イェ♪若柳なう! | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

前回からの続き


予想外に早く席に空きが出来、入ることができたバネの老舗。
鰻だけじゃなく、鳥料理も美味しい。
でも、訪れる時間がちょいとばかし遅かった。
お薦めのホロホロ鳥料理はあらかた在庫が尽きていた。
「ホロバラ串ってのを、食ってみたかったんだよなあ。」
と肩を落とす俺に、注文を取りに来てくれた店の女の子が
「ホロホロ鳥でしたら・・・」と説明してくれる。
焼きはダメでもお刺身ならできるってんだから嬉しいじゃないか。
早速、そいつをお願いし、それに合わせるのは、もちろん、ポン酒。
店いちおしの蔵ってお酒。
冷やで二合。
もちろん鰻料理も忘れない。
骨せんべいに、白焼き。
鰻屋で頼む鉄板メニュー。
なになに?
白レバーペーストとは、どちらかっていうとこの店に似つかわしくないじゃないか?
まるで小洒落たワインバー。
しかし、こういうところはチャレンジャー。
ものは試しと頼んでいた。
さて、問題は鰻重だ。
別に鰻に限った話じゃないのだが、俺は兼ね兼ね疑問だったのだが、丼と重の違いって何なのだろう?
カツにせよ、親子にせよ、牛ってのはあまり聞かないが、大概において、重は丼の上を行く。
が、いざ蓋を開けてみると、その中身はほとんど全くといっていいほど変わらないのが通常なのだ。
蕎麦屋でいう、ざるともりに通じるものを覚える。
例外で無く、ここでもメニューには鰻重と鰻丼が存在し、鰻重はさらに上、特、特上、最特と格付けがなされ、そして鰻丼は、重の最も底辺である「上」よりも骨せんべい一皿分ほど廉価なのだ。
いったいこの丼と重の違いってなんなのだろう?
メニューを食い入るように見つめ、口を閉ざし目をしかめ首をかしげる俺をマリイが急かす。
「オマイさん、なに難しい顔してるんだい?」
「いやのう・・・この鰻丼と鰻重の違いってのはなんなのかと思ってのう・・・わかるかい、婆さん。」
「そうさのう・・・」
と、即興日本昔話ごっこが始まりだしたところで、店の女の子が教えてくれた。

鰻丼の鰻はしのびの鰻、鰻重のうなぎは鰻重のうなぎ、だそうだ。

今の説明で、わかった人、挙手を!

なんだかよくわからなかったが、どうやら、鰻重の鰻のほうが良い鰻を使ってるらしい。
というわけで、鰻重の上を二人前お願いしたわけだが、今頃になって思うわけだ。
あそこは、鰻重の上一人前と鰻丼一人前を頼んで、実際味比べしておくべきだったなと。

もしかしてだけど、もしかしてだけど、どっちもほとんど同じなんじゃねえの

って疑問は次回に持ち越し!































ラストオーダーは午後の二時。
すっかり満足、ほろ酔い気分で店を出ると、電光看板の明かりは消され、札は準備中に変わっていた。
「どうもありがとうございました。美味しかったです。」
礼をいう俺に、店頭の可愛い女の子は、にっこり笑うと
「またいらしてくださいね。」
と店の名詞を手渡してきた。
店の名前と住所と電話番号が刷ってある。
おそらく裏には手書きで彼女の連絡先が書いてあるっていう、お決まりのアレだろう。
「さっきは電話番号聞きそびれちゃったけど、アタシの携帯、裏に書いてあるから、後で連絡して。」
と、俺を見つめる彼女の眼が語っていた。
俺はニヤリと笑うと、「またね!」と言い残し、駅までの道を歩き始めたわけだが、隣を歩くマリイの目を盗み盗み、そっと裏返して見た名刺、

真っ白

ってのはどういうことかね?

もしかしてだけど、
もしかしてだけど、
それって、炙れば文字浮かぶんじゃねえの?

灰ってオチだろ。



※フィクション。信じちゃだめよん。


おっと、忘れてた。
タイトルはひらがなに変換して逆読みだよ。

ではまた。