時々に山に出かけて星の写真を撮りに行きます。昔からの趣味ではありません。若い頃はしばらく星を見ることを中断していました。(仕事で忙しかったからです。)双眼鏡が唯一の友でした。(今でも現役です。)

 

--------------------- つらつらと思いついたまま書いています。

<子供の頃>

子供の頃、5cmのカートンの屈折望遠鏡を使って、夜中夜空を観測していました。図鑑に書いてあるような綺麗な星雲や銀河など見た事もありません。辛うじて、土星の輪が見えるぐらいです。収差の酷いレンズで良く観望したものだと、今から考えると関心します。ため息をついて写真を見るのが精一杯でした。(ハッブル宇宙望遠鏡もジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡もすばる望遠鏡もない時代です。)

 

<今は昔>

当時の接眼鏡は付属のMM/MHしかありません。(中学校の頃です。)K/Orなどの接眼鏡が何処で購入できるのかも判りません。子供の頃は口径はツァイスサイズ。(24.5mm)その後、アメリカンサイズ(31.7nn)、さらにその後2インチが主流になりますが。。小学校では凸レンズ凹レンズの焦点距離の勉強はしますが、ザイデルの5収差まではやってくれません。教えている先生も理解しているとは思えない。まっ。。それでも子供は学習しますが、、ある意味究極の教育とは、子供をほかっておく事でしょう。中半端な過干渉はいけません。本来、子供は自発的に学ぶものです。分度器と紙で経緯台を作った事もあります。

 

インターネットの無い時代です。ネットで購入など無かった時代です。とにかく情報が有りません。赤道儀を扱える人、反射望遠鏡を実際に使って極軸まで合わせてくれる人。どの季節に何が見えるか?など教えてくれる人。周りにはいません。学校の先生は望遠鏡が扱えません。雑誌から学ぶ。雑誌を眺めてため息をつくしかなかったのが田舎の実態です。図書館の天文関係の書籍で学ぶしかありません。理科年表など理科関係のデータが載っている刊行誌は中学の時から集めていました。(購入)

 

子供の頃はとにかく、機材を集めるお金がなくて本ばかり集めていたような気がします。(それでも結構お高い。)その意味では現代の子供達は羨ましいです。(昔は、その分、レンゲ畑など走り回っていましたが。。現在ではそんな環境すら都会には少なくなってきました。(最近はザリガニすら見ません。))

 

<フイルムの時代>

私の上の世代は、ペンタックスや高橋製作所、ビクセンの初期の良い望遠鏡を使っていた世代だと思います。当時カメラはフィルム、トライXやドライアイスで冷やしたモノクロの星雲の写真をよく見たものです。(雑誌で見ました。)定番の本は一通りそろえました。それでも、星の撮影は夢のまた夢でした。(この当時に望遠鏡一式そろえるのはとても高額でした。一般には難しい。)時間も手間もかかった時代です。

 

天文に関しては、多くの諸先輩方がいらっしゃいますが、藤井旭氏の功績は大きいと思います。もっと評価されてもいいと思います。昨年12月28日にお亡くなりになりました。最後まで執筆活動をされていました。日本より海外で有名かもしれません。子供の頃、草下英明氏の本も愛読していました。

 

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<東京へ>

仕事の関係で東京で暮らす事になりました。専門書も多く触れるようになり、天文関係の専門店を訪れる事になります。ここで、、嫌な思い出があります。「ベクバル星図」というスロバキア製の星図が欲しかったからです。東京の誠報社の本社に行って係の人に、恐る恐る聞くと、「素人が手を出しても役にたたない。」的な感じで高圧的にあしらわれました。相手にもされませんでした。(今ならアマゾンならポチれますが。。(別の良い本がありますが。。)売るのを拒否されたらお手上げです。始めから可能性を否定する人がいることを、この時初めて知りました。その後、他にも評論家的に人のやる事を批判する人も多々見てきました。やる前から否定する。知識のある人が一番やってはいけない事です。星(勉強)が嫌いになる人が増える事になります。)

 

天文あるあるです。良く知っている人が初心者を徹底して馬鹿にして門前払いします。この日から誠報社には一度も行っていません。天文は広く、国民に関心を持ってもらって、多くの人から参加してもらう事が必要なのですが、この当時は、一部のコアなメンバーが好き勝手にやっていた時代だったのでしょう。当時の天文をやっている方のレベルは今でも高い。趣味というよりは研究活動です。(望遠鏡ゼロから作ります。電子工作もプログラムもします。軌道計算も行います。。)

 

結果として、天文関係の会社は沢山倒産しました。職人さんの技術は一流でしたが、日本では生き残れた会社はごく僅かです。気むずかしい連中ばかりの集いには誰も集まりません。(今でも苦戦しています。)昨今は陽気なyoutberさんたちが、盛り上げようと頑張ってくださっています。近年の天文機材は誰もが扱いやすくなっているので、敷居が低くなっていると思います。ベテランの方の説明は初心者にはとても難しく聞こえます。わかりやすく説明する努力は必要でしょう。

