアス・プレス文庫 22)

 

『魔力』 トニイ・ヒラーマン著 1986年

 

 

ナヴァホ族警察シリーズは18作出版されていて、その中でも7作目となる『魔力』から人気に火がついたとのことなので、こちらも読んでみました。

 

呪術を嫌悪するベテラン、リープホーン警部補を主人公とする物語が3作、呪術師を目指す若きチー巡査が主人公の3作がこれまでにあって、本作はこの対照的な二人が初めて共演する作品。以降はリープホーン&チーをダブル主人公としたシリーズとして継続していきます。

 

原題は「Skinwalkers」。スキンウォーカーとは動物の皮をかぶることで変身をする、ナヴァホ族の伝説上の悪い魔法使い。

 

呪術(あるいは迷信)が残っているインディアン居留区だからこそ起きた連続殺人事件で、ただのミステリーではなくナヴァホの文化的背景も学べることがこの作家の醍醐味でした。

 

 

 

 

著者は白人でしたが、ネイティブアメリカンの文化に精通したベストセラー作家として敬意を受け、ニューメキシコ州のアルバカーキに「トニイ・ヒラーマン中学校」や「トニイ・ヒラーマン図書館」が建てられたそうです。

 

14年ぶりに平泉へ。

 

14年前の2011年は東日本大震災の年でしたが、平泉が世界遺産に登録された年でもありました。

 

2011年の8月28日に平泉文化遺産センターで行われた、登録をお祝いするコンサートで演奏するために訪れて以来でした。

 

そのとき主催者の方に中尊寺〜毛越寺〜無量光院跡と案内していただいたのですが、わりと駆け足で回ったため、もう一度ゆっくり訪れたいなと思っていたのですよ。

 

 

毛越寺

 

 

ゆっくり回った結果わかったのは、奥州藤原氏初代清衡公が中尊寺を建立し、二代目の基衡公が毛越寺、三代目の秀衡公が無量光院を建てたということ。この三か所を巡った意味が14年経ってから分かりました。

 

無量光院跡

 

 

そして相変わらず何もなかった無量光院跡ですが、名曲「金鶏山落日賦」が誕生した地であり、ミニアルバム『Amazing Grace』のジャケット写真を撮影した場所でもあるのです。

 

 

 

見比べると、「あそこの木だな」というのがなんとなく分かりますね。

 

 

 

 

12日(土)は奥州市水沢で人気のフレンチレストラン、エルミタージュさんの別館にて、ソロライブを行いました。

 

奥州市水沢地区といえば大谷翔平選手の出身地として有名ですが、エルミタージュさんのことも前日に泊まった一関でも、翌日訪れた気仙沼でも誰もが知っているという人気と知名度でした。

 

初めてネイティブアメリカンフルートを聴く方がほとんどで、「金鶏山落日賦」を演奏したり、岩手の鹿踊(ししおどり)とヤキ族の鹿踊りの不思議な関係についてお話したりと楽しい時間でした。

 

 

 

この日のスペシャルゲストは、FLUTE LODGEでもお馴染みの宮里真弓さん。オープニング演奏をしていただき、アンコールでは一緒にデュエット演奏も行いました。

 

ご来場の皆様、エルミタージュ様、宮里真弓様、ありがとうございました!!!

 

 

 

 

その後、3年ぶりの気仙沼へ。

 

来られなかった間に作ったアルバム『WINDWALKER』の曲を気仙沼みちびき地蔵尊に聴いていただきました。

 

このみちびき地蔵像は長野県原村で作られたことを思い出したので、原村をイメージして作曲した「こころの原風景」を演奏してみたのですけど、この曲は気仙沼にもピッタリだなって思いました。

 

原村同様、気仙沼も何度も通っているうちに私の第二の故郷となりましたから。

 

 

 

 

この日はご縁のある15人ほどの方が地蔵堂に集まって聴いてくれました。

 

皆様、ありがとうございました!

 

最近またネイティブアメリカン関連の書籍を読み漁っていますけれども、以前もたくさん読んでいた時期があるのですよ。

 

読みすぎてどれを読んでも新しい知識を得られることが少なくなり、面白くなくなったのでネイティブアメリカンとは関係のない本ばかり読んできましたが、それにも飽きてまた戻ってきたところです。

 

とはいえそれしか読んでいないわけではなく、面白さだけでいえばやはり一般の話題作のほうが圧倒的に面白いです。

 

というわけで、今回は面白かったオススメ作品のみを掲載していきます!

