最近、よく歩くようになりました。

股関節がいたくて、ジョギングで無理するよりはたくさん歩こう、という思いから。







そう、
鍵の落としものをよく見るのです。
自転車の鍵みたいな 小さなものだったり、ジャラジャラたくさんの鍵がついたキーホルダーまるごとだったり、
持ち主の体から離れた鍵は、そのあと一度か二度と誰かに拾われ、地面から、少し上がった塀の上や目につきやすいようにと花壇の縁などに移動され、所在なさげに そこにあります。



わたしは鍵っ子でもなかったし、一人暮らしもそんなに長くないのでまだ 鍵を落としたことはないんですけど、
結構 大変なことですよね。鍵がないのって。



へとへとで帰ってきて、あとすこし、この扉の向こうに入れば もうどれだけダラダラしてもいい、倒れ込んだって全裸になったっていい、その開放感を前に、一枚の扉が立ちはだかって、たったひとつ、小さな銀の鍵が、ない。



こんな夜中に お年寄りの大家さんに迷惑をかけるのはな、、もう諦めて漫喫でねるか、そういや友達 だれか近くに住んでたっけな…交番に届いてるかな、そもそも 交番に届いても 家の鍵なんてどれも似ていて、ちゃんと帰ってくることなんて、あるのかしらん?





なんか、春、この季節、
心細げな みなしごの鍵を見ることが多いので、
鍵をなくした人へ 思いを馳せておりました。



へとへとで 鍵をなくした 散々な人が
ちゃんと家に帰れますように。
今の季節は、外で寝ても気持ちがいいよ、夜に香り立つジャスミンとみかんの花が、いまは結構満開だから、いい香りの下で眠ろうね。女の子は危ないから、アイスクリームとあったかいスープとジュースが飲み放題のBAGUSっていう漫画喫茶は、シャワーもマッサージチェアもあるし化粧品も貸してくれるし、鍵をなくしたことを忘れられるくらい 朝まできっと楽しめるからオススメだよ。
朝になったら 大家さんに電話して、家に帰ろう。大家さんがもしお年寄りなら、7時にかけても怒る人はいないよ。




ところで
持ち主の元へ帰らなかった鍵はどこにいくんだろう。
溶かされて 、また誰かの 鍵になるのかな。
それならいいな。

花壇の淵から側溝や土の中に落ちて、700年後とかに、平成の時代の、家の鍵です、って 教科書に載ったり博物館に行けるのは、いま無くなってるみなしご鍵の0.001パーセントくらいだろうね。




こんなことばかり考えてます。



まりさ