ずいぶん前に一度読んで衝撃を受け、久々に読み返してみた山田詠美さんの「賢者の愛」

 
初恋の人を親友に奪われた主人公が、その息子に「痴人の愛」から「直巳」と名付けて調教していく復讐の物語。
 
 
初めて読んだ時、美しく賢い女であろう主人公真由子が、復讐心から親友百合の息子を調教していく様子が小気味よく描かれていて、さすがの山田詠美氏、こじゃれてるなーとか思いながら読んでいたんですが、クライマックスのシーンの印象が強すぎて、諸々のエピソードがふっとび、最後には、私、
「この話って、ホ、ホ、ホラーだったのか!?」と思いました滝汗
 
長い時間をかけてきた真由子の復讐が、百合の前ではなんだかお遊び程度にしか思えず、百合が不気味で恐い印象ばかりが残りました。
 
 
 
時間をおいて、また読んでみて。
 
ふと、百合が理解できなくもない気がしてきました。
イヤ、恐ろしいには違いないんですけど笑い泣き
 
真由子は、元々よくいえば育ちがよく、悪くいえば世間知らずのお嬢さんだったので、百合の仕打ちに対する自分の復讐を「痴人の愛」になぞらえて美化したり、自分は被害者なのだと理由をつけて正当化することにより、自分の罪悪感に蓋をしていたと思われる。
 
ところが、百合のほうは、そもそも真由子に復讐されるような事をしたなどとはつゆほども思っていないし、こどものころから自分たちの周りにいた大人こそが鬼畜と呼ぶべきで、最終的には、真由子の事すら、谷崎なんて知るかとばかりに鬼畜よばわりしてしまうという笑い泣き
(このシーンがちょっと面白く感じたのは、真由子が少しばかり鼻についていたってことだろうな、、、(笑)。)
 
真由子は、百合の言い草に愕然としただろうけど、立場と価値観が違うと物事の見え方がまったくといっていいほど違う、というのは、実生活においてもよくあることだと思います。
自分も含めて多くの人は自分が感じることが普通だと思ってしまいがち。
見方を変えると、急に理解できなかった相手の行動の理由がわかって、腑に落ちたりすることもあるものだな~と思います。
 
不思議な事に、最初に読んだ時には感じなかったけど、百合の存在が、不気味だけど嫌いになりきれない存在に思えてきました。
こどもの頃から大人に守られ、美しく、優しく、多少スノッブだけど、「持ってる」真由子の事が、好きで、憧れで、奪いたくて。
こどもなのにアイスピック持ち歩くほど、汚い世の中を生き抜いてきたからこその。
真由子のものを奪うためなら、最終的に自分の命すらも投げ出すほどの、執着。
 
この物語は、復讐のために親友の息子を調教しながら愛し育てていくという、その描写が多くを占めているけど、私には、真由子と百合の間の愛憎の話、という要素がとても印象的でした。
 
結局、読み返してもどちらの女性にも、理解はできても共感するのは難しかったですが、物語としては抜群に面白かった音譜
 
昨年ドラマ化もされているみたいで、主人公の真由子を中山美穂さん、百合を高岡早紀さんが演じているみたいです。
百合役の高岡早紀さん。。。ちょっとドラマも見てみたくなりましたラブラブ
 
 
 
 
「私と一緒に地獄に堕ちよう」
 
って~!!
本屋をふらふらしてる時に、この帯の文言が目に飛び込んできました。
(私には本の帯って割と重要で、あまり読んだ事のない作家さんの本を買うかどうかの基準になったりします。)
 
なま首にいまにもキスしようとしている女性のイラストが強烈で記憶に残っていたらしく、子供の頃にマンガかなにかでこの話読んだな〜と思いながら原田マハさんの「サロメ」を即購入。
 
サロメといえば、自分のものにならない相手の首をなにかの褒美として王様にねだって手に入れるという狂気の女性の話、くらいの知識しかありませんでしたが、これはサロメの作者であるオスカー・ワイルドと、その挿絵を描いたオーブリー・ビアズリーの愛憎のお話でした。
 
といっても私がもっとも狂気を感じたのはこの二人ではなかったですが。。。
 
 
いやー、面白かった音譜
 
原田マハさんの小説はまだ数作目なので、詳しくはないですが、読みやすく、その世界にひきこまれ、あっという間に読み終わりました。もう1回くらいは読み返しちゃうな。
 
さらに、ビアズリーのイラストをネットで検索。おそらく、私みたいにあまり(ほとんど?)ビアズリーの事を知らない人は読後もしくは読中にだいたいやると思われる(笑)
イラスト集、見てみたいな~。
 
私は人の狂気に昔から興味があるようで、そういうものを題材にした本やら何やらに触れると、心臓をぎゅうっとつかまれるような、なんだかいてもたってもいられないような気分になります。
 
随分前に読みましたが、宮本輝さんの「避暑地の猫」もなかなかすごかったです。
狂気が。
どろっどろです。
「オレンジの壺」とか前向きな話も好きでしたけど、なんだか一番印象に残ってます。

最近、悲しいかな印象に残ったはずの話の内容すらも結構すぐ忘れちゃうので、忘れたくない本の事は備忘録をかねてブログに書くことにしました。