【お断り】
現在連載しているブログ記事は、コロナ禍のときに業界関係者と一緒に作り上げたベトナム送出し機関の状況についての小冊子から取り上げたものです。かなり良い出来なのですが、あまりにも内情を赤裸々に書いてしまったものですから、業界関係者の立場から公開せずにしておりました。このままお蔵入りしてしまうのももったいないので、私の責任にてブログに公開することにしました。文面は私の方で多少直しながら、連載していきますので、よろしくお願い致します。
第 5 章 入国前講習中に日本側がすべきこと
(1)月次報告書の確認
恐らくほとんどの送り出し機関は月 1 回、監理団体に日本語講習の報告書を送っていると思います。内容は様々で、一概には言えませんが、基本的に日本語能力・生活態度がどうかについて書かれているものが多いと思います。
月次報告書サンプル①
報告書には当然フォーマットがなく、送り出し機関によって、十人十色です。書いてある内容はどこの送り出し機関を取っても、ほぼ同じです。内容の濃い・薄いは置いておいて、さすがに報告書を全く提出しない送り出し機関というのは聞いたことがありません。
作る側としても、監理団体によって、かなり反応がまちまちで、返信すらもなく一切反応を示さない監理団体、一人一人(特に能力が低めの実習生)について、こと細かに質問・要望を投げてくる監理団体と幅が広いです。
まともに取り組んでいる送り出し機関であれば、日本語・態度等が明らかにやばい・日本での 3 年間耐えられない実習生がいた場合、報告書には当然記載し、個別で連絡もあげています。
実習実施者とキャンセル・代替の話をしたくないが為に、内々に片付けようとすると入国後にとんでもない問題が発生する可能性もあるので、報告書の内容は流し読みでも一通り目を通すことをオススメします。
但し、鵜呑みにはせず、気になる点があれば、送り出し機関に確認するようにしてください。ここでも、送り出し機関が教育に力を入れているのか、いい加減なのかで見方が変わってきます。
月次報告書サンプル②
そして、月次報告書にありがちなことが「内容の改竄」であります。
先に述べた通り、募集者が実習生から合格の謝礼としてお金を受け取っている場合、日本へ行ってもらわなければ、面倒なことになります。日本へ行けるからと謝礼を払っているわけだから当然でありますが、 その為、特に営業部から報告書が送られてくる場合は要注意です。営業部のスタッフ(通訳も含む)自身が募集した実習生の報告書を「良い内容」に改竄している場合があります。教育部から直接送られる報告書に関しては、まだ信用できますが、ルール違反・日本語能力については、多少の脚色があることを念頭に置いておかねばなりません。
理由は単純明快です。日本語能力が低い、生活態度が悪いを理由に日本側からキャンセルされないように、且つ、出国後に送り出し機関からの謝礼をもらう為であります(営業部とはいえ、歩合制のところが多いので、このようなケースが起こります)。
もし、送り出し機関側から、「日本へ行かせられない人材がいる」と申し出があれば、信用に足る送り出し機関であると思っていただいてもよろしいかと思います。。自らの収入を減らしてまでも、「行かせられない」という判断ができるからです。送り出し機関によっては、在留資格認定証明書交付後でもキャンセルの申し出をする場合があります。それだけ送り出す人材に関して責任があるという意思表示でもあります。
(2)実習実施者が求めること(専門用語/技術訓練 etc)
基本的に専門用語の学習を断る送り出し機関は存在しません。専門用語・安全教育は実施したほうが望ましいですが、技術訓練については、物理的・金銭的に不可能な場合があり、又、日本語教育の時間を削られることになることも頭に入れておかねばならないと思います。
又、費用についても、高くなる場合、費用負担について、送り出し機関側から打診があるだろうが、日本側から申し出るほうが望ましいと思います。何故なら、かかり過ぎる費用は実習生に転嫁される可能性があります。
それから、
「ベトナムで変なクセが付いているより、日本で 0 から教えたほうがいい。」
「日本で 0 から教えるから、健康に気をつけて、まずは日本語だけ頑張って。」
という声も実際にあります。
道具一つとっても日本と違う可能性もあり、やり方も日本とは異なる場合が多く、安全教育等は可能だが、実技訓練の必要性は「?」が付きます。
(3)入国前に日本語のチェックってできるの?
できるし、やるべきです。
Skype でも LINE でも可能です。
教育に真面目に取り組んでいる送り出し機関であれば、むしろ歓迎したいです。反対に、ろくに熱を入れずに惰性で教育しているところは、戦々恐々となるでしょう。
前述の通り、報告書は信用できない場合が多いため、定期的に監理団体自身で、あるいは入国前等に実習実施者が確認するほうがいいと思います。監理団体であれば、数か月に一度は渡越予定があるでしょうから、お姉ちゃんと遊んでる暇があったら、自身の監理団体で採用した実習生と時間を取って会話してみれば良いと思います。(ちなみに私が顧問をしているアゼリア協同組合は、理事長を含め、熱心に入国前の日本語教育をチェックしています。おかげさまで私が見えないところも厳しく指摘していただけるので、ありがたく思っております。)
もし、渡越予定が空く場合、オンラインで会話をすれば良いです。Skype でも Zoom でも LINE でも何でもあります。日本国内での通常業務に加えて、入国前講習中の実習生の日本語チェックは時間を取られてしんどいかもしれませんが、入国後にいきなり日本語がチンプンカンプンな人材が来るよりも、心の準備もでき、時間があれば、日本語を矯正もできるなら、時間を割く価値はあるのではないでしょうか?
監理団体にとっても、実習実施者にとっても、3 年間、面倒を見続けねばならない人材であります。能力の確認をしておくのは必須だと思われます。
⇒ 第6章 入国後の実習生のトリセツ ~信頼関係を築く為に~ へ続く


