『道化の民俗学』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

『道化の民俗学』 山口昌男著 1975年


毎年秋にイラストレイターでありカラクリ作家でもある塩浦信太郎さんと「ネイティブの風」というイベントを開催しているのですが、5回目となる今年は10/24に行います。

夏に塩浦さんと最初の打ち合わせをした際に「今度はトリックスターを取り上げたい」という提案と共に、本書を紹介されました。

イタリアの舞台喜劇に登場する仮面の道化アルレッキーノ(英語でいうハーレクイン)の考察を中心にして、ギリシア文化のヘルメス、アフリカ文化の道化、インドのクリシュナ、そして最終章にアメリカ・インディアンの道化を取り上げていて、まさに世界の道化の百科事典のごとき様相を呈しています。


道化・トリックスターというのは世の中のルールから逸脱した存在であるがゆえに笑いや混乱を生みだしますが、閉塞した世の中の空気に風穴をあけることによってまったく新しいものを創り出す文化的な英雄にもなる存在なのです。

そういう意味で彼らは単に人を笑わせるひょうきん者ではなく、すべての芸術家のあるべき姿でもあるといえるかもしれません。

ただトリックスターは新しいものを創ろうという意思を持って創るわけではなく、いたずらの結果新しいものが生まれてしまうという、ある意味天然なキャラクターなのですけどね。



10/24は塩浦さんがトリックスターのお話をする予定ですが、ご来場される方はこの本を読んで予習しておくと、より深い理解が得られるかもしれません。

まぁ過去4回の経験でいうと、きっとイベントでは本書のような学術的な堅い話は一切出ないとは思いますけども(笑)