文部科学省
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大学分科会(第170回) 配付資料:文部科学省 (mext.go.jp)
資料が沢山あるので、今回は資料3、参考資料1-1についてのみ触れます。
参考資料3
①成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援
---------------------- 抜粋します。
・日本では大学で理工系を専攻する学生がOECD平均より低いうえに、OECD諸国の多くが理工系学部の学生数を増やしているなか、日本ではほとんど変わっていなし。
※ 大学学部段階における理工系への入学者割合 日本17%、OECD平均 27%
理系学部の学位取得者割合
【国際比較】 日本 35%、仏 31%、米 38%、韓 42%、独 42%、英 45%
【国内比較】 国立大学 57%、公立大学 43%、 私立大学 29%
(注)「理・工・農・医・歯・薬・保健」及びこれらの学際的なものについて「その他」区分のうち推計
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どうやら日本の大学は、余り好ましくない状況下にあるようです。理工系の入学者の割合の低さは異常です。国内においては、私学における理工系の割合が少ないの問題だと考えます。文部科学省も危機感を抱いているようです。
------------------------ 抜粋します。
デジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて意欲ある大学・高等専門学校の学部再編等の取組を支援するため、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(「機構」)に、大学及び高等専門学校の学部等の設置その他組織の変更に関する助成金(※)を交付する業務を追加するとともに、基金を設ける。
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既に、学位授与機構法の一部を改正する方向で動いています。
--------------------------- 抜粋します。
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独立行政法人
大学改革支援・学位授与機構(NIAD)が基金のベースになるようです。学校法人、国立大学法人、公立大学法人、高専機構などが『助成金の申請・計画書の提出』を行いNIADが審査の上『助成金の交付』を行うようです。
どの学校も、競って申請書を提出するでしょう。うまく採択されるノウハウを持った学校が得をします。
令和4年度第2次補正予算額 3,002億円 の予算が付いています。
大学の本来の役割とは?何でしょう。予算確保も教授の仕事のうちではありますが、、過度な競争もどうかと思います。それに、審査するって、誰が?エビデンスは?大丈夫でしょうか?
参考資料1-1
➁大学ファンドを通じた世界最高水準の研究大学の実現に向けて~国際卓越研究大学制度の概要。
【参考資料1-1】大学ファンドを通じた世界最高水準の研究大学の実現に向けて~国際卓越研究大学制度の概要~ (mext.go.jp)
(1)日本と海外の比較
<注目度の高い論文数>
海外
1位 中国
2位 アメリカ
3位 イギリス
日本は12位です。
<大学教授の平均給与 2018年>
東京大学:1,197万円 ハーバード大学:2,592万円
京都大学:1,096万円 スタンフォード大学:2,797万円
東北大学:1,067万円 カリフォルニア大学バークレー校:2,196万円
<教員一人あたりの職員数>
東京大学:0.7人 ハーバード大学:2.8人
京都大学:0.7人 スタンフォード大学:1.6人
東北大学:0.6人 カリフォルニア大学バークレー校:2.2人
<大学発ベンチャー企業設立数>
日本 244社 米国:987社 2019年
<外国人教員の割合>
東京大学: 6.6% ハーバード大学:32.2%
慶應義塾大学: 7.1% ケンブリッジ大学:51.7%
早稲田大学:13.9% カリフォルニア大学バークレー校:39.0%
<博士号取得者数(2018年度)>
日本 15,143人 米国:91,887人 中国:59,368人 ドイツ:27,838
<博士課程学生への経済的支援>
180万円以上:10.1% 米国の研究大学に所属する博士課程学生の
60~180万円:10.9% 平均受給額:$24,700(約270万円)
60万円未満:21.1%
受給なし:54.6%
--------------------------- 抜粋終わります。
絶望的な数字です。この国は今まで何をやって来たのでしょうか?この状況下で世界と伍するだけの大学及びファンドの立ち上げなど無理です。改めてみると、あきれ果てます。一部の抜粋だけでもヤバい状況が良く分かります。こういった事実は、国民にもっと開示すべきでしょう。
ビックサイエンスの時代です。ドクタークラスの人数がそろっていないと海外とまともな共同研究すら不可能です。思ったより深刻です。さて、どう立て直すんでしょう?
<参考>
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学生への経済的支援(47%)です。手厚いと思います。
・2021会計年度において、52億ドルの収入のうち、約4割(39%)の20億ドルが大学基金の運用益からの配分。
・収入源が多様化しており、学部・研究科別の状況が異なる中、大学基金が学内の教育研究活動を下支えしている。
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大学も、国からの予算だけではやっていけません。大学の自主独立を認めても良いと考えます。もっと開かれた研究開発を進めた方が良いと考えます。文部科学省ががんじがらめに縛っている現状では、何ら改善は見られないと危惧します。このままでは、日本の科学技術は衰退するばかりです。企業ですら統廃合(吸収合併)により研究開発費を絞っています。少ない資金で頑張っておられる、国内の研究者の皆さんの努力に敬服するばかりです。彼らが報われる体制作りを希望します。