『パパラギ』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

という本を最近、読みました。

「はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」というサブタイトルが示すように、ヨーロッパ諸国を見てまわったサモアの酋長による現代文明への鋭い批判。

・・・という内容なのだが、どうも何かが引っかかる。


酋長は目にした近代文明を当たるを幸いブッタ切るのだが、「・・・なんでそんなに詳しいの?」といいたくなるほどパパラギ(白人)の文明の細部までよく知っているあたりが妙に引っかかるのだ。

ラコタ族の偉大なる呪術師、シッティング・ブルもまた白人の文明に対する鋭い批判の言葉をいくつか残しているが、それと決定的に何かが違う。

というわけで調べてみたら、「ドイツ人作家によるフィクション(偽書)」とwikipediaには載っていた。やっぱり。


すっきりしたところで改めて読むと、これはこれでなかなか辛辣で面白い。A・ビアスの『悪魔の辞典』に近いかもしれない。

『パパラギ』が書かれたのは1920年ということですけど、ここで批判されている「白人の文明」の描写が、今日の日本の姿そのものであることが一番痛烈でした。