違和は常夏な事ハワイ | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

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ハワイ空港に到着したのは、まだ薄暗い早朝だった。
うっすらと藍色がかった空には、まあるい月が小さく白く浮かんで見えた。
しかし、空港で細々とした手続きを終え、ホテルに着いた頃には、あたりはもうすっかり明るくなっていた。
ホテルには到着したもの、チェックインタイムは午後の3時。
それまでの間、我々、つまり俺と妻とは、慣れないハワイのどこかで過ごす必要があった。
幸い荷物はホテルが預かってくれるという。
我々は着替えやら洗面道具やらが入った旅行鞄を、ホテルの受付に預けると、手ぶらのまま未知の土地へと繰り出した。
照り付ける太陽の光は、目を瞑り顔をそむけるほどに鋭かったが、大気が乾燥しているからだろうか、まだ朝がはじまったばかりということもあるのだろうか、意外にも不快な暑苦しさは覚えなかった。海風なのか吹き抜ける風は心地よく、汗もほとんどかかなかった。
ホノルルの街中をバスが巡回しており、それに乗れば大概の観光名所に連れて行ってもらえるとのことであった。
たしかに車道には、行き交う簡素な四阿のようなバスが、いくつか見受けられた。
簡素な四阿という表現が正しいかどうかは感覚の問題だが、要するに、屋根と柱だけの、壁がほとんどない中が丸見えのバスだ。冷房は効かない分、少なくとも風通りは良さそうだった。
我々はそれに乗り込むべく、バス停を探した。
もともと俺が方向音痴ということに輪をかけ、日本と違いハワイは右側通行ということが、俺を混乱させた。バス乗り場は車道の進行方向右側にあるのに、つい日本の感覚で左側にそれを求めてしまう。おまけにハワイは一方通行が多かった。道理で行けども行けども見つからないはずだった。俺は妻を引き連れ同じようなところをただぐるぐると歩き回った。そして歩き回るほどにお互いがどんどんと不機嫌になっていった。漸くそれ、つまりバス停が車道の右側にあるということに気づいた頃には、ホテルを出てから2時間以上が過ぎていた。
なんとかハワイ最大のショッピングモール行きのバスに乗り込み、席に着き一息ついた俺に、妻がおもむろにiphoneを取り出すと、万歩計アプリを開き、
「なんだかんだ今日だけで10kmくらい歩いているよ、私たち。これだけ歩けばバス乗らなくてもショッピングモールについてたんじゃね?」
と言うと、ぷぷっと笑った。
こういう嫌味な、人を小馬鹿にすることにかけて、おそらくに妻の右に出るものはいない。
「いい運動になったじゃねえか。」
俺はそういうと、バス車内の外に目を移した。

バスが、ハワイ最大のショッピングモールといわれる、アラモアナセンターに到着した。

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続く。

※違和は常夏な事ハワイ。
回文だって気付いた?!

いわはとこなつなことはわい

ではまた。