電車は動くようになったものの、計画停電が実施され、午後の三時には職場から出された。
しかし、運行している電車は少なく、渋谷についた時には、午後の五時を過ぎていた。
今迄閉まっていたはずの店が、営業しているのをみつけ、そこで、もう今後食べる事も出来ないかもしれない最後の生海苔を食べたわけだが、それを同時進行でツイッターやらブログやらで、「生海苔なう！」みたいに呟くのは、躊躇われた。
そうかといって、開いたツイッターの俺のTLはたまに放射線漏洩情報が呟かれるのを別にすれば、いつもとそう変わらなかった。
自分がどこのレストランにいるだとか、何を食べているだとか、何を飲んでるだとかの呟きが、いつも同様行き交っていた。
別にどこにいようと何を喰おうと何を呑もうとそれはその人の自由だし、逆に自粛だとか言って断食してみたところで、なんの助けにもならない。直接的被害が少なかった我々が、部屋に引きこもり頭から布団を被って小さくなっていても、解決には向かわない。
それはわかっているものの、だからといってこの時期にわざわざリアルタイムでそんなことを呟かなくてもいいだろう、と言う気もした。
もしかしたら、俺は単に怖かっただけなのかもしれない。
もし、自分がそんな事をリアルタイムで呟く事で、後々引き起こるであろう事象が。
心配を振り払うように俺は、呟いた。
目の見えない人の前で花の美しさは語らない。足の不自由な人の前で山登りの楽しさを語らない。そういうもんじゃ無いのか？少なくとも俺はそうでいたい。
あとから改めてブログにも書いたのだが、わかってくれる人がいた。
そうだね、と言ってくれる人がいた。
とてもとても嬉しかった。