土曜は亥の日。
土用の丑の日にちなんで、俺が勝手に命名しただけで、深い意味はない。
土曜日はトンカツ屋で飲むことが多い。
この日も土曜日で、近所のお気に入りのトンカツ屋を訪れた。
この店のトンカツは、SPF豚を使用した、分厚いトンカツだ。
SPFとはSpecific Pathogen Freeの頭文字を取ったもの、無菌という意味だ。
つまりSPF豚とは、無菌豚を意味する。
そのせいか、分厚いカツの中心部はまだほんのりピンクだったりする。
通常の豚ならば、もっと火を通せ!ということになるのかもしれないが、SPF豚なのでその心配は無用だ。
岩塩で食べるのがおいしいし、店もその食べ方を推奨している。
しかし、いつの頃からか、そのカツを使ったかつ丼がメニューにあがった。
カツを卵でとじた、蕎麦屋などで出されるようなかつ丼だ。
他に卵でとじないかつ丼も存在した。
おそらく、近所にある人気のかつ丼専門店、名前を言ってしまうと「瑞兆」を真似たのだろう。
瑞兆のかつ丼は卵でとじないかつ丼で世界的に有名だ。
卵焼きというかオムレツというか、焼かれた溶き卵の上に、カツが乗せられた、今までのかつ丼の概念を覆す、まさに革命的なかつ丼だ。
店頭には常に行列ができ、並んで待つ客の半分以上が外国人である。
俺も二度ほど、瑞兆のかつ丼を食べたことがあったが、俺にはあまり合わなかった。
俺には、卵でとじられた、カツの衣がしっとりしているくらいが丁度いい。
カツの肉もそれほど厚くなくていい。
具体例を挙げるならば、俺の理想のかつ丼は、なか卯のかつ丼だ。
だから、俺はこの店の分厚いカツはかつ丼には合わないと、勝手に決めつけ、毎回、ロースカツやらヒレカツやらを注文していた。
しかし、今回ちょっと冒険したくなった。
卵でとじたかつ丼を注文してみた。
これが、予想外に旨かったのだ。
酒とともにちびちび1時間半くらいかけて食べたが、冷えてもうまいかつ丼だった。
通常、カツ単品で、ライスは抜きで注文するのだが、かつ丼の汁を吸ったご飯も、いいつまみになることを知った。
次回は、卵でとじないかつ丼に挑戦してみようかと考えている。
