『天孫降臨の夢』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

いい国作ろう鎌倉幕府。

しかしいつの間にか教科書では鎌倉幕府の成立を1192年から1185年と変更していたらしい。

そして聖徳太子が本当に実在したのかが疑われ始め、「厩戸皇子(聖徳太子)」として付随的に記述されているのだとか。

日本の紙幣の常連でもあった肖像画が、実は聖徳太子のものではなかったという説はかなり昔に聞いたことがあったのだが(それで諭吉さんに変わったのかしら)、存在そのものまで疑うという発想はなかった。

そんなわけで「いなかった」派の大山誠一氏の本を読んでみる。



『天孫降臨の夢 藤原不比等のプロジェクト』 大山誠一著 (2009年)


第一部では聖徳太子という人物がなぜ捏造されたのか、第二部では捏造した藤原不比等が一体何をしたかったのかを検証する。

推古天皇の統治していた時代の日本に使節を派遣した中国の歴史書(『隋書』)には「男の王に会った」「後宮には6、700人の女がいた」などと記載されていることが昔から論点になっていたが、著者によればこの倭王は蘇我馬子。

天皇家が万世一系であったことにするために蘇我王朝の存在を消さねばならず、蘇我馬子の大きすぎる実績を実在した厩戸王に移した結果、聖徳太子という偉大すぎる人物が誕生したということらしい。

ちょっと話を単純化し過ぎてしまったが、興味を持った方はこの著者の本を読んでみて欲しい。


『古事記』や『日本書紀』が当時の権力者によって都合の良いように編纂されたという話は有名だが、誰が何のために何をどう捏造したのかという具体的な話は聞いたことがなかったので、大いに刺激になった。
 

 

 

 


でも一番驚いたのは、「縄文中期の日本の人口は26万人。人口分布のほとんどは関東・中部・東北に偏在しており、近畿以西には2万人しかいなかった」という、本論とはほとんど関係のない記述。

どうも国家が成立する以前の人類のありように、どうしても興味がいってしまうようだ。


「日本は正しい歴史認識を持て」と隣国からお叱りを受ける昨今ですが、領有権で揉めてるナントカ島やらナントカ諸島やらも、そもそも大地は誰のものでもないでしょ、というのが私の認識。

これって正しくないのかな?