焼鳥屋でしこたま飲んだ後に立ち寄った。
冷蔵ケースの中の赤い生肉が気になった。
馬刺しにも見えたし、クジラにも見えた。
意表をついて、鹿肉なんてこともありえる。
マスターになんの肉か尋ねると、クジラとのことだった。
「くじらかぁ。」
納得して、席に着き、出された日本酒を飲んでいると、クジラの刺身が届いた。
聞いただけで、注文したつもりではなかったのだが、「頼んでない。」とは言えなかった。
しかし、流石におなかがいっぱいで、一切れ食べただけで、十分だった。
残りを隣に譲ると、日本酒一杯で、店を出た。