令和5年度全国学力・学習状況調査の報告 が出ていたので、、

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令和5年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について:文部科学省 (mext.go.jp)

 

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令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research (nier.go.jp)

 

令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書 中学校 数学:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research (nier.go.jp)

 

中学の数学を見てみます。

 

①自然数

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https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/data/23mmath_idea_01.pdf

 

--------------------------------------------- 抜粋。

○ 数の集合を捉え直し、自然数や整数の意味を理解できるようにする数の範囲を正の数と負の数にまで拡張して、数の集合を捉え直す場面を設定し、自然数や整数の意味を理解できるようにすることが大切である。
本設問を使って授業を行う際には、新しく捉え直した数の集合の定義に基づいて、様々な数の中から自然数や整数を判断する活動を取り入れることが考えられる。その際、小学校算数科においては、整数を0と正の整数を合わせたものとして捉えていたことを振り返り、中学校数学科では、負の整数を加えて、整数を正の整数(自然数)、0、負の整数と捉え直し、整数の意味についての理解を深めることが大切である。なお、このように数の集合を捉え直すことは、第3学年の有理数や無理数の学習においても大切である

○ 数の範囲に着目して様々な事象を考察し、表現することができるようにする
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自然数の扱いについて言及しています。ゼロを含むか含まないか。。大学数学ではどちらでも選択できます。(定義の問題)そろそろ、自然数の扱いを考えてもいいと思います。(高校で集合を習った時点で(空集合を知った時点で)自然数の扱いに無理が出てきます。)

自然数:正の整数、0以上の整数、辺りで十分でしょう。高校の数Bで習う数学的帰納法を習うと自然数はペアノの公理を使って説明できるようになります。

 

② 文字を用いた式の四則計算

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https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/data/23mmath_idea_02.pdf

 

特に言う事はありません。

 

③ 空間図形

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https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/data/23mmath_idea_03.pdf

-------------------------------------- 抜粋。

〇 空間における平面が同一直線上にない3点で決定されることを観察や操作などの活
動を通して理解できるようにする空間における平面が一つに決まるときの条件について、観察や操作などの活動を通して、実感を伴いながら理解できるようにすることが大切である。本問を使って授業を行う際には、空間における平面が一つに決まる条件として、「2点を含む平面は一つに決まる。」や、「一つの直線上にある3点を含む平面は一つに決まる。」など、条件として不十分なものを取り上げ、平面が一つに決まるにはさらにどのような条件が必要かを考察する活動を取り入れることが考えられる。その際、下のような図を観察することなどを通して、一つの直線を含む平面が幾つもあることを捉え、その上で、同一直線上にない3点で平面が一つに決まることを確認することが大切である。

○ 身の回りにある事象を図形として捉え考察することを通して、空間における平面に
ついて理解を深められるようにする

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線形性についての理解に言及しています。高校ではベクトル。大学では線形代数。言いたい事は良く判るのですが、、生徒に理解させる事は結構大変です。

 

④ 反比例

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---------------------------------- 抜粋。

○ 反比例の意味を理解できるようにする 反比例の意味を理解できるようにするために、反比例の特徴を表や式などと関連付けて捉 えることができるように指導することが大切である。 本問を使って授業を行う際には、反比例の特徴を調べるために、「y は x に反比例し、比 例定数は3である」から、式が y = となることを確認した上で、x に幾つかの値を代 入して y の値を求めたものを表にまとめ、対応する x の値と y の値の積が3となることか ら xy =3という関係があることを確認することが考えられる。このような活動を通して、 「x の値と y の値の積は一定で、比例定数に等しい。」という反比例の特徴を表や式 y = 、比例定数 a などと関連付けて捉え、反比例の意味を理解できるようにすること が大切である

○ 伴って変わる二つの数量の間にどのような関数関係があるかを判断できるようにする

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高校で分数関数として再登場します。意味するところは深いのですが。。中学でどこまで教え込ませる事が出来るか。。時間が無いような気がします。

 

⑤ 累積度数

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23mmath_idea_05.pdf (nier.go.jp)