 

 

 

 

『黒牢城』 米澤穂信著 2021年

 

主人公は織田信長に反旗を翻した荒木村重。

 

籠城している有岡城内で不可解な事態が起こる度、土牢に捕えている黒田官兵衛に知恵を借りるという、映画『羊たちの沈黙』のパロディー的な展開。

 

ただ全てお見通しのハンニバル・レクターもハッキリとした解答をくれなかったように、官兵衛もヒントしかくれません。

 

「時代小説 × ミステリ」という組み合わせは斬新で面白かったですけど、援軍の来ない籠城戦という重たい空気のせいか、あまり思ったことを言葉にしない村重の性格のせいか、官兵衛にレクター博士ほどの凄みが感じられないためなのか、そのシチュエーションから感じられた期待ほどには面白くならなかったようには思いました。

 

とはいえ第166回直木賞を受賞していて、非常に良くできていますし、思っていた以上に本格的な時代劇でした。

 

 

 

 

 

『爆弾』 呉勝浩著 2022年

 

スズキタゴサクと名乗る冴えない中年男性が、酒屋の店員を殴って逮捕された。取り調べ中に10時に秋葉原で起きる爆発を予言してみせ、しかも爆発はあと3回起こると言う。スズキは爆弾魔なのか、そして警察は爆破を阻止することができるのか・・・という小説。

 

物語の大半は取調室の中で進行して、スズキタゴサクの飄々としていながら高い知能と悪意を秘めた長広舌とそこに隠されたヒントを読み解く刑事との知恵比べがめちゃくちゃ面白かったです。

 

ただ面白いだけではなく、「他人がどうなろうと本当はどうでもいいんだろう? 本当は世界なんて滅びてしまえばいいと思っているんだろう?」と倫理観を揺さぶられる一冊。

 

刑事や警官の一人一人に背景やストーリーがあって、「爆弾」とは誰もが心の中に抱えている葛藤のメタファーとして読めるところも秀逸でした。

 

今秋に映画化が決定されていて、スズキタゴサク役は佐藤二朗さん。個性が強過ぎていつも本人にしか見えませんでしたけど、この役はぴったりすぎます(笑)

 

 

 

 

 

 

 

『法廷占拠 爆弾2』 呉勝浩著 2024年

 

『爆弾』が面白過ぎたので、続編を読まないという選択肢はありませんでした。

 

スズキタゴサクの公判中、爆弾を持ったテロリストが法廷を占拠。死刑囚への刑の執行を迫るが、果たして真の目的は・・・という話。

 

今回のテロリストもルサンチマンに満ちて弁舌に長けた知能犯という点ががタゴサクに似ていて、各地に仕掛けた爆弾で警察の捜査を撹乱するところも同じです。

 

話の構成が似ている割に前作を上回るほどのインパクトには欠けるのが惜しいところですけど、最後まで読めない展開で読者を惹きつけるのは流石でした。

 

そして最後は更なる続編を予感させ、今後シリーズとして続いていく様子。本作の内容を忘れてしまう前に続きを読みたいです。

 

 

 

 

『方舟』 夕木春央著 2022年

 

「とにかく、ドンデン返しが凄い!」という評判だけ聞いて読んだミステリ。

 

10人の男女が「方舟」という名の地下構造物に閉じ込められ、徐々に浸水していく。誰か1人が犠牲にならないと脱出口が開かない、という状況で起こる連続殺人。

 

犯人は誰か?に加え、犯人が判明したところで皆が助かるために犠牲になってくれるのだろうか? という心配もしなくてはいけないところがハラハラ度を高めます。

 

状況としてはミステリの王道「クローズドサークル」ながら、スマホが事件解決の鍵となるところが現代っぽいなというくらいが途中までの感想でしたけど、噂に違わずラストが衝撃的すぎて気持ちよかったです。

 

ドンデン返しがあるというだけでも十分ネタバレだと思うので多くは語りませんが、あまりミステリが得意でない私でも最高に楽しめました。オススメすぎる。

 

 

 

 

 

『十戒』 夕木春央著 2023年

 

『方舟』の次作。

 

前作と同じように9人が無人島に閉じ込められながら、一人ずつ殺される連続殺人事件が起きて・・・という話。

 

これも『方舟』と似てるな、でも前作ほどのインパクトはないな、というのが終盤までの感想でしたけど、最後の最後で「そうきたか!」というドンデン返し。

 

犯人が誰かはなんとなく予想できるのに、犯人が誰なのか分かったときに衝撃を受けるという二段階のオチにもうノックアウトですよ。

 

『方舟』が面白かった方は必ずこちらも読んでいただきたいですね。