<今は昔>
近年、新製品が多く出されるようになりました。かっては日本も国内に天文機器を扱うメーカーが多数存在し、しのぎを削って、最高品質を目指して一つの形(世界標準の一つになります。)を作り出していました。(当時は職人さんが沢山いました。ご高齢になっても一つ一つ作って下さる谷のアイピースなどはお値段から考えるととてもありがたい存在です。昔はyoutube上で制作している所の動画がアップされていましたが、、今は見つかりません。モノづくりの動画はあまり人気がないようです。)
本当は日本の工業が衰退した原因は職人さんがいなくなったからだと個人的には推測しています。ニッチな市場は粗利も高く、高級品路線を取る事も可能だったと考えます。『高性能で安い』を売りに薄利多売を行った戦略は現在から考えると疑問が出ます。(成長に限界があります。投資回収ができていないと考えます。)また、日本は欧米の既存産業(スイスの機械時計は破滅的にやられました。)をかなり破壊しています。現在ではヨーロッパでは復活している老舗が多いですが、日本企業はその路線にうまく乗っているとは思えません。ペンタックスの機材は未だ高額で取引されています。(はるか昔に撤退しています。中古のアイピースは持ってます。)
ちょっとホームページを見てみます。あれ、SX2-R200SSも販売終了ですか。。私のメイン機材なのですが。。お値段も上がってるし、在庫品のみですか。。あれ、、SXD2WL-R200SSが出ます。お値段も格段に上がってます。ビクセンの製品は2022年2月に新型に刷新されています。(実質的な値上げ)ここまでくると(値段が高すぎ。)昔の感覚からすると、もう購入できないレベルです。望遠鏡。年々高額になっています。(世界的な物価高からすると仕方のない事だと思います。)どうりで、ヤフオクに出した双眼鏡が2台とも高値で売れたわけだ。。理由がわかりました。
<望遠鏡昔話。>
↓ ビクセンさんの製品です。 2006年の制作ですが、2011年再アップされています。
<ビクセン・高橋製作所>
ビクセンの赤道儀はダイキャスト製造(大量生産向き)に対して、高橋製作所の製品は砂型鋳物(小ロット生産向き)で製造します。精度では高橋製作所に軍配があります。(ただしお高い。最近海外で有名になたのでさらに価格アップです。)
<すばる望遠鏡>
すばる望遠鏡はyoutubeには昔の制作画像が残っていません。。。残念。。CDは所有しています。まあ、できた当時の苦労は話しなどどうでもよいのでしょう。1999年ファーストライト。
すばる望遠鏡は、鏡はコントラベス社、コーニング社(コントラベス社はシーガード(武器)の製造にあたっています。3次元制御するので当然ですが。)が製造しています。海を渡って、その巨体を道路をゆっくりと運搬しながら、アメリカからハワイの山まで運んでいます。(どれだけコストがかかったことやら。船が沈んだらおしまいです。)波面補正から、鏡のアクチュエータによる補正、制御、日本の受光素子、鏡以外はオール日本製のカスタムメイドです。当時の日本の技術の粋を集めて製造されています。製造にあたっては、建設中に天文台内で火事が起きたり死者も出しています。スバル望遠鏡は三菱電機さんの全面的な協力がなかった完成していなかったでしょう。個人的には三菱電機さんは日本の産業に多大な貢献をしていると実感しています。(量子暗号化しかり。)部品の調達では三菱商事あたりも動いているはずです。
今話題のジェームズウェッブ望遠鏡もすでに鏡の一部に隕石があたって破損しています。修理もできないし。。ソフト的に対応するしか手がないでしょう。
昔は、スペースシャトルがありましたらから修理可能でしたが。。
↓ ハッブル宇宙望遠鏡修理
今では不可能です。(技術的には後退しています。)
30年程愛好している双眼鏡があります。(現在その会社は存在していません。)コーティングに汚れはあるものの機械機構のスムーズさは健在で、現在では再現不可能でしょう。(職人さんがいません。)未だ手放せません。
<その後>
その後の技術のベースは、台湾、中国に受け継がれ、現在では、冷却CMOSカメラの分野では、ZWO社(2011年設立)、QHY CCD社といった中国のメーカーの物が主流になりつつあります。(画像素子はソニー製ですが、もはやアッセンブリーは中国メーカーの圧勝と言って良いでしょう。数で勝負されると日本は負けます。)
赤道儀もビクセン規格が標準化されて現在に至っています。(コピー商品ではありますが、、数の力です。お値段の安い。2005年頃ケンコーからスカイエクスプローラーが発売された時は購入しました。コントローラーから目的の天体が簡単に導入できた時は感動ものでした。)
<それでも>
日本のニコン、キャノンの一眼レフは優秀です。今でも各国でプロが愛用しています。ニコンのA810(フルサイズ)の画像素子をそのまま取り込んだ冷却CMOSカメラQHYCCD社から発売中です。(50万円以上します。)日本人は日本の宝を以外と知らない人が多いと思います。(職人の国です。)ニコンも頑張っていますが、、ニコンイメージング部門の赤字はなんともしがたく、ミラー機構を持ったデジイチは今後無くなるでしょう。Z9に機械機構のシャッターを廃止したのも老舗のニコンが最初です。社運を賭けた製品でしたが全世界で受注があり、現在でも簡単には手に入りません。(半年、1年待ちは当たり前)ニコンの定番一眼レフカメラも簡単に手に入らなくなりました。(そもそも製造していませんので、在庫が無い限り出荷不可能です。)ニコンは社運をかけて思い切った舵取りをしました。今後は手軽に一眼というわけにもいかないでしょう。Zシリーズ(Zマウント)で統一するために、ニコンイメージングは原資を集中させます。過去の製品までかまっている余裕は無いでしょう。