 

-------------------------------------------- 抜粋。

○ 累積度数の必要性と意味を理解できるようにする データの分布の傾向を捉える活動を通して、累積度数の必要性と意味について理解できる ように指導することが大切である。 本設問を使って授業を行う際は、女子50m自由形の記録から「この大会で30秒未満の 記録の選手に県大会出場の資格が与えられるとき、何人が県大会に出場できるか」について 累積度数を用いて考察する場面を設定することが考えられる。 具体的には、最小の階級から29.00秒以上30.00秒未満の階級までの度数の総和を表し た累積度数が9人となることを表から読み取り、9人が県大会に出場できると判断できるよ うにすることが大切である。また、累積度数と合わせて、最小の階級から各階級までの相対 度数の総和を表した累積相対度数を表にまとめ、県大会に出場できる選手の割合を調べる活 動を取り入れることも考えられる

○ 目的に応じて度数分布表やヒストグラム、代表値などを用いてデータの分布の傾向を読み取ることができるようにする

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累積度数の扱いです。(高校から落ちてきました。)共通テストでも数Aで良く扱われます。日頃から使えるように指導する必要はあるでしょう。最近の中学生は覚える事が増えました。

 

⑥ 構想を立てて説明し、問題解決の過程や結果を振り返って考えること
(整数の計算)

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23mmath_idea_06.pdf (nier.go.jp)

 

--------------------------------------------抜粋。

○ 事柄が成り立つ理由を、構想を立て、根拠を明確にして説明できるようにする
事柄が一般的に成り立つ理由を、構想を立てて説明する場面を設定し、文字式や言葉を用いて根拠を明らかにできるように指導することが大切である。
本設問を使って授業を行う際には、図1において、たす数が「3」のとき、はじめの数としてどんな整数を入れても計算結果が3の倍数になることから、たす数を3の倍数である「6」に変えても計算結果が3の倍数になるのではないかなどと予想を立てられるようにすることが大切である。その上で、予想した事柄である「はじめの数にかける数が2、たす数が6ならば、計算結果はいつでも3の倍数になる。」が成り立つことを説明するために、計算結果を表した式を「3×(整数)」の形にすればよいという見通しをもって、式を変形できるようにすることが大切である。その際、n ×2+(n +6)の式を計算し、3n +6 と表現した状態にとどまっているものを取り上げ、この式を用いて3の倍数になることを示すためには、「3×(整数)」という形の式で表せばよいことを確認し、3n +6 を3(n+2)と変形できるようにするなど、説明を洗練させていく活動を取り入れることも大切である

○ 問題解決の過程や結果を振り返りながら、発展的に考察することができるようにする

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最近の傾向です。数学を文章を使って、(ここでは整数の計算)説明する試みです。字面で判るのでしょうか。。最近の共通テストは字面が多くて判りづらい気がします。国語の試験ではありません。どうなんでしょう。日本語の正確な理解が求められます。高校入試などでも良く見られるパターンです。限られた時間でどれだけ教え込ませる事が出来るかが問われます。(定着に時間がかかります。)

 

⑦ データの傾向を読み取り、批判的に考察し判断すること(黄葉日)

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23mmath_idea_07.pdf (nier.go.jp)

 

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○ データの分布の傾向を比較して読み取り、判断の理由を数学的な表現を用いて説明 できるようにする データの分布の傾向を読み取って判断し、その理由を数学的な表現を用いて的確に説明す ることが大切である。 本設問を使って授業を行う際には、「1961年から2020年までの記録を15年ごとの四つ のまとまりとして分けて比較したとき、黄葉日はだんだん遅くなっている傾向にある」と判 断できる理由について、箱ひげ図を比較することで検討し、数学的な表現を用いて説明する 場面を設定することが考えられる。その際、「1991年~2005年の箱ひげ図の箱よりも 2006年~2020年の箱ひげ図の箱の方が右側にあるから」、「1991年~2005年の第3四 分位数よりも2006年~2020年の第1四分位数の方が大きいから」などのように、判断の 根拠を箱の位置や四分位数などを用いて説明できるようにすることが大切である。また、複 数の箱ひげ図を比較した際に箱の位置が右側にあるほど、黄葉日が遅くなっている傾向にあ ると捉えられるようにすることも大切である。

