LNGの現在の状況を確認してみます。

  ↓ 独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」

 

--------------------   S&P 資料抜粋 -------------------------

------------------------- ここまで ----------------------

(1)アメリカの価格は、ほぼフラット。(ほぼ輸出に回せます。)

(2)欧州のの価格と、来た東アジアの価格は連動しています。

  (常時高騰しているわけではありません。!!)

 

ここで、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」の「日本企業のLNG取扱量に係る2021年度調査結果について」を考察します。

  ↓ 

 

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/329/fy2021_Results_of_the_First_Comprehensive_Survey_on_LNG_Handling_Volume_by_Japanese_Companies_r.pdf

 

 

 

①日本企業のLNGの取扱量

日本企業のLNG取引量

(1)国内向け調達 (国内消費)

(2)外・外取引  (第三国に販売)

の2つに分けられます。

 

②2021年度の調査結果

 

LNG取り扱い推移は、年々上昇しています。

 

注目は、国内向けが減少傾向なのに対して、海外販売の量が増えている事です。

 

<国内の消費実績>

2018年8055万トン/年

2019年7650万トン/年

2020年7636万トン/年

 

<海外への販売実績>

2018年 1497万トン/年

2019年 2811万トン/年

2020年 3384万トン/年

 

なんと、日本はLNGを輸出するほど在庫が余っています。ヨーロッパに緊急輸送しできた理由が判りました。(輸出できるぐらい備蓄がある。)

 

※注:2021年10月5日発表のデータです。

 

もう一つ

  ↓ LNGの安定供給について (経済産業省 資源エネルギー庁)

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/lng/pdf/001_03_03.pdf

 

抜粋します。

 

 

アジアのスポット価格が高騰していますが、日本の輸入価格は安定していました。

(2021年10月段階です。)

 

<LNGの在庫状況について>

 

  ↓ 日本におけるLNGの在庫 資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/pdf/denryoku_LNG_stock.pdf

 

以上、日本のLNGを巡る現状把握はできました。

 

さて、S&Pは現状をどう分析しているでしょうか?

 

<参考> アジア・太平洋のLNG消費量です。 S&Pサイトより。

 

以下抜粋します。

 

 

1位 中国

2位 インド

3位 東南アジア

4位 日本

5位 韓国

 

中国が圧倒的に多い。東アジアの国々はエネルギーをLNGに頼っている国が多い事が判ります。

 

※:COVID前のエネルギー需要です。

 

S&Pのサイトに登録すると全ての資料を読むことができますが、かいつまんで、

 

--------------------------- 抜粋 ---------------------------------

<リスク>

・アジア太平洋地域はエネルギー危機に直面しており、ロシア・ウクライナ戦争が続くと、今後数か月で悪化し、歴史的な状況に達する恐れがあります。

2022年夏のアジアのスポットLNG価格は、今年のこの時期の最高水準にあります。

<大事な事>

 欧州のガスのファンダメンタルズは依然として世界のスポット LNG 価格を大きく左右しており、現在、欧州は欧州のLNG供給で手一杯です。当然アジアにLNGを輸出する能力は無く、今年の残りの期間は例年に比べ流入量が減少すると思われます。
 インドと中国は、スポット的なLNGの流入がほとんどなくなったため、LNG輸入の減少幅が最も大きくなっています。中国の2022年上半期のLNG輸入量は前年同期比で20%以上減少し、インドのスポットLNG輸入量は前年同期比で約14%減少しています。
 特に中国の需要は極めて低迷しており、最近のロックダウン規制の解除や経済活動活性化を意図した政府の景気刺激策にもかかわらずスポット価格が上昇していることから、依然として大きなリスクを抱えています。S&P Global Commodity Insightsによれば、アジア最大のスポット購入者からの購入がないため、地域外からの数量を大幅に引き出す必要性が減っていると記されています。

--------------------------- ここまで -----------------------------

<結論>

現状、日本のLNGの備蓄は十分なレベルではあるが、今後、東アジア・太平洋地域は、LNG市場としては、価値を失いつつあり、安定的にLNGのエネルギー供給を受けられなくなる危険性がある事について指摘しています。

 

S&Pのレポートによると、今後数カ月で悪化という記事が気になります。すなわち、12月。冬です。現状の政府の対応では、首都圏で停電が確実に発生すると言って良いでしょう。(現状、何も対策を打っていない。神頼みです。)

 

G7にお出かけの岸田さん。二枚舌三枚舌で良いので、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長、シャルル・ミシェル大統領、ドラギ イタリア首相(ECB前総裁)に巻き込まれないで下さい。日本は独自の路線を走らないと、この先ロシアからエネルギー供給を断たれる危険性が高い。今からアメリカと交渉しておいた方が良いのですが、アメリカはアメリカで中間選挙があり、民主党が負ける可能性が高い。先の先を読んだ外交が望まれます。(エネルギー確保。)日本の現状がとても危険な状況にある事をご理解していただきたい。カーボンニュートラルなどと呑気な事を言っている場合ではありません。(ヨーロッパと日本では置かれた立場が異なります。)戦時下です。

 

<参考追記>

 

EU排出権取引システムという利権が動き出しています。

キーワード:炭素市場および炭素市場の開拓。