今年で5回目。
わたしと母は、毎年7月に ここにくる。
旅行記はまた落ち着いて書きましょう、載せたい写真がたくさんなのです。にこ






さて、
泊まるホテルが最高なのももちろんだが、わたしは 水が好きなので、連泊中はほとんど海にいる。





今回も朝から透き通る水に浮かびながら、溺れるとはどういうことなんだろうと考えたりした。このビーチは ホテル付きの海水浴場で 波こそほぼないけれど、少し行くとすっかり深くて 大人でも底に足が付かなくなる。足の付かない水の中にいるのが なぜかすごく好きなので 私としたら最高なのだけど、こんな私でも、溺れる時は溺れるのだろうか。


もし仮に、タイタニック宛ら この太平洋に一人投げ出されたとする。もちろんこのビーチの海よりも深く青い海で、ここがどこなのかもわからないと、人はだいたいパニックに陥る。


人間の体は70パーセントが水分なので、助けてくれー!と手をあげたり暴れたりすると、浮いていられるはずの 水ではない30パーセント分が上げた手に取られてしまう。そのため、暴れずに顔だけを水面から出すことを最優先にする。呼吸をととのえ、身体の中にたくさん空気を吸い込めさえすれば、30パーセント分の顔が浮いていられる。荒れ狂う北斎の海でなければ、浮いたまま助けを待つことができるというわけだ。


緊急時にこそ 冷静でいられるかどうかが鍵になるということは、最近のニュースでもおもいました。タイの洞窟で今も助けを待つ13人(2人救出とのことで今は11人)、その引率をしていた25歳のサッカーコーチに元僧侶の経験があり、パニックに陥りそうになる子供達にヴィパッサナーの指導をして心の平穏と 体力の温存に努めているらしい。人生どこでなにが役に立つのかわからない ものだ。そして一度学んだことを忘れないでいれたらどれほどいいかと思うばかり。




三日滞在しているうちの二日は、いつか水難事故に遭ったときのために、前述した方法で ひとり、水にうかぶ修行をしていたのだ。母はビーチで転がって肌を焼いており、わたしは水上に転がって自分の悟りへの道の遠さに業を煮やしていた。煮るなり焼くなり好きにしろと言いたいだろうがもう少し付き合っていただこう。



そう、さきほどの方法で長時間 水に浮かぶには、呼吸に全神経を集中させ、つい顔を出そうと首の後ろに力が入るのを意識的に解がなければいけない。手も一番自然な位置に流されるがままにする。なんとも惨めな格好だが、命がかかっている、やむを得まい。
首の緊張を解すと、一気に後頭部が下がる。脳みその重みを感じながら下がると、トプン、と、耳が完全に水に浸かる。この下がり方は、一瞬 本能的に生命の危機を感じるので、苦手な人は苦手かもしれないけど、生きるか死ぬかの瀬戸際では苦手もへちまも言ってられない。余談だけれど、人工呼吸の時も患者の顎を上げて気道確保をする段取りがあるよね。首の緊張を解いて頭が下がったときの水中の姿勢は、気道確保のかたちに似ている。気道確保だ、理にかなっている。
水中で気道確保をすると、顔をお面にするならココだろう、というほんとうに顔の表面の部分だけが水から出る。気道は確保した、ココからは呼吸に集中。自分の心臓の鼓動を感じながら、目は、太陽に透けた 赤いまぶたの裏を見ている。耳は、水の中の音を聴いている。これが、全く飽きない。浮くのに慣れてくると、最近 あったいろんなことを、みたことや 聞いたことを、ひとつひとつ 思い出してくる。誰かを 信用できなく なったり、人のものをとったり、とられたり、悪意や善意に 気付かなかったり、泣いたり、怒ったり、、そのどれもが 客観的に、他人事のように 思えてきて、とりあえず、みんな それぞれが 幸せだったら、それでいいんだろうなあ、とぼんやり思った。
だが気付けば首に力がこもっている、あゝダメだ、やり直し、、、この押し問答のせいで、日焼け止めマスターの私でもちょこっと焼けてしまった。




悟りの境地は程遠い。






水の中の音を ちゃんと聴いたのは初めてだったので、驚いたことがある。水の中はものすごく静かで、そのぶん、かなり遠くで滑る水上バイクのエンジンの音が聴こえた。それからほど近くで ボートを海底につなぐ 錨のチェーンの音。魚がたくさん泳いでいたけど、魚は音を出さないんだという当たり前のことに さえ 感動してしまった。人間も、水の中では音を出さない。限りなく静寂に近い世界だった。そういえば胎内って、こんな感じだったっけ?そう思い隣の母を見やると、このわたしをおなかの中にしまっていたことなど すっかり忘れたような、少女のような顔で 眠っていた。わたしにとっては、この人が いちばん 、幸せだったらいいなぁと思う。



まぁ
悔しいことに、母の方が人魚っぽい。

人魚の子だから、わたしも人魚かな。ふふ








沖縄旅行記、続く?続かない?




まりさ