○ 目的に応じてデータを収集して分析し、その傾向を読み取って批判的に考察し判断
することを通して、統計的に問題解決することができるようにする

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データの読み取り(高校の数Aから落ちてきました。)大変です。。箱ひげ図や四分位数を扱う問題は共通テストで良く出題されます。中学で使いこなせる所まで教え込ませる事が出来るのでしょうか?計算は筆算でしょう。数値データの丸め処理が大変だと思います。(EXCELなら一発です。)計算が苦手な子もいます。丁寧な指導が求められます。

 

⑧ 日常的な事象の数学化と問題解決の方法(駅伝)

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23mmath_idea_08.pdf (nier.go.jp)

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○ 問題解決のために数学を活用する方法を考え、説明できるようにする
様々な問題を数学を活用して解決できるようにするために、表、式、グラフなどを用いて問題解決する場面を設定し、それらをどう用いたかについて数学的に説明できるように指導することが大切である。
本設問を使って授業を行う際には、新緑大学が晴天大学に追いつく地点を求める方法について、二つのグラフや式をどのように用いればよいかを検討する場面を設定することが考えられる。具体的には、追いつく地点は二つの直線のグラフの交点の y 座標に表れることを確認し、「グラフの交点の y 座標を読み取ればよい。」、「二つの直線の式から連立方程式をつくり、それを解いて y の値を求めればよい。」などのように数学的に説明できるようにすることが大切である。その際、「交点の座標を読めば分かる。」のような十分でない説明を取り上げて吟味し、「二つの直線のグラフの交点から y 座標を読めば分かる。」のようなより洗練された表現に高めていくことが考えられる

○ 日常生活や社会の事象における問題の解決に数学を活用できるようにする

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ちょっと難しいかも。。グラフや表から式を読み解くのは結構大変です。授業時間が足りない気がします。(他にも覚える事が多い。)

 

⑨ 平行線や角の性質を基に、図形を考察すること(合同な2つの三角形と平行線)
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https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/data/23mmath_idea_09.pdf

 

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○ 証明を振り返り、図形の性質を論理的に考察することができるようにする ある事柄の条件を変えた場合について考察する場面では、証明を振り返り、証明に用い た前提や根拠を整理するなどして、図形の性質を論理的に考察し表現することができるよ うに指導することが大切である。 本設問を使って授業を行う際には、既に証明された事柄の条件である「合同な二等辺三 角形」のうち、合同であることは変えずに、二等辺三角形ではない三角形に変えた場合に、 方法2でBC∥AFとならないことを見いだし、その理由について証明を振り返って考察す る場面を設定することが考えられる。その際、二等辺三角形ではない合同な二つの三角形 を厚紙で作って調べたり、図をかいて確かめたりすることでBC∥AFが成り立たないこと を捉えられるようにすることが大切である。その上で、BC∥AFとならないことについて、 「合同な二等辺三角形」の場合の証明を振り返り、条件を変えた場合にも変わらず成り立 つ部分と成り立たなくなる部分を図と対応させながら読み取ることができるようにするこ とが大切である。 

〇 観察や操作、実験などの活動を通して、図形の性質を見いだすことや、統合的・発
展的に考察することができるようにする

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定番の図形で問題です。得意不得意が強くでる分野です。

 

<全体に。。>

あれこれ詰め込み過ぎな気がします。(言いたい事は判りますが。。)他教科もあります。カリキュラムの見直しも考えてもいいと思います。中学3年間は意外と時間が足りません。3年生は受験で時間を取られます。結果として、学習してもこぼれてしまう部分が必ず出てきます。理想は全部カバーしたい所でしょうが。。無理でしょう。

 

学校別データは資料に載っています。国立、私学が公立より出来るのは当然でしょう。教科を横断した授業も必要でしょう。教員同士の協力連携が強く求められます。