「インディアン」と聞いて、皆さんは思い浮かべるキャラクターがおりますでしょうか?
私の場合、『トム・ソーヤーの冒険』に出てくるインジャン・ジョーがそれなのですよ。
『トム・ソーヤー』はアニメではなく児童書で親しんでいたのですが、挿絵で描かれていたインジャン・ジョーは黒目のない異様な風貌で、子供だった私には圧倒的に恐ろしい存在感がありました。(ググったら熊谷さとしさんという方が描いたそうです。今見ても怖い。)
あまりにも深く印象に残っていたので、最近でもアグレッシブな疾走曲を作った際に「インジャン・ジョー」というタイトルをつけたくなったりもしたのですが、「インジャン」が日本人を「ジャップ」と呼ぶに等しい蔑称と知って止めました。
そんなわけで、今回はこの一冊。
『トム・ソーヤーの冒険』 マーク・トウェイン著 1876年
あらすじ:トム・ソーヤーは浮浪児ハックベリー・フィンを親友とするイタズラ好きな少年。ある晩、インジャン・ジョーが殺人を犯す現場をハックと一緒に目撃してしまい・・・というお話。
物語の大半はトムが喧嘩をしたり、恋をしたり、悪いイタズラをしたりというたわいもない少年の日々が綴られるのですが、インジャン・ジョー絡みのエピソードになると段違いに緊張感が高まり、それゆえに読み物として段違いに面白くなります。
続編『ハックルベリー・フィンの冒険』はハックが黒人奴隷の逃亡を助ける話で、ヘミングウェイや批評家たちが大絶賛したことから現在では評価も売上も『トム・ソーヤー』を抜いているとのこと。
解説によれば『トム・ソーヤー』はネイティブアメリカンと白人の関係性が描かれており、インディアンの混血であるインジャン・ジョーが白人社会を憎悪している原因は白人に人間扱いされなかった過去にあることが本文中でも描かれています。
今回読んで初めてわかったことは、『トム・ソーヤー』が大人向けに格調高い文章で書かれていて、「アメリカじゃ、マーク・トウェインなんてインテリが読むもの」とまで言われているということ。
ちなみに「マーク・トウェイン」というペンネームは蒸気船が安全に航行できる「水深12フィート」という意味の船舶用語で、
ここから先は危険という、ぎりぎりのところを書いていくという決意が込められているそうです。
そういったことが書かれている解説やあとがきがいつも通り素晴らしかったので、光文社古典新訳文庫で読むのがおすすめです。
ところでAmazonプライムでは『トム・ソーヤーの冒険』のアニメ版が見れました。
見た記憶もあまり無かったのですがオープニングの歌はよく覚えていたのでたぶん見ていたのでしょうね。
サビが印象的な歌ですけど、Aメロはチャップリンが作詞作曲した『偽牧師』のテーマ曲とそっくりじゃありませんか。