NHKラジオでやってる、夏休み子ども科学電話相談を聞くのが日課になっている。



朝の8時から、ニュースや音楽を挟みながら11時45分まで、毎日、20日間やっているこの番組。
電話をかけてくる子どもたちは、こちらがハッとさせられるほど純粋で、私たちにとって至極当たり前のこと、ものごとの根本とされていることさえを覆すような質問を投げかけてくる。そんな質問に対して、その分野に特化した物知りの先生たちが優しく 丁寧に答えてくれる。大人のわたしが聞いてもなるほど〜となることばかり、まったく、何にも知らなくても歳だけは取れると実感する。




4歳でダイオウイカを釣りたいんですけど、と質問してくる子は、ダイオウイカが18メートルあるとか、イカが大好物でよく食べることは勉強をして知ってるけど、自分の身長は1メートルもない。
大きくなったら潜水艦にのって、深海の研究をしようね、ダイオウイカを釣ろう!と語りかける、魚のことを何十年かけて勉強してきた先生の声を聞いてると、私は気付けば ボロボロ泣いている。






なんだこの 果てしない、底抜けの優しさのある空間は。






小さな子どもが、なにを心に残して大人になるかは本当に予測ができない。わたしも、3歳の頃は週に1回ディズニーランドに連れて行ってもらっていたらしいが 悲しいくらい 記憶にない。そのころなにが好きだったかも、どんなものに興味を持っていたかも明確には記憶にない。

わたし自身がそんなんだから、物心のついていない小さな時に高いお金をかけて 海外旅行や ディズニーランドに連れて行っても結局なにも覚えていないし無駄なのではないかと、思っていた。
わたしも電話相談して聞いてみたいくらい。





だけど、
4歳でダイオウイカを釣りたいという子どもにとって、この科学電話相談は絶対に無駄ではない気がする。知りたいと求める者に、全力で答えるプロフェッショナル、という態勢は必ず彼らの未来を切り開くとおもう。「どうせ覚えていないんだから」とか「こんな小さい子にわかるもんか」とか、そういう怠慢な態度は決してとらない。どの先生も、純粋な質問に対してほんとうに唸って、そうやって興味を持ったことを褒め、尊重して、易しい言葉を選んでしっかり答える。知らないことを決してバカにしたり見下したりしない、相手を立派なひとりの人間として見て、質問に向き合う姿勢が すごく 尊い。


この涙は、
ONE PIECEのルフィとシャンクスのあの伝説のシーンを見ている感覚に近い気がする。あれを見て泣かない人はいないとおもうけど、わたしからしたらそんな感じ。






そう思うとわたしも、
自宅のプールでホースから出る水をずっと眺めている写真が残っている。大人の今でも、水にすごく惹かれる。
ディズニーランドのエレクトリカルパレードの音楽を聴くと絶対的に元気になる。



小さい頃に受けた恩恵は、記憶で覚えていなくても、身体に染み込んでいるんだろうなあ。






4歳の彼が、いつかトライトンに乗って ダイオウイカを釣れますように。

さ、明日も聞こう。
子供達と科学者たちの、ピュアな心に浄化されよう。








まりさ