現在でも、日本製の天文機材(光学機器)は定評があり、コアなヘビーユーザーからは高い評価を受け続けています。(世界中から)評判の良い物の価格の上昇は待った無しです。(日本は長年の物価の安さに慣れすぎていますが、世界の常識は違います。)
個人的には出来れば国産の製品を購入したいのが本音なのですが、、いかんせんお高い。天文機材は趣味の範疇としてはお金がかかる部類に入ります。筐体、赤道儀、CCD、アイピース、画像編集ソフト、双眼鏡、レデューサー、バーローレンズ、カメラ、機器改造、、とやっていくとやがて力尽きます。個人的にはフルサイズの一眼レフ機ですら購入が難しいです。(現在ではミラーレスが主流になりつつあります。)機材の制御もスマホやタブレット上での操作が主流です。極軸合わせも必須でしたが、現在では事情が異なるようです。(GPSの果たす役割は大きいです。ソフトで制御するのが主流です。)おまけに機材の入れ替えなどしようものなら。。沼に張り込みます。
<ちょっと気になる赤道儀>
気になったのが、、『ハーモニックドライブ』(ハーモニックドライブは日本のハーモニック・ドライブ・システムズ社(1970年設立)の登録商標に引っかかるので以降は波動歯車装置といいます。ASIMOにも採用されています。)機構を有する赤道儀です。
ZWO社から発売されています。AM5です。なんといっても波動歯車装置搭載が画期的です。おまけに重りが無くてもかなりの重量まで搭載可能です。年寄にはうってつけ、昔は赤道儀は重ければ重いほど良いとされていましたが、、さすがに体力が衰える年になると、5Kgという軽さはありがたすぎます。毎回思い赤道儀を運ぶのに苦労していました。(腰を痛めます。)積載重量13Kg。お値段も、$1999です。円安の影響は受けますが、同クラスの赤道儀と比較しても安い。おまけに、波動歯車装置がついているのでバックラッシュも少なく。これで30万円を切るのなら価格破壊です。すでに天体写真家として有名な吉田隆行さんも購入されています。(昨年末にプリオーダーして7月納入 6か月は待たされたようです。)
個人的には赤道儀は2個所有しています。一台は超重いので、、ドナドナを考えています。(出番が少なくなりました。)この際2台ともドナドナするかもしれません。今回のように波動歯車装置搭載の赤道儀がここまで安くなると、今後は重い赤道儀は一部のコアユーザー層のみの需要になりそうです。
※:波動歯車装置(ハーモニックドライブ)
↓
その発想は、実に1957年になります。クラレンス・ウォルト・マッサー氏(アメリカ人)。まさに天才です。
<お手軽に、誰にでも>
が現在のトレンドだと思います。極軸望遠鏡の3つのネジを調整しながら追い込んで極軸調整するなどという事もやらなくなるのでしょう。面倒な事はすべて機械に任せる。いい時代になったとは思いますが、、暗い所で、手で操作しながら、根気のいる操作を何回も繰り返す、追い込むといった手間をかける苦労感は味わえないと思います。その分タブレット上の操作で追い込むという時代に変わったのでしょう。世の中どんどん便利になります。その分、人間の本来持っている能力がどんどん機械に置き換わるような気がしています。本来は、人間の肉体とその認識(脳)のズレを一致させるような訓練は必要だと思うのですが、、体が覚えているという感覚は大切だと考えます。(知識だけでは忘れます。体が覚えていれば思い出せます。)
<最近の中国製品の品質>
2年程前、賞月観星(中国製)のダハ型『Pleasing Goddess HR 8x42 WP』を所有しましたが、中国製品の最近の品質の向上には目を見張るものがあります。国内の有名メーカーの製品より性能が良いと思います。ワイドフラットナーシステム搭載、アリレリーフが18.4mmもある。ここ最近のコーティング技術も格段に進歩しました。(シュミットペシャン式でも十分使えます。)日中でも星見でもとても見やすい双眼鏡です。国内有名メーカーさんにはアイレリーフをもっと長くしてもらいたいと考えます。(国内の双眼鏡は一般的に短い)見やすさ、扱い易さという点では優れものです。(もっとも、細かい所を言えば色々ありあますが、許容範囲です。)おまけに安い!!といっても7月1日から10%お値段アップになっています。
もちろん、日本の高級双眼鏡はツアイス、スワロフスキーといった製品と張り合えるだけのスペックを有しています。その分お値段も高くなります。一般庶民には高値の花です。(コーティングが異なるので、色合いが違いますが。)
<円安、材料高の影響ジワリ。>
4年程前に購入したQHYCCD社の製品ですが、今みたら8000円値上がりしていまし。たぶんもっと上がると思います。特に天文関係の機材は値上げは早いので旬の時の買い時を逃すと一生購入できなくなります。これを機会に天文機材の整理(処分)をするかも知れません。最近は機材が眠っている事が多く、活用して下さる方に譲った方がよさそうです。歳も歳なので、お手軽観望に進んだ方がいいのかもしれません。若い時は安い機材を知恵と工夫と体力と根気でなんとか使っていましたが、昨今の技術革新は目を見張るものがあります。
今時は、デジタル天体望遠鏡 eVscope 2や、さまざまなデジタル天体望遠鏡が出回っています。(お値段は高いですよ。。)そろそろ機材を刷新した方がよさそうです。
歳です。身の回りの整理も必要なのかなと最近は考えています。