眼科医院、歯科医院、整骨院、整形外科の診療所コンサルタント 高野聖義(昌則)です。
先日、ある医院のスタッフから連絡が入った。採用したいと考えていた看護士に断られたので、採用方法等で何か変えなくてはならないことはないかということであった。
電話をいただいた際に、私はきつく問い詰めた。
「採用したいのであれば、交渉しなくてはならない。先方の都合を聞きながら、なんとか採用できるように交渉したのか?していないのであれば、なぜしないのか?」
何も考えず、断られたらそのまま受け入れているようであった。
看護士の希望は、夜遅くまでの残業が難しいということであった。女性は家庭の問題が常に発生する。医院としては画一的な採用条件にした方が、不公平感も生まれずに管理はしやすい。しかし、人手が足りないのであれば、それに応じた採用条件を作り続け、更に不公平感も感じないような配慮をしなくてはならない。
何も考えていないスタッフが多すぎる。目的を理解し行動しなくては、そのスタッフの成長もない。
昨今の風潮は考えなくても良いということを前提としている。事前に人の心理を先読みし、なぜと感じるところは分かりやすく表現し疑問を感じないように全てが作られている。
テレビ番組もしかり、雑誌もしかり。
全ての情報源が人が考えなくてもいい状態となっている。
通信販売などはその典型である。雑誌のような媒体の場合、疑問を持たれた段階で何も売れない。そのため疑問を感じそうなところには説明を入れ、買いたいという気持ちだけが残るような仕組みを作っている。そのため自分で考える必要性がなくなってくる。
店舗でも便利に買いやすく見て良さがわかるように作る。商品を売る場合には常に買い手の気持ちになるようにと指導される。
しかし、商品を買う側は考える必要性をなくしている。少しでも利便性がないとサービスが悪いということになる。説明が少なければ、それは売る側の問題と認識している。テレビ番組も番組構成上疑問に感じそうなところには、「ではなぜなのか」などというテロップが出てくる。疑問を感じるまでもなく、テレビ画面に疑問となりそうな部分を表現されてしまうため、自分の頭で考える必要がなくなってしまうのである。
対消費者に対しては常に考えなくても良い販売方法が求められる。しかし、この風潮の中で生活をしている従業員は疑問を感じることなく、毎日を生きている訳であるから考えない人が増えてしまう。
考えない人をいかに考える習慣をつけさせるのか?
これは従業員教育の柱であり、継続し続けなくてはならない課題である。