 

現在では、世界の望遠鏡。双眼鏡。アイピース。冷却CCD、赤道儀、フィルター、ほぼほぼ中華製です。(日本ビクセン規格は、中国台湾のメーカーに、まんまコピーされました。世界規模で生産すれば中国が市場を制覇します。最近では、高橋製作所(高級望遠鏡)のものもコピーされています。さらには、最新のハーモニックドライブもコピーさていますので、日本の天文機器機材がどこまで機器残れるか。。難しい所です。)もっとも、まともな機材をそろえるとなると、、お金がいくらあっても足りません。(国産の天文機材を作っていらっしゃる会社は、まだまだ日本には多く存在します。)

 

<20cmの世界>

会社で働いて、自分のお金でようやく20cmのシュミットカセグレンを購入。当時は結構な額でした。さらにインターネットもスマホもありません。今ほど正確に追尾は出来ません。それでも20cmになると、こと座のリング星雲など淡い星雲が見えてきます。まともなアライメントもできません。星雲が大体あの辺りということで手動導入していた時代です。双眼鏡は手放せませんでした。

 

<地元へ>

東京から地元へ帰ってきて、小型の反射望遠鏡から(2万円程度のもの)から星の観測を再開です。当時は、デジカメが沢山出てきた時代で、コリメート撮影をよくやりました。(固定撮影までは機材の工面がつきません。)地元に大きな天文台があり、そこの星見る会に入って、色々と教えていただき現在に至っています。(40cm

越えの口径の威力はこの時知りました。ドブソニアンの眼視観望は奥が深いものがあります。)

 

極軸の合わせ方。機材の調整の仕方。画像ソフトの紹介。(実際の画像処理まではレクチャーしていただけませんでした。独学です。)Hα改造機のデジタル一眼購入。(EOS-KISS X7)今から10年程前です。カメラはAPCサイズのニコン、キャノン機を使用しながら、日食。月食、星野、彗星、惑星、、ようやく直焦点撮影ができるようになります。(もっとも機材が安物なので、、写真はぶれます。。周辺も歪みます。)

 

20cmの望遠鏡は、シュミットカセグレン(セレストロン製/ミード製)反射型(ミード・ビクセン・ケンコー)を使いました。写真撮影には反射が適しているように思います。この当時になると、コントローラーが進化して自動導入が可能になりました。(現在はスマホで簡単に導入ですが。。)当時は画期的でした。赤道儀を扱ったのはここ10年ぐらいです。

 

現在は、10年位前に購入して家で眠っていた7cm屈折をメインに星景写真を撮ってます。小型なので取り回しが楽です。この年になると重い赤道儀は大変です。現在のカメラですが。。そろそろ厳しいのかな。。と考えています。(最近の星景写真は桁違いに良くなっています。)

 

最近もソニーの新型フル一眼カメラがでました。(どちらかというと小型軽量化。)カメラのAIフォーカス技術や電子シャッターによるメリットは計り知れません。画素数もまだまだ上がりそうです。

 

<カメラ>

次のカメラも考えています。キャノン機が良いかなと。(中古)ミラーレスでなければ値段はかなり抑えられます。ここ10年間でエンジンは進化したと思いますが、素子の、特にノイズを除去する技術はそれほど進化していていないように見えます。特にソニーのカメラは長時間露光すると、独特のノイズが発生します。これは、天文写真をやる人にとっては結構困ります。(ノイズをとるアルゴリズムによって、本来無いはずのノイズが発生します。)

 

キャノン機やニコン機では発生しないノイズです。かなり前から言われているようですが、いっこうに改善されていないようです。普通の写真を撮る分には申し分ないでしょう。ただ、星野写真を撮るとなるとソニーは避けようと考えています。(動画についてはソニーのカメラの性能は良いと思いますので、良い選択だと思います。)もっとも、ソニーのカメラは高額過ぎて、我が家的には新品は購入できません。(天文写真はそこまで高画素は必要ないと思います。高感度耐性の方が重要です。)

 

実際は、RAW現像しないと本当に綺麗な写真はプリントアウトできません。ダーク補正、フラット補正、事前に前処理が必要になります。機材もますます高額になります。(精度が必要。特注品が必要。)そこまでやると、、大変です。

 

個人的には、所詮趣味です。趣味との折り合いは「楽しい」「無理の無い範囲での投資」「時間に縛られない。」「制約がない」という条件は欠かせません。自分に無理のない範囲で楽しめればいいと思います。(所詮自己満足の世界です。)

 

自分の人生です。あっという間に終わってしまいます。興味があるうちに、体が動くうちに楽しみを味わう。趣味とはそういうものだと思います。